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811 名前: ばかちん 1/12 ◆tBmt.C6q4. 2005/09/03(土) 00:16:31 ID:EklBl9vU
トゥルルルル… トゥルルルル…
はあ、やっと押せた。今もう夜の10時半か。
携帯の「通話」をボタン押すまで、迷いに迷って10分近く。
先週ほどではないが時間をかけてしまった。
その間ずっと畳の上をうろうろしてしまった。
研磨中の撒き菱を並べたままだというのに…
さすがの私でも踏んでしまいそうじゃないか。
あ、ちなみに今日、金曜日は道具の手入れで、
手裏剣・まきびし・を研ぐのが日課。
他の曜日はざっとこんな感じだ。

月:筋トレ、術書研究「萬川集海」
火:任務用に確保
水:筋トレ、走り込み(長距離+スプリント)
  →今は、りの&みなもの訓練(期間限定)
木:任務用に確保
金:道具の手入れ
土:走り込み(LSD)
日:(休み)

作業時間:毎日午後8時〜10時くらい
     土曜日のみ午前中いっぱい

812 名前: ばかちん 2/12 ◆tBmt.C6q4. 2005/09/03(土) 00:17:11 ID:EklBl9vU
これを毎週続けているのだから、隠密は楽ではない。
まあ、歩は歩でまた違うだろうが。
今日は手入れする道具も少なく、9時過ぎには終わるはずだったが、
途中、…どうも久遠さんと会うまで(まだ会えるのかもわからないが)
我慢できず、つい自分で…してしまったために終了が遅くなった(女の私に言わせるな)。

ちなみにここ2〜3週間は土曜日の日課はさぼりがちだ。
金曜の夜から土曜日午前中にかけては…だからだ。

それにしても、
あの日、藤澤恒久と峰岸真弓の一件のとき、
仲直りの証として久遠さんからもらったおそろいの香水、
「ブ○ガリ プチママン オード カモミール」を付けて、
日曜日に買ってしまったターコイズブルー(久遠さんの好きな色だから)の
ハイビキニショーツまでまで着込んだというのに…。
肝心な久遠さんへの連絡が一番最後になってしまった。

813 名前: ばかちん 3/12 ◆tBmt.C6q4. 2005/09/03(土) 00:17:49 ID:EklBl9vU
トゥルルルル… トゥルルルル…
2回目。
久遠さんは相変わらずすぐには出てくれない。企み事でもしているのだろうか。
あの人といると、どうも自分が疑り深くなっているような気がする。

「はい。」
あっ出た。
これからする話の察しはつくだろうに。
何と言う落ち着き様だ。

「はい。矩継です。もしもし、あ、あの…」
「何の御用かしら、琴葉。遅いですわよ。こんな時間なのに…。」
な…久遠さん、先週はあんなに積極的だったというのに。
でも、受話器越しに伝わる久遠さんの吐息は何とは無しに、艶かしかった。
バックにはシャワーの音…。
そして多分、私とおそろいの「プチママン オード カモミール」の香里が漂って…。
…全く、私はつくづく変態だ・・・。
15歳の私にこんな思いを、させないで欲しい。


814 名前: ばかちん 4/12 ◆tBmt.C6q4. 2005/09/03(土) 00:18:33 ID:EklBl9vU
いや、妄想はそれまでだ。
肝心の用事を伝えなければ。
「あの……久遠さん、今日も、報告しに行っていいでか?」
あっ、口が回っていない…

…もちろん報告とは名ばかりだ。
極上寮での入浴、あのひょんなきっかけから始まって、
ついにあそこまでしてしまった…。あれからもうすぐ3週間。
そして先週の出来事からは、久遠さんとの間では『報告』とはあの行為を指すのだ。

「ごめんなさい琴葉。耳が遠いようですわ。もう一度繰り返してもらえないかしら。」
まるで用意していたかのような台詞。
全く、意地悪な人だ。聞こえないわけはないじゃないですか。

815 名前: ばかちん 5/12 ◆tBmt.C6q4. 2005/09/03(土) 00:19:19 ID:EklBl9vU
「本当に?」
急に、久遠さんの言葉は私の思考を遮る
「琴葉が私としたくてたまらないのは『報告』なの?」
たまらないって、そんなにじゃないですよ…
あ、ツッコミどころはそこではないし。
自己嫌悪だ…。

どうもいつもの合図(って言っても2回目だが)『報告』は、
今日は通じないらしい…。
それにしても意地悪な人だ…。
「本当に、琴葉が私としたいこと、ちゃんと口から伝えてちょうだい。」
と突き放す久遠さん。
「そ、そんな 私にここまで言わせておいて…。ずるいですよ。
 だ、だって、夜になると その 何か体中がむずむずしてきて(手裏剣研いでいられないんですから)…」
さすがに同じ隠密といっても笑われてしまいそうで、
最後の方は声には出さなかった。

816 名前: ばかちん 6/12 ◆tBmt.C6q4. 2005/09/03(土) 00:19:54 ID:EklBl9vU
…いや、シリアスな方向に持っていかなければ。
久遠さんなら本気でおあずけ、ということもありえる。
「で、琴葉。体がむずむずするから何をしたいの?ちゃんと言葉に出して。」
「や、や、言えません…ちょっとやめてください。」
「全く、不甲斐ないですわね。そんな程度の度胸で、琴葉は隠密としてやっていけるのかしら?」
一番私を使っているのは久遠さんだというのに。
「では、琴葉。私から言いますわ。」
えっ

