こんにちは! KAZ編集長様。
いつもお世話になってます。サイと申します。
用語集の投稿としてはあまりにも多いのでお便り&情報BOXの方に「オニ」についてのレポートを送らせていただきます。
【オニ】
【出身地】日本(または中国)
【出典】「古事記」「日本書紀」「和名類聚鈔」「出雲国風土記」など多数
鬼、河童、天狗と共に日本全国に伝説が残っていて日本3大妖怪とされている。
オニの姿は一般的に
【1】頭に牛の角が生えている
【2】筋骨隆々な体つき・鋭い牙と輝く目を持つ
【3】皮膚の色が赤・青・黒などである
【4】腰に虎の毛皮を巻いている
【5】金棒、棍棒を持っている
以上の姿は江戸時代に定着した姿である。
頭に生えている牛の角や、腰に巻いている虎の毛皮については紀元前6世紀ごろ、
古代中国の「山海経」と言う書物から伝わった方位信仰における「鬼門」つまり北東の方角から鬼が侵入するとされており、
家を建築する際鬼門に便所や出入り口を作ることを嫌がるが、北東の方角のことを「丑寅」と言い、
「丑」→「牛」、「寅」→「虎」と言う俗説から角と毛皮がついた。
古代よりオニとは
【1】極端に醜い、または体の一部が変形、欠損した異形の人間の妖怪視
【2】実体を伴わない感覚的な霊的存在、気配、不思議な力。
【3】神話や仏教思想に存在する死の国の使者、住人または死霊そのもの
【4】辺境の蛮人、または山中に潜む異邦人
【5】強盗軍団、政府や朝廷に従わない豪族・まつろわぬ者達が妖怪視された
【6】日本神話、仏教における悪神、禍日神(災いや凶事をもたらす神)
など広範囲なものを表す言葉であった。
【1】は例として一つ目・片足の妖怪「イッポンダタラ」などがあげられる。またオニには角があり、
手の指が3本または4本しかないとされることから異形の者と言える。
【2】について、「和名類聚鈔」(日本で最初の漢和事典)によると本来は【2】のような人前に姿をあらわさない
超自然的な力「隠」(オンと読む)が訛って「鬼」、オニになったようである。平安時代では「オニ」と「モノ」と呼ばれ、
「オニ」は実体が感じられる霊的存在、「モノ」は【2】のような実体を伴わない怪異と分けられていた。
「モノ」に病気を表す「ケ」が付き「モノノケ」(物の怪)とも呼ばれ元来「モノ」の働きかけにより病気になることを指していたが、
後に病気の原因である悪霊自体を示すようになった。さらに全国にあらわれる「鬼火」もこうした超自然的な力によって
出没する炎なので名前に「鬼」がついたとも言える。
【3】「古事記」「日本書紀」において伊奘冉の命により伊奘諾を追いかけた黄泉(夜見)の国の使者、
黄泉醜女(ヨモツシコメ)と黄泉軍(ヨモツイクサ)、または閻魔大王の使者、牛頭・馬頭など獄卒があげられる。
中国の儒教では幽霊のことを「鬼」(キ)と呼ぶ。人には魂魄が存在し、死後魂魄は「魂」と「魄」の二つに分かれて「魂」は天上に昇り、
「魄」は地上に帰ってくると言う。この思想を「鬼(キ)は帰(キ)すなり」と言い、この世に未練を残したり
自殺してしまった「魄」は「鬼」と変じ、生前と同じ姿で人間のように振るまうとされる。
ちなみに「鬼」と言う漢字の「由」は人間の頭を表し、転じて死人の醜さを表現している。
その下の「八」は「体」を意味して、「ム」は陽に反する陰の気、人間の邪心を表す言葉とされる。
【4】文化、体格、瞳の色、皮膚の色の違い、山中など人里は慣れた場所に住んでいることからオニと呼ばれたと思われる。
「桃太郎」にて退治される"温羅"というオニも実は異邦人であった(詳しくは下記、吉備津神社のホームページ参照)。
【1】と同じような理由になるが、このような身体的差別による人の妖怪視が「天狗」にもあり、
流れ着いた異人を天狗として迫害、または神として崇めたようである。
【5】反体制、反秩序、また集団で略奪行為をすることから朝廷・政府から敵対視されていた。
それらが妖怪視されオニと呼ばれるようになった。「常陸風土記」における「夜刀神」(ヤトノカミ)、
「日本書紀」の「土蜘蛛」などがあてはまる。
【6】日本神話における天津甕星(アマツミカボシ)、天探女(アマノサグメ)、天逆毎(アマノザコ)がこれに該当する。
天津甕星は「日本書紀」によると天孫降臨・国ゆずりにおいて
経津主命(フツヌシノミコト)と建御雷命(タケミカズチノミコト)に従わなかったまつろわぬ星の神である。
天探女は天若彦(アマノワカヒコ)に仕える女神で邪思が大変多く、人の心を探る術に長けていた。
天逆毎は素戔鳴尊(スサノオノミコト)の胸に高まった猛気から産まれ、人の意に逆らうことを常とした女神である。
天探女・天逆毎は後に魔女とされ、妖怪「天邪鬼」のモデルになったとも言われる。
インドから伝わった仏教において悪神である羅刹や夜叉、阿修羅などが人々に害を成すオニとされ、
神仏の正しさを強調するために存在するとも言える。仏教ではこれら悪神が人の心に呼びかけ悪事を働かせると言われる。
名の知られているオニは「御伽草子」にて源頼光と四天王に倒された"酒天童子"、
昔話「桃太郎」で退治されるオニのモデルである"温羅"(ウラ)などがいる。
●桃太郎伝説の参考になる「吉備津神社のホームページ」
http://www.harenet.ne.jp/kibitujinja/
●参考文献
「百鬼夜行解体新書」
村上健司+スタジオハードMX KOei
「幻想世界の住人たちW 日本編」
多田克己 新紀元社
「夜光雲」 華不魅 角川書店(漫画)
自分なりの推測のようなものがたくさん入ってますが気にしないでください。
KAZ / サイさん、ありがとうございました。
日本人に非常に馴染みの深い「鬼」。
実際に存在したとされる「鬼」もあれば、人の心に巣喰う「鬼」というのもいますよね。
そう言えばこの感じ、どこかで!? …そう、「悪魔」。
色々調べてみると面白そうですね。一番手近なところで「辞書」を引いてみましょう。
日本語は「鬼」の付く言葉だらけです。
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