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資料室

●天の章(026-050)●


■026 サンショウ ≪戻る≫

[種族]…妖樹
中国の山中に棲む樹木の精。鬼の一種だとも言われ、人里に現れては人間を襲うとされる。

出身地:中国
中国の山中に棲むと言われる樹木の精で、夜になると人里まで下りてきては人間を襲い、犯すと言われる。その姿は梁に届くほど背が高く、熱したウリのような顔色をしており、眼光がらんらんと輝き、口は盆の様に大きく、三寸ほどのまばらな歯が生えているとされる。また、一本足だという説もあり、民家の戸をつかんだ跡には五本の指によって穴があけられていたと言われ、かなりの怪力を持っていると見られている。

■027 スクーグクロー ≪戻る≫

[種族]…妖樹
スウェーデンで伝えられる森の精。前面は美しい女性だが、その背面はうろになった木である。

出身地:スウェーデン
スウェーデンの妖精伝説に登場する森の精の一種で、美しい女性の姿をした樹木。前面から見ると美しい女性の姿をしているが、その背中は樹木そのものであると言われ、森に訪れた狩人の銃に息を吹きかけて幸運を授けたり森の中で旅人が眠っている際に炭焼きの火を守ると言われている。ただし、見返りとして人間の男性に愛を求めてくるとも言われ、前面の美しさに惑わされた男性は,背面の姿を知った途端に逃げ出してしまうと言われている。

■028 ザックーム ≪戻る≫

[種族]…妖樹
イスラム教の地獄に生えると言われる木。悪魔の頭のような実をつける。

出身地:サウジアラビア
ザックームはイスラム教の聖典コーランに記述がみられる木で、ジャハンナムという地獄の底に生えているとされる。地獄に落ちた者たちは、この木がつける悪魔の頭のような実を無理矢理食わされる罰を受ける。これで腹が一杯になると、今度はぐらぐら煮えたぎる熱湯を飲まされるのである。

■029 アルラウネ ≪戻る≫

[種族]…妖樹
絞首台の下に生えるとされる奇怪な植物。引き抜くと死に至る叫び声をあげると言う。

出身地:ドイツ
別名マンドラゴラ、マンドレイクとも呼ばれており、絞首台の下に落ちた無実の死刑囚の涙や、死刑囚達の体から排泄された精子から生まれてくると言われる。釣り鐘の形をした紫色の花とオレンジ色をした実を持つ植物で、根の部分が人の形をしているとされている。引き抜くときに死に至る叫び声をあげることで知られているが、実の部分が麻薬や催眠剤、万病に効く霊薬になるとされているため、古来より多くの人間が危険を犯してまで手に入れようとしたと言われる。

■030 アールキング ≪戻る≫

[種族]…妖樹
ドイツのシュワルツワルトに現れる悪しき樹霊。人々を惑わし、破滅へ導くと言われる。

出身地:ドイツ
アールキングはその名に「ハンノキの王」という意味を持ち、邪悪な精霊であるとされる。ドイツ南西部の巨大な森林地帯であるシュワルツワルト(黒森)に自生する樹木ハンノキの支配者である。森に訪れた人間を巧みに惑わしては破滅へ導く、悪意に満ちた妖樹であるとも言われている。ハンノキは湿った土壌に生える、痩せた土地でも成長を続けると言われる樹木で、中でもアールキングは最も強い生命力を持っていると言う。

■031 エス ≪戻る≫

[種族]…妖樹
人間の無意識に棲む本能エネルギー。心理学者フロイトによって提唱された心の3領域のうちの1つ。

出身地:不詳
我々の無意識の世界にいて、快楽原則という自己の満足のみを求める法則で動こうとする本能エネルギーがエスである。ふつう人間は、現実をわきまえて社会的に暮らす。これは「自我(エゴ)」という意識可能な心が働いているためである。しかしエスは、この自我を襲って表に現れようとする。これを抑制しているのが「超自我」という心である。

