Martallさんのレビュー
本レビューのヘッドフォン一覧です。
SENNHEISER HD-414
SONY MDR-CD900ST
audio-technica TH-35AV
audio-technica TH-15AV
KOSS portaPro
SONY MDR-EX70
STAX SR-001
FOSTEX T40RP
なお、本稿には電流駆動型ヘッドフォンアンプなるものが登場いたしますが、一般的なものではないので
下記URLに解説を掲載しています。
http://homepage2.nifty.com/hai2audio/Hai/7605A/7605a.html
ご参考に参照頂けましたら幸いです。
以下、機種別独断的感想です。
SENNHEISER HD-414 満足度☆☆☆★★（３）
1980年代に一世を風靡したヘッドホンでオープンエアー型ながらプロ現場でも愛用され、当時のスタジオ風景の写真等には良く写っていました。
購入当時にはその高音質に驚いてそれ以来スピーカーはサブシステムになってしまいました。
でも今となっては過去の音質で分解能、レンジ感、スピード感等、どれを取っても現行モデルに及ばないところが多く、やはりダイナミックヘッドフォンの音質も進化していることを覚えました。発売から20年が経つ現在でもイヤーパッドや交換ケーブルが購入できるのも頼もしいところです。
音質
上記のとおり、分解能、レンジ感、スピード感どれを取っても現行モデルにはかなわないながら、そのバランスはさすがです。
装着感
大型ウレタンパッドのおかげで蒸れなどはありませんが、側圧が高めで耳が押さえられ、長時間装着は辛いところがあります。
その他
一般的ではないですが、電流駆動式のヘッドフォンアンプで鳴らすと中高音のヌケや歪感が向上したように感じられ、電流駆動で常用ヘッドフォンに復帰して愛用しています。
SONY MDR-CD900ST 満足度☆☆☆★★（３）
現在の日本の業務現場の標準ヘッドホンであらゆる現場でこのヘッドホンが音質の原器として使われているようです。
私はSONY業務機器代理店から入手しました。建前上、一般ユーザーには販売されていないとなっていますが、最近は通販で（しかも安く）手に入るようです。
音質
通常のハイファイリスニングにおいて、特筆すべき音質の良さはありません。他の民生機と比べて値段ほどの音質ではありません。
このヘッドホンの真価は業務用だけあって大音量時にあり、他のヘッドホンが破綻するくらいの大音量でもそれなりに再生するところのように思います。反対に小音量は苦手にです。
装着感
やはり少し重いですが、耳をすっぽり覆うイヤーパッドの感触は悪くはありません。長時間装着は若干蒸れ、耳を少し押さえられるので痛くなります。
その他
枯化（エージング）に相当の時間がかかります。1日10時間で音が落ち着くまで2週間、その後も少しずつ音質は向上し、余り使わなかったせいもありますが、1年たって漸く落ち着いたみたいです。
業務用へヴィーデューティー機を家庭で使いのだから仕方がないところと思っています。
一般的ではないですが、電流駆動式のヘッドフォンアンプで鳴らすと音質がに向上したように感じられ、コモリ感、歪感が減り、ヌケが良くなり十分HI-FI的にリスニングできる様になり、良く使う様になりました。
audio-technica TH-35AV 満足度☆☆☆☆★（４）
ある家電量販店で990円で購入したテクニカ普及型セミ密閉型ヘッドホンです。
型名から察するに定価3500円ではないかとおもいます。
音質
安物といって侮っていて完全にやられました。Ｆ特、ダイナミックレンジ、スピード感、歪感どれを取っても一流です。
特質すべきは歪感の無さで、低音でも濁らず余裕で再生します。この低音性能は上記MDR-CD900STを凌ぐものがあります。
ただ、物量の差もあり、音質全般にはMDR-CD900ST
より少し劣る程度に位置付けられます。
装着感
小型の合成皮革イヤパッドを耳に押し付けるタイプですが、プラスチックのフレームを耳の角度に曲げてやると長時間の装着も苦にならなく、良好です。
その他
このメーカーは安物にも全く手を抜かない、恐ろしいメーカーと言うところを思い知らされました。
音だけ聞かされて「一万円です」と言われたら、すんなり払うかも知れません。
枯化は国産ヘッドホンにしては比較的早く、ひととおり落ち着くまで1日10時間で2日くらいで、その後1週間で満足いくレベルになりました。
ケーブルも3.5メートルと長く、軽いこともあって用事をしながら聞くときに装着している事が多いようです。
audio-technica TH-15AV 満足度☆☆☆☆★（４）
これは、あるパソコン量販店で980円にて購入。その後新たに2つ買い足しました。
かねてTVスピーカーの音質に不満があり、これをTV用に購入しました。
