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講座5 居飛車VS振り飛車 
PART2…急戦定跡の歴史
初期の頃、振り飛車に対しての居飛車の対抗手段は「急戦」であった。 そして、その急戦定跡の研究の第一人者がかの山田道美である。

「打倒 大山康晴」の旗を掲げ、山田は立ち上がった。

その研究は「山田定跡」や「山田流9七角戦法」などの名にもあるとおり、現在の急戦定跡の基礎を支えている。 居飛車VS振り飛車の可能性を理論的に構築した山田道美の功績は大きい。
「山田定跡」や「山田流9七角戦法」を紹介する。

左図が山田流9七角戦法である。

左図より△4一飛、▲8六角とする。角ののぞきが飛車に直射する。 以下、先手は▲6六銀から▲6八角を狙う。

この山田流9七角戦法があるため、四間飛車では△3二銀型ではほとんどの場合△5四歩と突かず△6四歩と突く。

※現在では▲8六角に代え、すぐ▲7九角とひく順に改良されている。
左図が山田定跡である。

振り飛車には先手の▲4六銀に△4五歩と反発する用意がある。
単純に▲4六銀とは出られないので先に▲3五歩と突き捨ててから ▲4六銀と出る。

以下、△3六歩、▲3五銀、△4五歩、▲3三角成、△同銀と続く。

しかし、急戦は振り飛車破りの決定版にはなれなかった。なぜだろうか?
居飛車の急戦の狙いは粗くみて2つに大別されると思う。
@ 角を交換して飛車先を破る。
A 角頭を攻める。


しかし、振り飛車は次のように考えている。
@ 飛車先を破られてもよい。
A 相手の攻めを利用して駒をさばきたい。


ゴルフには「パット イズ マネー」という言葉があるという。 途中どれだけいいショットを打つかではなく「上がってナンボ」という意味である。

将棋においても同様である。
中盤で多少のポイントを上げても玉の堅さを武器に終盤に勝負をかけてくる振り飛車に 居飛車は苦戦した。
そして、居飛車は新たな対抗手段を生み出すことになる。

つづく。