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日本語入力 FEP 「鳳」設定例集

泊何水
Japanese DR DOS User's Group(JDUG)
http://drdos.tripod.co.jp/

鳳(べんぜん、フリーソフト)

 ここでは鳳を使う場合について説明します。かなりの部分がインストールマニュアルと重なりますがあしからず。
 この変換システムは、一応短文入力機能はありますが、基本的に読みを入力→「スペース(変更可)」→漢字鍵盤表示(目的の字が出るまで「スペース」を繰り返す)→対応キーを押す→漢字入力という経過をたどって入力する単漢字変換の多段シフト入力システムです。
 たとえば、「今」と入力する場合、「いま」→「スペース」とすると鍵盤が表示されます。(これは Akeru 辞書の場合)
○ ○ ○ ○ ○1/○ ○ ○ ○ ○
○ ○ ○ ○ ○/1○ ○ ○ ○ ○
○ ○ 今 ○ ○  ○ ○ ○ ○ ○
○ ○ ○ 未 ○  ○ ○ ○ ○ ○
 ここで d を押すと「今」と入力されます。
 鳳はカーソルキーや DEL キー、ファンクションキー等の挙動があやしくなりますが、その点はパッチ(石本 重信さん作)をあてることで解決します。
(COPY CON xx でファイルをつくる場合落ちますが、それは仕様とのこと。普通はエディタで入力するので関係ないでしょう)
 なお、以前は辞書の入手が困難でしたが、水城珠洲さん(http://minashiro.sakura.ne.jp/)が、同じく「風」互換の FEP の Canadian さん作の「嵐」という FEP 用に作られた辞書(Akeru さん作)を転載されたので、それを変換して利用します。(なお、現在シェアウェアの MS-Windows 版「風」の辞書を変換する方法もありますが、ライセンス上問題があるためにここでは述べません)
  1. まず、鳳本体 Ver 0.552とドキュメントが必要なので、鳳本体 Ver 0.552 と鳳 Ver 0.55、鳳辞書ツール、鳳パッチを鳳のページ(http://hp.vector.co.jp/authors/VA000964/html/otri.htm)から、嵐用の辞書(Akeru さん作)、嵐の辞書改造ツールを水城珠洲のページ(http://minashiro.sakura.ne.jp/)からそれぞれ入手し、それを同じディレクトリに解凍してください。
    (ここでは C:\FEP とします。また、鳳 Ver 0.552 は最後に解凍するべきでしょう)
  2. 次に、辞書を変換します。
    [DR DOS] C:\FEP>TXT2DIC SMS.REA SMS.DIC SMS.TXT
  3. 今度はそれを CONVDIC.EXE で鳳の辞書に変換します。この後 OPTDIC.EXE で辞書の最適化をすると辞書が数 KB 小さくなります。かなり時間がかかる作業なので、時間があるときにやるとよいでしょう。
    [DR DOS] C:\FEP>CONVDIC
    [DR DOS] C:\FEP>OPTDIC
  4. 次に鳳本体にパッチをあてます。
    鳳パッチ(石本 重信さん作)(http://mb.amcsys.com/mlib/soft/dos/text/op552033.lzh)を入手し、(鳳のページで入手していれば改めてダウンロードする必要はない)それを鳳本体があるところに(こちらも C:\FEP)解凍します。
    そしてT.Tanaka さん作の BUPDATE を使用してパッチをあてます。
    [DR DOS] C:\FEP>BUPDATE OTRI.BDF
  5. CONFIG.SYS に鳳を追加します。下にオプションと配列の例をのせておきます。

オプション

オプション 機能 デフォルト
/D 辞書のあるパスを指定する
パスは16文字以内にしてください。それ以上は無視します。
      例) /dc:\kaze\dic  (c:\kaze\dic\sms???.dicというファイルを指定)
   