■032 オシラサマ ≪戻る≫

[種族]…神樹
東北地方に伝わる家の神。クワの木などで作られた御神体を、オセンダクという衣装を着せて奉る。

出身地:日本
オシラサマは東北地方で祀られている神で、蚕神であると言われる。30センチ程のクワの木や竹で作った2体1組の遇象を御神体とし、馬頭や姫・男女・僧侶などの姿をしていて、顔には彫刻や墨書きがほどこされている。「おしら遊び」と呼ばれるオシラサマの祭日には、イタコと呼ばれる盲目の巫女がおしら祭文を唱えながら2体の御神体を手に持って動かす。この時に唱えるおしら祭文では、オシラサマの由来と養蚕の起こりが語られる。

■033 ナルキッソス ≪戻る≫

[種族]…神樹
自分自身を愛したことで知られるギリシア神話の花の神。その姿を水仙に変えられたとされる。

出身地:ギリシア
もともとは非常に美しい姿をした青年であったナルキッソスは、妖精エコーをはねつけた罰として、エコーの水たまりに写った自分の姿にしか恋できない呪いをかけられた。彼は自分の姿のうつった水辺を離れることができず衰弱して死んだが、その名のついた花に姿を変えられた。ナルキッソスは春の植物の成長を司る神でもある。古代ギリシアで春になると行われた「花神祭」での人間を生け贄として自然に捧げる風習が花の神であるナルキッソスと重なって生まれた物語であると言われる。

■034 ダフネ ≪戻る≫

[種族]…神樹
ギリシア神話で、アポロン神の求愛から逃れるために、その姿を月桂樹に変えられた妖精の乙女。

出身地:ギリシア
もともとダフネは、狩りをして日々を過ごす少女の妖精であったが、愛の神エロスが放った矢によって、執拗に追い回して捕らえようとするアポロンから逃げ続ける運命になる。そしてペネイオス川の岸で、ついにアポロンに捕まりそうになるが、ダフネは父である河神に願をかけ、その姿を月桂樹に変えてもらった。

■035 マヤウェル ≪戻る≫

[種族]…神樹
アステカの伝承に登場する女神。酒の原料となる竜舌蘭を地上にもたらしたとされる。

出身地:メキシコ
マヤウェルはアステカ時代の伝承に登場する若い女神で、魔神ツィツィミトルの孫であると言われる。この女神はケツアルコアトルと共に人間の文化に酒による楽しみを与えようと考えて下界に降り、大樹の枝となったが、孫娘を連れ出されたことに怒り狂ったツィツィミトルに見つかり、体をばらばらに引き裂かれた後に食べられてしまったと言う。再び元の姿に戻ったケツアルコアトルは彼女の遺骨を集め、簡素な墓を作ったと言われ、この墓から最初の竜舌蘭が生まれたと伝えられる。

■036 ククノチ ≪戻る≫

[種族]…神樹
日本記紀に伝えられる樹木の神。イザナギとイザナミの2神より生まれた男神とされる。

出身地:日本
ククノチは、「久久能智」と書かれる。「古事記」に登場する男神で、イザナギ命とイザナミ命の2神が国生みの後に産んだ神であると言われる。「久久」とは、草木の成長する状態を表しているとされ、クキを意味する言葉であり「智」は男性を表す接続語であるとされることから、男性の樹木を司る神であると言う。日本は樹木と深い関わりを持った生活が根付いていたため、生活を支える樹木を祀り、また神の宿る依
代とされることも多かったと言われる。

■037 ハオマ ≪戻る≫

[種族]…神樹
ゾロアスター教において、霊薬の採れる植物が神格化されて成った神。他の神々に力を与える役目も持つ。

出身地:イラン
ハオマは、ゾロアスター教において神聖なる植物の神であるとされ、ヒンドゥー教においては「ソーマ」という不死の霊薬とされる。彼はまた天上神として「信念において正しい死の敵対者」とも呼ばれ、大地と天空を媒介する存在とされていた。残念ながら現在ではどのような植物であったかは不明だが、液汁には薬効があると言われており、あらゆる傷や病気を治すと言われた。ハオマは一種の興奮剤の原料であったとも言われ、宗教儀式の際に用いられていたと考えられている。