「琴葉は私とエッチしたいんでしょう?」
え、急に早口になってよく聞こえなかったんですが…
「久遠さんとエッチがしたいって、ちゃんと言わないのなら、報告は聞きませんわよ」
ちょ、ちょ…いきなり何を言い出すんですか。
「エッチしたいの?したくないの?はっきり。」
「し、した…ちょ、ちょっと、それは口にはなかなか出せないと言うか…」
って、久遠さんめちゃくちゃですね。
私にそこまで言わせないでください。
以心伝心は日本人の美徳と言うではないですか。
あ、そうか久遠さんは…ちょっと違いますよね。

817 名前: ばかちん 7/12 ◆tBmt.C6q4. 2005/09/03(土) 00:20:43 ID:EklBl9vU
「じゃあ、よろしいですわ。」
ほっ。
「でも次の質問に答えないと、今夜は絶対に報告してあげませんわよ」
久遠さん、日本語が乱れています。
報告するのは私からですから。実際の方は違いますけど。
「琴葉はゆっくりなのと、速いほうとどっちが、してほしいのかしら?」
えっ?何のことでしたっけ…
「あの、例の人差し指でしてあげたあれですわ。ゆっくりと速いのとどっちがいいの?…
 ゆっくり?速い?琴葉、早く!」
「それは速い方がいいですっって、あっ!」
「フフフ…琴葉がやっと本音を話してくれたようね…。可愛かったですわ。」
「…ちょ、ちょっと今のは取り消してください。」

…どうやらまた久遠さんの誘導尋問にかかってしまったようだ。
いつもこうだ。
忍者は簡単に口を割るなとあれだけ師匠から口を酸っぱくして言われたというのに、
久遠さんにだけは敵わない。まだ修行が足りないようだ。
…でも、先週は両方してくれて、速い方がよかったからつい…。

818 名前: ばかちん 8/12 ◆tBmt.C6q4. 2005/09/03(土) 00:21:22 ID:EklBl9vU
「取り消しませんわ。だって琴葉、あの最中ずっとしかめっ面で我慢しっぱなしなんですもの。」
なっ
「気持ちいいなら気持ちいいという態度を表してほしいですわ。」
「そ、そんな…。いくら、そうだからってそんなに急には…」

「まあ、先週は最後に少しだけ琴葉の本当の姿を見てしまいましたけどね。」
あー、あー!ちょっと、それだけは言わないでください!
やめてください!やーめーてーください!
「琴葉、ウソの報告だけはいけませんわよ。だって、琴葉は先週、
 『それは久遠さんが容器からたらしたぬるぬるした液ですよ』、って言っていたけど、
 シーツの大きな染み、あれは違いましたわよ。
 あれは、白く濁ってましたわ。あれは琴葉から出たんですからね。」
あ、あ、あ、言わないでくださいよ〜
わかりましたからぁ〜
「琴葉の中から、白く濁ったのがたくさん出てきたんですからね。」


819 名前: ばかちん 9/12 ◆tBmt.C6q4. 2005/09/03(土) 00:21:55 ID:EklBl9vU
「ちょちょちょ、…」
思わず受話器を遠ざけたしまった。
もうこれ以上聞いていられない。
あ 痛っ、撒き菱を踏んでしまったじゃないか。
毒を塗る前で助かったが。

「琴葉?琴葉?ことはーっ!」
離れた携帯から久遠さんの声が聞こえる。
いつになく取り乱した声だ。

急いで携帯を口元に寄せる。
「も、もうやめてください久遠さん。
 そんなこと言うのは絶対にやめてください、
 なんか…私、変になっちゃうじゃありませんか。」
撒き菱をゆっくり抜きながら私は応える。
これ持つ場所が難しいんですから。
全く…

820 名前: ばかちん 10/12 ◆tBmt.C6q4. 2005/09/03(土) 00:22:41 ID:EklBl9vU
「琴葉ごめんなさい。」
急にしおらしくなる久遠さん。
「私、琴葉をからかうためにこんな話をしているわけではないですのよ。」
では何ですか?
「だって琴葉ったら…まあ、続きは家に来たときにゆっくり話しますわ。
 私は琴葉の喜ぶ顔が見たいだけなんですからね。
 って何言っているのかしら、私ったら。まったく参ってしまいますわ…。」
一人で悦に入ってますよ。久遠さん。

でも、そんな久遠さんが好きだから…
あ、いや、その…
…ああ、女同士なんて明らかに変だ。
変だとわかってはいるのだが、久遠さんだけは特別だから…。
美人で聡明で、だけどちょっとだけ不器用で…。
それに、あの瞳で見つめられたら誰でも固まってしまいますよ。
不可抗力というものです。


821 名前: ばかちん 11/12 ◆tBmt.C6q4. 2005/09/03(土) 00:23:12 ID:EklBl9vU
「では琴葉。お風呂を沸かして待ってますわ。気をつけて。」
「あ、はい。でもお風呂は先ほど入ったばかりなので…」
ツー、ツー。
…今日に限ってどうも私の話を聞いてくれない。
久遠さんは浮き足立っているようだ。
それは何を意味しているのだろうか…

電話だけで疲れてしまったが、矩継忍法「速歩術」を使って早いところ…って、
ああっ、いつの間にかショーツが濡れてる…
悪夢だ…でも、なんだかにやけてしまうじゃないですか。久遠さん…。


822 名前: ばかちん 12/12 ◆tBmt.C6q4. 2005/09/03(土) 00:24:28 ID:EklBl9vU
…その次の月曜日。
「副会長、私琴葉さんに金曜の夜電話掛けたんですけど、ずっと電波が届かないところって出てしまって、
 緊急任務の話だったんですけど。それで私・・・」
「大丈夫ですわ、桜梅さん。琴葉には完全に、最後まで、終了報告まできっちり済ませましたから。」
「(副会長、どうしたんですか。日本語変だし。妙なところ強調するし。)」