ドライブは必ず指定してください。指定しないと、カレントドライブを変えた時に辞書が読めなくなります。
起動ドライブのルートディレクトリ
/A ATOK6 API Emulate機能を使わない int 6Fの割り込みを他に使っている場合はこのオプションを使います。 無効
/C 仮想鍵盤の色を指定する
指定するページの色を、最大で8ページ目まで指定する。
アトリビュートはVRAMのアトリビュート指定と同じで、16進2ケタで指定する。
        MSB                   LSB
        ・-----------・-----------・
        |b7 b6 b5 b4|b3 b2 b1 b0|
        ・-----------・-----------・
         ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ 
      Green |Blue|下線|点滅| 
           Red   縦線  反転  表示
      
緑・下線
89
赤・反転
45
黄・点滅
C3
白・縦線
F1
61
水色
A1
21
E1
例) /c81c1a1e161412181
「風」のデフォルトと同じ、「緑黄空白紫赤青緑」で表示
全ページが白の反転
/M 未確定文字列の色指定
/cと同様に指定する。デフォルトは白。
例) /mC5 未確定文字を黄色の反転で表示
無効
/Z 仮想鍵盤のページ表示形式の指定
/z00、/z01以外の場合は、/cと同様に色を指定して全角数字一文字でページを表示します。/z00では仮想鍵盤のページ表示をしません。
/z01ではページ表示を分数形式(現在のページ/全ページ)で表示します。
例) /zE1 ページ表示を白の全角一文字で表示
分数形式
/L 未確定文字列の表示形式指定
/l0 /l1 /l2 /l3のいずれかを指定します。
オプション 形式
/l0 半角カナ カゼ_
/l1 全角かな かぜ_
/l2 入力文字半角 kaze_
/l3 入力文字全角 kaze_
全角かな
/B{n} BSキーでの文字削除単位の指定
n=0 〜 2 のいずれかを指定します。
オプション 機能・例
/B0 ききゃ(kikya)→き、きぎ(kigi)→き
/B1 ききゃ(kikya)→きkっ(kiky)、きぎ(キギ)→きき(キキ)
/B2 かな入力専用で濁点のついたものは一文字削除。例)ききゃ(kikya)→きkっ(kiky)、きぎ(キギ)→き(キ)
/B0
/O ローマ字入力の際に「itkai」でも「いっかい」に変換する
異る子音字が重なった場合でも「っ」に変換するオプションです。
「ikkai」(同じ子音字が重なる場合)でなければ、「っ」に変換しません。
/S 多重読み指定をする時のセパレータの指定
説明
/S~ Dvorakキーボードなどを使うとき
/S\ カナ入力や、「花」配列を使う時
/S?/TD> カナ入力の時、文字コードA0(SHIFT+'ロ')を使う
「:」
/U FD/MIELで、XFER/NFER/TABキーの扱いの問題を回避する
FD/MIELではGRPH,NFER,XFER(MIELの場合TAB も) + Z,X,C,D,P でファイル名等を出力するという機能があります。しかし、カナ変換に[XFER]が割りあたっているので、「セツヅ」など(2byte目がZ,c,d)を入力した際にこの機能が働いてしまって、目的の文字列を入力できません。
/U オプションを付けると、「鳳」がonの時にはint18 AH=04hにフックして、XFER,NFER,TABキーを無効にします。
無効
/N 漢数字変換をしない デフォルトでは漢数字変換をします
/T 「~」を、かな変換時に「〜」、英字変換時に「 ̄」にする いつでも「 ̄」に変換
/I{n} 仮想鍵盤表示形式指定
n=0 〜 2 のいずれかを指定します。
/I0 長方形(デフォルト)
/I1 斜形
/I2 無表示
また、/J4オプションで指定したキー(デフォルトではCTRL+f・7)でも仮想鍵盤表示形式を変更できます。
/l0
/G{n} エラー時のbeep音の周波数と長さの指定
後ろにbeep音の周波数(36 〜 21Hz 以下)を4ケタの16進数で、連続時間(55ms 単位)を2ケタの16進数で指定します。