■038 エンジェル ≪戻る≫

[種族]…天使
天使九階級における第九位の天使。人間に近い容姿を持つと言われ、個人の生命に対しての責務を持つ。

出身地:イスラエル
一般的に「天使」とはこのエンジェルの事を指して言われる。彼らは近代の秘教では「生命の子」「薄命の子」などとも呼ばれている。神の御遣いである天使は、神の地上における活動を、神に代わって遂行する役割を持っているとされ、その活動は主に「奇跡」の体現によって行われる。また、天使は神の意思と純粋な正義にのみによって行動しているため、常に人間にとって味方という存在ではない。時には人間にとって、悪魔より恐ろしい存在となることもある。

■039 アークエンジェル ≪戻る≫

[種族]…天使
天使九階級における第八位の天使。神の御前に立つ天使とされ、神より直接に命令を受けるとされる。

出身地:イスラエル
一般に「大天使」と呼ばれる天使。近代の秘教では「火の精霊」と呼ばれ、地球上の個々の国民を支配すると言われる。また「神慮を運ぶもの」とも呼ばれる。天使九階級において第八位の天使とされてはいるが、旧来の階級分類では権力・能力ともに最高クラスの天使とされていた。今日の大天使は、神を敬い信仰するなどの、神に関する思想を監督する役目を担うと考えられている。

■040 プリンシパリティー ≪戻る≫

[種族]…天使
第九階級における第七位の天使。文明の興亡、および世界の歴史に対する責務を持つ。

出身地:イスラエル
一般に「権天使」と呼ばれる天使。近代の秘教では「性格の精霊」と呼ばれる。プリンシパリティは、国や都市、教皇などの指導的立場にある存在を守護、監視する、心境の擁護者という性格を持つとも言われる。この天使は人々の意思を正統的な善悪観に基づいた正義へと導くと言われており、同時に善なる霊を悪しき霊から守護する役目も担っているとされる。

■041 パワー ≪戻る≫

[種族]…天使
天使九階級における第六位の天使。自然界の物理法則の維持を司る責務を持つ。

出身地:イスラエル
一般に「能天使」と呼ばれる天使。近代の秘教では「形の精霊」と呼ばれる。パワーは最前線で悪魔と戦う天使であると言われ、武装した姿で天の通路を巡回しているとされる。彼らは神により最初に作られた天使でもある。この天使は善でもあり悪でもあるとされ、パワーから堕天使になった者も多いと言われている。人間の魂とは善と悪の戦場であり、この二元性を聖なる者へと導くこともパワーの使命と言われている。

■042 ヴァーチャー ≪戻る≫

[種族]…天使
天使九階級における第五位の天使。難局に直面した英雄や善に勇気を与える責務を持つと言われる。

出身地:イスラエル
一般に「力天使」と呼ばれる天使。近代の秘教で「運動の精霊」と呼ばれる。「美徳」「高潔」といった別名も持ち、高尚な目的を持つ者に天からの奇跡の力による勇気を授けるとされている。ウ゛ァーチャーはキリスト昇天の際に天まで付き添った天使としても知られる。また、アダムとエウ゛ァの子であるカインの誕生の際に産婆の役目を勤めたのもこの天使であると言われている。

■043 ドミニオン ≪戻る≫

[種族]…天使
天使九階級における第四位の天使。神の意思、神による統治を宇宙に実現させる責務を持つとされる。

出身地:イスラエル
一般に「主天使」呼ばれる天使。近代の秘教では「知恵の精霊」とも呼ばれている。ドミニオンは神による真の統治を熱望する天使で、その天使の勤めを統制すると言う役割から、「天界の行政官」とも呼ばれている。神の意思の実現のために、何をすべきなのかを決定する天使であり、森羅万象に関する命令も司る天使であるとされている。

■044 ソロネ ≪戻る≫

[種族]…天使
天使九階級における第三位の天使。神が決定した意志に基づき、任務の配剤を行うことを責務とする。

出身地:イスラエル
一般に「座天使」とも呼ばれる天使。近代の秘教では「意思の精霊」とも呼ばれている。燃えさかる車輪の姿であるとされ、ケルプに駆られる実戦的な神の戦車であると言われている。エゼキエル書によると、ソロネは「牡牛」「獅子」「鷲」「青年」の四つの顔と、四つの翼を持っていると言う。ソロネには「オファニウム」や「ガルガリン」と言った呼び名もあり、「車輪」あるいは「多くの瞳を持つ者」といった意味を持っている。

