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460 名前: 久遠の絆 風雲編 2005/08/21(日) 19:58:21 ID:kLsTwtM2
あの悪夢のような一夜から数日が過ぎた。
意外なことに約束は守られ、久遠の父の会社の債務の返済の期限は引き延ばされた。
これで少しは希望が見えてきたぞ、と喜ぶ父の姿を見るのは久遠にとってこの上ない幸福だった。
だがその幸せも長くは続かない。
久遠の元に一通の電子メールが届いたのだ。
差出人は霊腐太郎。
久遠はほとんど予知に近いほどの嫌な予感を覚えながら、それを開いた。
そこにはあの夜の写真が何枚もあった。
絶頂を極めさせられたときの無様なイキ顔、その後獣のように後ろから犯され処女を散らされたときの苦痛に耐える表情、また太ももをつたう破瓜の血。
久遠がもう二度と思い出したくない、ましてや見たくないと思っていた光景が鮮明に写し出されている。
久遠は自分の浅はかさに舌打ちした。悔やんでも悔やみきれない。
どうしてあのときに隠しカメラの可能性に思い至らなかったのか。隠密のトップたる自分が。
メールにはさらにお定まりの文面、つまりこれを世間に公表されたくなければ言うことを聞け、といった内容が簡潔につづられていた。
そして久遠はそれに対して、YES、と返信してしまった。
本来の彼女であればありえない対応。
しかし写真のこと、借金のこと、実際にこの男にイカされ処女を奪われたこと。
それらの事実が久遠を精神の風下にたたせ、太郎に対して逆らう気力を萎えさせていたのであった。


 
462 名前: 久遠の絆 風雲編 2005/08/21(日) 19:59:17 ID:kLsTwtM2
さらに数日後久遠の元に再びメールが届いた。
その内容は要約するとこうだ。
『裏ビデオで一儲けしたい。そのために極上寮のトイレやお風呂を盗撮してくれ。』
これまたありえない要求。
だが久遠は唯々諾々とそれにしたがった。
それも無理なからぬことかもしれない。
自らと、愛する家族の保身のために友人を犠牲にしたとして、いったい誰がそれを責めることができようか?
久遠は昼間のうちに極上寮のトイレの一つに三台の隠しカメラをしかけた。
本来極上寮の個室にはそれぞれトイレが付いているのだが、それとは別に共同トイレもある。
ロビーにいるときなどわざわざ用を足しに自室に戻る者はそうはいない。久遠が目をつけたのはそちらの共同トイレである。
一つは相手の顔がわかるように斜め上の角度から、一つはその行為をまさに捉えられるように便器の中に、最後の一つは後ろから。
もちろんそれは犯罪行為であるが、隠密である久遠は幸か不幸かそういったことに手慣れていた。
そして夜が更けてから、久遠は誰にも気づかれないように回収し部屋に戻りその首尾を確認するべく、記録を再生したのであった。



463 名前: 久遠の絆 風雲編 2005/08/21(日) 20:00:03 ID:kLsTwtM2
一人の少女があわただしくトイレの個室に入ってくる。
(あら、最初はれいんさんなのね・・・)
感情が欠落したかのようなうつろな瞳で久遠はその映像を眺める。
れいんはよほど切羽詰っているのか乱暴に扉の鍵を閉め、素早く下着をずり下ろす。
そして便座に腰掛けるとほぼ同時にバシャバシャと激しい水音がした。
おそらく二台目のカメラに切り替えればその一部始終が克明に記録されているであろう。
「ふいぃぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
気持ちよさげに目を細めて鳴くれいん。
そのあまりに幸せそうな表情に久遠の胸が痛む。
この何の疑いも抱いていない少女のあられもない姿が多くの男の目に触れることになるのだ。
だが久遠はその罪悪感を努めて気づかないようにした。
それはもう今日という日までにさんざん自問したことなのだ。

れいんがトイレを出て行ってからだれもおとずれる者はいない。
しばらく早送りしているとようやく次の使用者が現れた。
極上生徒会副会長、遊撃部のトップ金城奈々穂である。
(奈々穂さんたら、またあんな下着を着けて・・・)
久遠の口元がわずかに笑みを形作る。
普段の男勝りな言動とは裏腹に、奈々穂はやたらと女の子らしいかわいいものを好む。
いまひざ下まで下ろされた下着も、レースのフリフリのついた実にかわいらしいデザインだ。
用を足し終えたあとも神経質そうに何度も股間をトイレットペーパーで拭う。
そこらへんも、久遠の目には妙に奈々穂らしく映った。