低すぎる周波数(36〜21Hz以下)を指定するとエラーになります。
98E/F/M等では周波数は変化しませんが、ダミーのデータを指定してください。
エラーになるのは、
  1. 仮想鍵盤で漢字が割り当たっていないキーを押した時
  2. 辞書にない読みで漢字変換を行なおうとした時
です。
常に無音
/H 日本語入力/英語入力モード切り換え時の beep 音の周波数と長さの指定
/G オプションと同様に指定する。
無音
/P 仮想鍵盤ページ戻り方式を「風」コンパチにする。
「風」コンパチモードでは、1ページめで「ページ戻り」キーを押しても仮想鍵盤は変化しません。ただし、「後退」キーと「ページ戻り」が同じキーに割り当たっている時には、その後から後退キーとなります。
仮想鍵盤の1ページめで「ページ戻り」キーを押すと仮想鍵盤の最後のページに戻ります。
/Q 変換文字列入力位置をシステムライン(画面最下行)にする。 インライン変換(カーソル位置)からの入力です。
/0 起動時にインターバルタイマを使用しない
このオプションを使うと、時間基準は286 10MHzの1/200秒になります。
無効
/2 98 罫線を JIS83 罫線コードとして出力 無効
/ス 「づ/ず」「ぢ/じ」の使い方を自由にする
このオプションを指定すると、「ず/づ」「ぢ/じ」の入った読みが辞書になかったら、これらを入れ換えた読みを用います。
以下のような場合に便利かもしれません。
  1. 「風」の辞書では「跪(ひざまず)く」という文字が「ひざまづ」という読みでしか登録されていません(後者は誤りと思われます)。このオプションを指定すると、どちらの読みでも「跪」を入力できます。
  2. 「東」は「あずま/あづま」の両方の読みで登録されているのですが、「亭(あずまや)」は「あづまや」では登録されていません。このような文字でも旧かなづかいで入力できるようになります。
無効
/3 JIS78 と JIS83 で第一・第二水準を入れ換えとなった文字を入れ換えて出力 1水:鯵鴬蛎撹竃潅諌頚砿蕊靭賎壷砺梼涛迩蝿桧侭薮籠
2水:鰺鶯蠣攪竈灌諫頸礦蘂靱賤壺礪檮濤邇蠅檜儘藪篭
無効
/4 JIS83 で追加されたエリアへ移動した文字を入れ換えて出力
JIS78:尭槙遥瑶
JIS83:堯槇遙瑤
無効
/K0xxxx 漢字鍵盤表示 0020:[Space]
/K1xxxx ひらがな変換 51FF:[カナ]
/K2xxxx カタカナ変換 35FF:[漢字]
/K3xxxx 全角英数変換 0009:[TAB]
/K4xxxx 半角カナ変換 A5F8:[Ctrl] + [Space]
/K5xxxx 半角英数変換 000D:[Enter]
/K6xxxx 半角一括シフト F820:[Ctrl] + [Space]
/K7xxxx 1文字後ろへ 000B:[BS]
/K8xxxx 変換取り消し OO1B:[ESC]
/K9xxxx 漢字鍵盤前頁 F820:[Shift] + [Space]
/KAxxxx 半角スペース F820:[Shift] + [Space]
/KBxxxx 全角スペース 0020:[Space]
/KCxxxx ShiftJIS 入力 35FA:[Alt] + [漢字]
/KDxxxx JIS Code 入力 51FA:[Alt] + [カナ]
/KExxxx 「鳳」の起動 B5F9:[Ctrl] + [漢字]
/KFxxxx 全角一括シフト F809:[Shift] + [Tab]
/J0xxxx リピート入力 FA20:[Alt] + [Space]
/J1xxxx OASYS 風無変換 キー(1 回目でひらがな、2 回目にカタカナというような変換をする) FFFF:[未設定]
/J2xxxx 漢数字へ変換 35FF:[漢字]
/J3xxxx FEP 切り換え FFFF:[未設定]
/J4xxxx 漢字鍵盤変形 98F9:[Ctrl] + [F7]
/J5xxxx 入力位置切換 97F9:[Ctrl] + [F6]
/J7xxxx 短文辞書入力 FA20:[Alt] + [Space]
/F8xxxx 区点 Code 入力 B5F9:[Ctrl] + [漢字]
注:ここでの「漢字」、「カナ」、「ALT」キーは Massif(+ mnfar.sys) のものです。つまりある程度書き換える必要がありますが、使うものはわずかなので基本的に無視してもかまいません。

