remove
powerd by nog twitter
初段への道 手筋講座 攻めの手筋

   手筋を使って厳しく攻める 藤井vs森下戦(NHK杯)に学ぶ
厳しい攻めとはどんな攻めでしょうか?それはこちらの損害が少なく、 相手に大きなダメージを与える攻めです。藤井vs森下戦を見てみましょう。
TOPへ戻る

【第1図】
先手:藤井 猛
後手:森下 卓

さて、ここは先手番です。
あなたならどうやって攻めますか? 考えてみましょう!

第1図からの指し手
▲5四歩

【第2図】
▲4五桂を考えた人も多いのではないでしょうか? ▲4五桂も角金両取りの手筋です。これも厳しい攻めです。
では、なぜ藤井九段は▲4五桂とせず、▲5四歩としたのでしょうか?
仮に△5二金と逃げたとします。

第2図からの指し手
△5二金 ▲4三歩成

【第3図】
△5二金の後の▲4三歩成がダンスの歩と呼ばれる手筋です。
金・銀どの駒で取っても▲4四歩で死んでしまいます。 金も銀も元に戻すことができないからです。

▲4五桂馬も金か角が取れるので厳しいですが、あくまで「交換」なのです。
「ただで駒をとる」「歩で駒を取る」のが厳しい攻めなのです。

第2図からの指し手
△6三金 ▲4五桂
△8九飛成

【第5図】

△5二金では金か銀が死んでしまうので森下八段は△6三金と逃げました。 これなら▲4三歩成に△同銀と取って▲4四歩に△5二銀と引けるというわけです。
後手も飛車を成ってきました。

さあ、ここでどう指しますか?
考えてみましょう!

第5図からの指し手
▲4三歩成

【第6図】
▲3三桂成と角を取らずに▲4三歩成です。
どうして角を取らないのでしょう?
それはもっと厳しい攻めがあったからです。
△同金はやはり▲4四歩で死にますから…

第6図からの指し手
△同銀 ▲5三歩成

【第7図】
と金ができました。これで金か銀がとれます。
桂馬で角を取るのと金を歩で取るのとどちらが厳しいでしょうか?
それは歩で金を取る攻めです。角で桂馬を取るのは相手にも駒を渡すことになります。
ただで駒を取る・歩で駒を取るのが厳しい攻めなのです。

第7図からの指し手
△同金  ▲同桂成
△4六歩 ▲同金
△4八歩

【第8図】
実は△4六歩を手抜きしたほうがよかったようです。

藤井九段は△4八歩を手抜きして攻めます。

さあ、どう攻めますか?

第8図からの指し手
▲4四歩

【第9図】
やはり成桂で銀をとらずに歩で取りに行きます。
次に▲4三歩成の場面をイメージして下さい。駒が根こそぎ取られていくでしょう?

しかし、ここで森下八段が受けの手筋を放ちます。
さて、どう指しますか?

第9図からの指し手
△5二銀

【第10図】
これが攻めを遅らせる手筋です。

第10図からの指し手
▲同成桂 △4九歩成

【第11図】
さあ、敵陣にせまる攻めは?
どう指しますか?

第11図からの指し手
▲4三歩成 △同金
▲4四歩

【第12図】
▲4三銀や▲4三金のような手は「重い攻め」といいます。 金に金をぶつける、銀をぶつけるのは駒の損得がないので響きが薄いのです。

やはりここでも歩で攻めるのが正解です。

この後、森下八段の巧みな指しまわしで最終的には逆転してしまいますが、 藤井九段の攻め方は大変参考になりますね!

TOPへ戻る