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977 名前: 百合(金×銀) 2005/09/11(日) 01:16:14 ID:0Wfknbqt
 コツ、コツ、コツ・・・・・
 深夜の極上寮に足音が響く。
 音の主は遊撃部・鬼の副会長こと、金城奈々穂。
 久しぶりに働き尽くめだったこの日、奈々穂の疲れは最高潮に達していた。
 朝は朝で登校する奏を見ようと群がってくる他校の男子生徒を蹴散らし、昼、夜はその延長。
 極め付けに生徒から不審者を見たとの報告があり、そのための夜間の見回り。
「(早くシャワーを浴びて寝たい・・・)」
 疲れた身体を引きずり、どうにか自室に辿り着く。
 そして鍵を開けようとして違和感を覚えた。
「・・・開いている?」
 なるほど、ドアノブを引いてみると特にひっかかりもなくスッ、と扉が開く。
 奈々穂以外でこの部屋の鍵を開けられるとしたら久遠以外にいない。
 以前にみなもが極上寮で暴れまわった時に、自分以外の者が奈々穂の部屋に勝手に入ったことがよほど嫌だったらしく、
 寮が修繕された後に久遠が直々に鍵を強固な物へと付け替えたのだった。
 それを久遠は
「またみなもさんにピロットちゃん人形を持っていかれて騒がれても困りますから」
 と、言った。

978 名前: 百合(金×銀) 2005/09/11(日) 01:18:15 ID:0Wfknbqt
 しかし、奈々穂はそれが嫉妬以外の何でもないと、怒ったように告げた口調とやや赤面した表情から確信している。
 普段だったらそれをからかったりもする奈々穂だが、この時ばかりは優しく久遠を抱きしめ、その耳元で「ありがとう」と囁いた。
 何はどうあれ、好きな人から想われているということは悪いことではない。
 それに、久遠にああいう顔をさせることが出来るのは自分だけなのだと思うと、自分の意思とは無関係に顔がニヤけてくる。
「(ああいう顔の久遠も新鮮で可愛いよなぁ・・・)」
 疲れでネジが緩くなってきた思考を口に出さないように抑えつつ、部屋の中へと入る。
「久遠、いるのかー?」
 しん、と静まり返った部屋からは何の反応もない。
 むしろ人のいる気配というものを感じない。
「・・・久遠?」
 鍵は開いている、電気もついている。
 なのに誰もいない。
 不審に思いながらも奥に進むと、答えはすぐに見つかった。
 奈々穂のピロットちゃん人形に囲まれたベッドの上に、丸くなって転がっている久遠の姿。
「(・・・寝ているのか)」
 帰宅の遅いこの部屋の主人を待っているうちに、寝てしまったのだろう。
 奈々穂は出来るだけ音を立てないように近づき、ベッドの縁に腰掛ける。
 穏やかな久遠の寝顔を見ながら、奈々穂はまた頬が緩むのを感じた。

979 名前: 百合(金×銀) 2005/09/11(日) 01:19:26 ID:0Wfknbqt
「(私のことを、待っていてくれたのかな)」
 だとしたら、それはとても嬉しいことだ。
 自然と手が動き、久遠の髪へと触れる。
 久遠の全てが好きだと言える奈々穂だが、その中でも久遠の髪は特に好きだった。
 絡まってひっかかることもなく、サラサラと手の中をすべる様に流れていく絹のような手触りと、電灯の光を薄っすらと照り返すその銀の美しさに思わず嘆息がもれる。
 と、その時、久遠が僅かな吐息と共に身じろぎをした。
「ん・・・」
 どことなく艶を含んだその動きに、奈々穂は心臓が強く脈打つのを感じた。
 普段滅多に見せることのない、無防備な寝顔。
 僅かに開いた桜色の唇。
 否が応にも、奈々穂の目はそこに釘付けになり、その唇に触れ、吸い付きたくなる衝動を奈々穂は必死に耐える。
「(折角気持ちよさそうに眠っているんだから、ダメだ!)」
 だが、ネジの緩くなった理性では耐え切ることなど出来もせず。
「(でも・・・す、少し触るくらいなら・・・いいよ・・・な・・・?)」
 髪を梳いていた手を、起こさないように気をつけながら頬へと移動させる。
 すべすべとした、柔らかい頬の感触を感じながら奈々穂はゆっくりと唇を近づけていく。
「(触るだけ、触るだけ・・・)」
 あと僅か数センチ。
 奈々穂は目を閉じ、口先に神経を集中させる。
 しかし、不運にも。

980 名前: 百合(金×銀) 2005/09/11(日) 01:20:34 ID:0Wfknbqt
「ななほ、さん?」
 もう少しで届くというのに、久遠は目を覚ましてしまった。
 驚きの余り、奈々穂は文字通り飛び上がる。
「く、久遠!?いやこれは違うんだ、違ってはいないんだが、いやでも違うんだ!!」
 顔を真っ赤にした奈々穂が勢いよく壁側まで飛び退く。
「別に変なことをしようとしてたんじゃなくて!そう、き、キス!キスをしようと思っていただけなんだ!!別にやましいことは考えて」
「・・・けが」
 心底慌てている奈々穂など何処ふく風、まだ少し眠気を残した久遠の声が奈々穂の言い訳を遮る。
「・・・怪我?」
 眠たげに目をこすりながら、久遠がベッドを降りて奈々穂の元へと寄ってくる。
 奈々穂は久遠の言っている意味がイマイチ分からず、頭の上にはてなを飛ばしている。
「ほおのところに、けがが・・・・」
 と、久遠は奈々穂が頬に手を当て確認するより早く。
「ぺろり」、と。奈々穂の首に腕を絡ませ、その傷口を舐めあげた。
「なっ!!!?!?!」
 久遠の予想外の行動に奈々穂の身体は硬直し、顔が先程とは比べ物にならないほど赤くなる。
「く、久遠!?」
 驚き、急いで久遠を止めようとするが、
「んっ・・・ひゃんと、ひょうどくひないと、らめれすわよ・・・?」
 久遠は止めるどころか腕に力を込めてますます執拗に奈々穂の頬を舐めまわし、その頬へと吸い付く。
 突然のことと、生暖かい舌のぬらりとした感触に思考をまとめようとしても意識をそらされ、奈々穂は久遠のされるがままになる。