キーコードのサンプル

キー そのまま + SHIFT + CTRL + ALT
変換(106) A7FF A8F8 A9F9 AAFA
無変換(106) ABFF ACF8 ADF9 AEFA
かな(106) B6FF B7F8 B8F9 B9FA
半角/全角(106) AFFF B0F8 (B1F9) B2FA
英数(106) B3FF (B4F8) (B5F9) (B6FA)
漢字(J-3100) B2FF
かな(J-3100) B6FF
漢字(Massif) 35FF
 括弧のものは数値的には正しいはずでありながら反応しなかったもの。
 なお、鳳のマニュアルに書かれていた下の配列は実験の結果、一部が間違いと思われます。(括弧内が実測値)
キー そのまま +Shift +Ctrl +Alt
変換 A7FF AAF8(A8F8) A9F9 AAFA
無変換 ABFF ACF8 AEF9(ADF9) ADFA(AEFA)

設定例

[101 Keyboard] DEVICE=C:\FEP\OTRI.SYS /DC:\FEP /2/3/4/ス /K00020 /K1000D /K2F80D /K30009 /K4F90D /K5FFFF /K6FFFF /K70008 /K8001B /K9F820 /KAF820 /KB0020 /KCFFFF /KDFFFF /KEF920 /KFFFFF /J0FA20 /J1FFFF /J2FFFF /J3FFFF /J498F9 /J597F9 /J7F820 /J8FFFF

[106 Keyboad] DEVICE=C:\FEP\OTRI.SYS /DC:\FEP /2/3/4/ス /K00020 /K1000D /K2B6FF /K3B3FF /K4AFFF /K5B0F8 /K6F920 /K70008 /K8001B /K9F820 /KAF820 /KB0020 /KCA8F8 /ADA9F9 /KEB2FA /KFFFFF /J0FA20 /J1ABFF /J2B2FA /J3FFFF /J498F9 /J597F9 /J7A7FF /J8AAFA

オプション 機能 キーコード(101) キー(101) キーコード(106) キー(106)
/K0xxxx 漢字鍵盤表示 0020 Space 0020 Space
/K1xxxx ひらがな変換 000D Enter 000D Enter
/K2xxxx カタカナ変換 F80D Shift + Enter B6FF カナ
/K3xxxx 全角英数変換 0009 Tab B3FF 英数
/K4xxxx 半角カナ変換 F90D Ctrl + Enter AFFF 半角/全角
/K5xxxx 半角英数変換 FFFF 未設定 B0F8 Shift + 半角/全角
/K6xxxx 半角一括シフト FFFF 未設定 F920 Ctrl + Space
/K7xxxx 1文字後ろへ 000B BS 000B BS
/K8xxxx 変換取り消し OO1B ESC OO1B ESC
/K9xxxx 漢字鍵盤前頁 F820 Shift + Space F820 Shift + Space
/KAxxxx 半角スペース F820 Shift + Space F820 Shift + Space
/KBxxxx 全角スペース 0020 Space 0020 Space
/KCxxxx ShiftJIS 入力 FFFF 未設定 A8F8 Shift + 変換
/KDxxxx JIS Code 入力 FFFF 未設定 A9F9 Shift + 変換
/KExxxx 「鳳」の起動 F920 Ctrl + Space B2FA Alt + 半角/全角
/KFxxxx 全角一括シフト FFFF 未設定 FFFF 未設定
/J0xxxx リピート入力 FA20 Alt + Space FA20 Alt + Space
/J1xxxx OASYS 風無変換 キー FFFF 未設定 ABFF 無変換
/J2xxxx 漢数字へ変換 FFFF 未設定 B2FA Alt + 半角/全角
/J3xxxx FEP 切り換え FFFF 未設定 FFFF 未設定
/J4xxxx 漢字鍵盤変形 98F9 Ctrl + F7 98F9 Ctrl + F7
/J5xxxx 入力位置切換 97F9 Ctrl + F6 97F9 Ctrl + F6
/J7xxxx 短文辞書入力 F820 Shift + Space A7FF 変換
/F8xxxx 区点 Code 入力 FFFF 未設定 AAFA Alt + 変換


参考書藉

「鳳 ver0.55 マニュアル」べんぜん

Bok=Hohsui,2002