■045 ケルプ ≪戻る≫

[種族]…天使
天使九階級における第二位の天使。天界の記録係、また「聖なる計画」の遂行役という責務を持つ。

出身地:イスラエル
ケルプは、一般に「智天使」と呼ばれ、カトリック教においては「聖なる計画」を遂行するために必要となる事項を考え出す者とされ、天使伝承では神の記録係と言われている。さらに聖書によれば、炎の剣を持ってエデンの園を監視する役割と、アダムとイウ゛が命の木に近づかないように阻止する役割をもつ天使とされている。近代の秘教では「調和の精霊」とも呼ばれている。四つの顔と四枚の翼を持つ姿で描かれることが多い。

■046 メルキセデク ≪戻る≫

[種族]…大天使
キリスト教グノーシス派の人々に崇拝された平和と正義の天使。聖杯とひとかたまりのパンを象徴とする。

出身地:イスラエル
メルキセデクはグノーシス派のキリスト教徒の間で、平和の天使を統べる者として知られている。キリストが人間にとっての救世主に過ぎなかったのに対して、このメルキセデクは天使にとっての救世主であることから、キリスト以上に偉大であるとまで言われた。厳密に言えば、このメルキセデクは大天使ではなく力天使であるとされる。彼はもともと人間で、エルサレムの王であり司祭であったと伝えられている。

■047 ヴィクター ≪戻る≫

[種族]…大天使
アイルランドにキリスト教を広めた聖人パトリックに、啓示を与えた天使。

出身地:不詳
ウ゛ィクターの役目は、指導的役割を担う人物に、神の意志を伝えることであったらしい。パトリックはアイルランドの裕福な家庭に生まれ育ったものの、誘拐されて奴隷にされてしまった。何とか奴隷生活を逃げ出した彼はフランスへ渡った。そこでこの天使ウ゛ィクターの啓示をうけた彼は、故郷アイルランドに戻り、神キリストの教えを広めた。

■048 イスラフィール ≪戻る≫

[種族]…大天使
音楽を司るイスラムの天使。最後の審判の日に終末のラッパを吹く一人とされる。

出身地:イスラム
イスラム教において重要な役割を与えられている大天使がイスラフィールで、四つの翼を持ち、地に足がついた状態で、天を突き抜けるほどに強大な姿をしていると言われる。イスラフィールに与えられた任務は地獄の観察であり、昼に3回、夜に3回ずつ地獄で苦しむ人間を見ては強大な涙を落としていく。彼は神が地獄での罰をやめない限り涙を流し続けると言われている。また彼は、イスラム教において終局を告げる七つのラッパのうちの一つを吹く天使であると言われている。

■049 ライラ ≪戻る≫

[種族]…大天使
ユダヤ伝承にあらわれる夜の天使。人々の懐妊を司る役目を持つ。

出身地:イスラエル
懐妊した女性と神との間をつなぐのがライラの役目である。人間の女性が懐妊すると、ライラはその精液を神の前に差し出す。神はこの精液をもとにして、やがて生まれてくる子供の性別や美醜、裕福になるか貧乏になるかなどの運命に関する一切の事項を決定する。そして懐妊している女性の子宮の中に、新たな魂を入れる。

■050 アズラエル ≪戻る≫

[種族]…大天使
人間の誕生と死を記録するイスラム教の天使。アラー神による人類創造を手伝ったとも言われる。

出身地:イスラム
アズラエルは七万本の足と四千の翼を持ち、無数の眼と舌を持つ大天使であるとされており、その無数の目の一つ一つが地球上の人間の生と死を表していると言われる。その眼がまばたきをする度に、どこかで人間が死んでいく。人間の誕生と死を司る天使だといわれ、イスラム教では人類の誕生であるアダムの創造を行ったのも、このアズラエルであるとされる。彼は終末のラッパを吹く天使の一人であるともされている。


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