464 名前: 久遠の絆 風雲編 2005/08/21(日) 20:01:11 ID:kLsTwtM2
またしばらくの間が空いた。
やはりみんなそうそう共同トイレを使うものではないのだ。
(これではきっと彼は満足しないでしょうね・・・)
どうでもいいことのように久遠は考える。
その矢先にトイレに誰かが入ってきた。
(・・・え?)
久遠は我が目を疑った。
入ってきたのは宮神学園生徒会長神宮司奏その人である。
(まさか、奏会長が・・・)
むろん神宮司奏といえども女神ではない。生身の人間だ。
食事もするし、睡眠もとる、排泄だってするであろう。
頭では理解していたが、こうしてその光景を目の当たりにすると驚きと妙な興奮が抑えきれない。
久遠は興奮で顔を紅潮させ食い入るように画面を見つめる。
奏はゆっくりと下着を下ろすと、便座にこしを下ろす。
そうした一連の動作ですら優雅で絵になるのはさすがだが、状況が状況なだけに滑稽だった。
久遠はカメラを二台目に切り替える。
するとちょうど奏の股間が画面に大きく映し出される。
手入れが行き届いているのか、陰毛はきれいに整えられている。
普段の言動と同じように、その性器も上品な美しい形をしていた。同性である久遠が見とれてしまうくらいに。
そのほっそりとした陰唇の少し上から、ちょろっ、と水流がはしった。
最初はちょろちょろとした奔流も、すぐにジャバジャバと下品な音を立てて激しく流れ出た。
やや黄色く、臭い立ちそうなそれはやがて勢いを失い性器を伝い落ちる雫となった。
(まあ、奏会長でもやはり拭く必要がありますのね・・・)
当たり前のことなのだが、今の久遠にはそれが妙におかしかった。



465 名前: 久遠の絆 風雲編 2005/08/21(日) 20:01:55 ID:kLsTwtM2
だがその後も奏は一向に立ち上がろうとしない。
(・・・・・・?)
久遠が不審に思っていると、奏は少し苦しそうに息みだした。
(・・・!!まさか、会長・・・!)
奏が何をしようとしているのか気がついて久遠は慌てた。
今までの映像とはわけが違う。
もしこれから起こることを見てしまえば、決定的な何かが壊れる。
自分の最も大切なものを自らの手で汚すことになる。
映像を停止しようとして手を伸ばそうとするが、その手も途中で止まる。
太郎との約束を違えればこの身の破滅なのだ。
(でも、だからといって・・・)
これを太郎に渡すわけにはいかない。人の目に晒させるわけにはいかない。
しかし・・・
二律背反により身動きが取れなくなる久遠。しかしその間も時間は流れていき、映像は進んでいく。

唐突に久遠の肩が叩かれた。
(っっ!!!??)
久遠は生涯にこのときほど驚いたことはなかった。悲鳴を上げなかったのは奇跡であろう。
時は深夜、場所は自室。
いったい誰が?どうやってはいってきたの?
久遠は恐る恐る振り返った。


466 名前: 久遠の絆 風雲編 2005/08/21(日) 20:02:46 ID:kLsTwtM2
そこに立っていたのは極上生徒会隠密桂聖奈だった。
立場上は、隠密のトップである久遠の部下に当たる人物である。
「どうしたのですか、聖奈さん。こんな時間に・・・」
久遠は、顔の筋肉だけで無理やり笑みを形作り、普段どおりに振舞おうとして、失敗した。
聖奈の顔をまともに見てしまったから。
今まで見たことのないような冷たい表情だった。
まるで子豚を見て、かわいそうだけど明日の朝にはお肉として店先に並ぶのね、といったような冷たさだ。
聖奈はだまってパソコンの電源を切る。
「あ、せ、聖奈さん、これは・・・」
あわてて言い訳を口にしようとする久遠だが、その一方ですでに悟っていた。
もう何を言っても無駄だと。
「ふぅーーーーー」
大きく息を吐いてから、全身の力を抜く。
「ふふ、とんだ結末ですわね・・・」
自嘲気味の笑みを浮かべて久遠は一人ごちた。