衆議院議員選挙制度改正要綱
昭和15年12月6日 閣議決定
第一 選挙区制
現行ノ中選挙区制ヲ改メ、府県単位ノ大選挙区制(人口特ニ大ナル府県ハ之ヲ数選挙区ニ分ツ)ヲ採用スルコト
第二 議員定数
議員定数ハ之ヲ相当数減少スルコト
第三 選挙資格
選挙資格ハ満二十五歳以上ノ男子タル戸主ニ之ヲ認ムルコト
兵役ヲ了シタル者ニ付テハ別ニ考慮スルコト
第四 議員候補者制度
議員候補者ハ同一選挙区内ノ選挙人ノ開催スル推薦協議会ニ之ヲ銓衡シ選挙人三十人以上ノ連署ヲ以テ之ヲ届出ヅルコト
右堆薦協議会ノ発起人ハ五人トシ、発起人ハ選挙人五十人以内ニ対シ文書ヲ以テ之カ参加ヲ勧誘シ得ルコトトシ、其ノ開催ニ付テハ必要ナル届出ヲ為サシムルコト
尚濫候補防止ノ為、組織的ニ選挙運動ヲ為サントスルニ付テハ供託金ノ制度ヲ考慮スルコト
第五 開票手続
所謂混同開票ノ制度ヲ採用スルコト
第六 選挙運動及其ノ費用
(イ) 所謂第三者ノ選挙運動ニ関スル制限ヲ或程度緩和スルコト
(ロ) 第三者ノ行フ独立選挙運動ニ対シテハ実費ノ弁償ヲ為シ得ザルコトトスルコト
(ハ) 選挙委員ニ対シ一定制限内ノ日当ヲ供与シ得ルコトトスルコト
(ニ) 自己ヲ議員候補者トシテ推薦セラレンガ為ニスル一切ノ依頼行為ヲ禁止スルコト
(ホ) 選挙運動費用ノ制限額ヲ相当額度引下グルコト
(ヘ) 選挙事務長又ハ其ノ職務ヲ行フ者ガ費用超過支出ノ罪ニ因リ刑ニ処セラレタルトキハ当然ニ当該当選人ノ当選ヲ無効トスル趣旨ヲ以テ必要ナル改正ヲ加フルコト
第七 選挙公営
選挙公営ヲ左ノ如ク拡張スルト共ニ無料郵便物ノ制度ハ之ヲ廃止スルコト
(イ) 選挙公報ニ推薦文ノ掲載ヲモ認ムルコト
(ロ) 演説会場ノ公営ノ範囲ヲ可及的ニ拡張スルコト
(ハ) 議員員候補者ノ氏名等ノ掲示ノ公営ヲ行フコト
第八 所謂連坐制
所謂連坐ノ制度ヲ強化スルコト