981 名前: 百合(金×銀) 2005/09/11(日) 01:21:17 ID:0Wfknbqt
「(無理やり振り払うわけにもいかないしっ!ど、どうすればっ・・・!?)」
「はむ・・・んんっ・・・ぅんっ・・・」
 混乱の渦中にある奈々穂とは対象に、久遠は楽しげに奈々穂の頬を舐めまわしている。
「んちゅ・・・ふむぅ・・・・・」
 ぴちゃぴちゃというような水音と、久遠の息遣いが耳元で聞こえる。また、時折久遠の吐息が耳をくすぐる。
 奈々穂は段々と自分の身体が冷静になるどころかますます熱くなっていくのを感じていた。
 このまま欲望のままに押し倒してしまおうか。
 そう考えもするのだが、久遠は善意(?)でやっていてくれるのであって、そういうつもりはないのだろう。
 しかし、視界の端、久遠の腰が舌の動きとともに僅かに揺れているのが目に入る。
 それを目にしたときが、我慢の限界だった。
 奈々穂は何処かで理性の音が切れるのを聞いた気がした。
「・・・久遠っ!!」
 ガバっ、と文字通り奈々穂は久遠を押し倒す。
「誘惑したのは、お前だからな・・・?」
 有無を言わせぬ口調で告げ、久遠が何かを言おうとするより早く自身の口でその唇を塞ぐ。
「んむ!?」
 驚く久遠の舌を素早く絡めとり、口内の奥深くへと導く。

982 名前: 百合(金×銀) 2005/09/11(日) 01:22:18 ID:0Wfknbqt
 たまに吸ったりもしながら、強く激しく、だが出来るだけ優しく奈々穂は舌を動かす。
 そして器用に、片手で制服のボタンを外していく。
 やや窮屈な布におさまっていた久遠の豊かな双丘を解放すると、今度はそれの先端を摘むようにして揉んでいく。
「・・・ぁ!?・・・なな、ほ・・・さ・・・ひぅっ・・・んんっ・・・!!」
 久遠は何かを言おうにも、奈々穂に口を塞がれているため巧く言葉にすることが出来ない。
 だが抵抗をしようとはしないことに安心した奈々穂は、行為をますますエスカレートさせていく。
 深く絡めていた唇を離し、奈々穂は言う。
「もっと気持ちよくしてやるからな」
 わざと息のかかるように耳元で囁くと、胸にあった手を秘部へと移動させ一気に指を久遠の中へと侵入させた。
「っぁ!?」
 びくん、と大きく久遠の身体が跳ね上がる。
 奈々穂は手を休めることなく、中を擦るようにかき混ぜながら動かす。
「・・・あぁ!んぅっ・・・!ぁっ・・・な、なほさ、ん」
 中だけではなく、同時に陰核を弄ることを奈々穂は忘れない。
 ついでに、開いた口で耳や首筋、胸など久遠の感じやすいところを的確に愛撫していく。
「はっ、あっ、そこ・・・あんっ・・・!!」
 無意識なのかそうでないのか、久遠はもっと深く求めるように奈々穂押を抱きしめる。
 段々と久遠が絶頂へと近づいてきたことが分かると、奈々穂がより一層手の動きを早くした。
「ななほ、さんっ、やっ、あ、・・・ああぁあぁ!!」
 愛しい人の名前を叫びながら、久遠は自分の意識が遠くなるのを感じた。

983 名前: 百合(金×銀) 2005/09/11(日) 01:23:05 ID:0Wfknbqt
 行為後、久遠は奈々穂にもたれかかる様に抱かれていた。
「んもう・・・ケダモノですわね・・・」
 まだ少し息の荒い久遠は、言葉ではそういいながらも愛おしげに自分を抱きしめる奈々穂の手に両手を重ねる。
「お前が悪いんだ」
 スネたような口調で奈々穂は言うと、久遠の首筋へとキスをし、まるで自分のものだと言わんばかりに印をつける。
「んっ・・・そんなところにつけて、誰かに見られたらどうしますの?」
 くすぐったさに身をよじりながら、それでも久遠は嬉しそうに言う。
「丁度いい虫除けになるだろうさ」
 久遠の顔をこちらに向けさせ、今度は触れるだけのキスをして、二人笑いあう。
「あ・・・」
 何かを思い出したのか、久遠が呟く。
「どうした?」
「言い忘れてましたわ。・・・おかえりなさい、奈々穂さん」
 しっかりと奈々穂の目を見つめながら、久遠が微笑む。
 一瞬、目を丸くした奈々穂だったがすぐに極上の微笑み返し、言った。
「ただいま」