音質
これも安物といって侮っていられないもので、Ｆ特は値段が値段なので低音が無いですが、スピード感、歪感、などは小音量時に大変良好。大音量は苦手。
これも小音量時の歪感の無さは大変良く、ネオジウムマグネットのサラサラした音質が楽しめます。
後述する装着感良さもあいまって小音量で音の悪いＴＶ放送を聞き流すには大変具合がよいです。
装着感
とにかく軽いです。薄いウレタンのイヤーパッドの感触も良好でこれもプラスチックのフレームを
暖めて耳の形に曲げてやると装着している事が殆ど気にならない程度になります。
その他
安価な事もあり、大変気に入ったので予備に2つ買い足しました。
KOSS portaPro 満足度☆☆☆☆☆（５）
米国ＫＯＳＳ社のヘッドホンで、結構古くからこのスタイルであったように思います。
オーディオ雑誌を見て米国に注文しようとしていたところ、このヘッドホン紹介ページのリンクよりサウンドブティック超音波を知り早速購入。
国内ではＴＥＡＣが取り扱い。米国では$49らしいですが、国内定価9800円、1$＝200円!?…。
音質
なんと言っても、低音。フワフワ言う極低音から立ち上がりますが、ソースによっては低音が出すぎて中高音に変調がかかる事があるので、そのときは低音を抑制してやる必要があるほどです。
Ｆ特、ダイナミックレンジ、スピード感、歪感、極めて良好。一つ持っていても損はないでしょう。
オーブンエア型であり得ない音質で秘密はどうもダイアフラムのエッジにあると推測しています。
しかし分解する根性が無い為、想像です。
装着感
強力な低音を再生するためか、側圧はきつめ。しかし、それほど苦になりません。
ステンレス製ヘッドバンドの長さを調整する部分に髪の毛を挟み込んで痛い思いをする事があります。
折り畳んでしまえる様に、ヘッドバンド片端にフックがありますが、これが、装着具合により、
耳にあたり、痛いことがあります。
以上かなり痛そうですが、馴れて注意すれば大丈夫です。しかし、装着したまま寝てしまうのは
起きた時、髪の毛10本持っていかれるので注意。
その他
購入時より、枯化は殆ど必要ありませんでした。
この辺もこのヘッドホンの特長で、やはりエッジに秘密があるのではないか?と思っています。
購入最初のものは、中音にビビリが出て、おかしかったので超音波さんにお願いして交換していただきました。
対応良く、電話にての会話より察するにご店主は専門的なかなりの知識をお持ちのようで安心でした。
また、このヘッドホンは使用しているうち髪の毛などが、ウレタンパッドに突き刺さり、ダイアフラムに達して低音にビビリ音を出す事あります。
髪の毛を抜いてやると解消しますが、ダイアフラムを保護する配慮がほしいものです。先の中音のビビリはこれでも解消せず、相談して交換と相成りました。
ケーブルは４ftと実に中途半端な長さで、どうにも使いづらいので、延長ケーブルを自作して使用しています。
あと、完全オープンエアーなので音漏れ全開です。
SONY MDR-EX70 満足度☆☆☆☆☆（５）
SONYがウォークマン発売２０周年を記念し、発売した記念モデルです。
９ｍｍダイナミック型ドライバーユニットを使用した密閉型小型イヤホン。
99年6月発売の限定生産なので発売当初でも結構品切れ店がありましたので現在入手は難しいと思われます。
音質
このイヤホンの音質は全くハイファイ的ではありません。これは、ウォークマンを電車で聞く為？に開発されたイヤホンのようです。
Ｆ特はハイ上がりで、電車などの騒音下では走行音などでマスクされる部分がちょうど盛り上がっていて実に具合良く、
その辺を考慮した結果であると推察しています。
ほかに低音部分走行雑音でもマスクされますが、そこはプレーヤーのBASS
BOOSTでカバーでき、結果的に大変良い結果を得ています。
また、密閉型なので外への音漏れを心配する必要が無く、通常常識的な音量では、外して首にかけていても音漏れは気にする必要がありません。
密閉型の特長の外部騒音の遮音も電車のアナウンスが聞こえる程度の絶妙なレベルになっています。
装着感
シリコンゴム製イヤーピースは柔らかく、装着感は大変良く、また、音の出るスロートは針の穴のように小さく、埃などの進入の心配が無く清潔に使用できます。
ケーブルも細くしなやかでタッチノイズも気にせず使用でき、長さもちょうど良いところになっています。
その他
私はこの会社の製品とは相性が悪く、特に廉価モデルや民生機とは最悪でした。
今回もかなり躊躇しましたが、経験的に限定モデルと業務機はそう悪くないので思いきって購入して見ました。
購入当初の音はケーブルの折れ曲がったひどい梱包とあわせみて不良品と思うほどでしたが、しばらく鳴らしているうちに一挙に落ち着きました。
装着したまま歩くと風切音がピューピューいいます。やはりウォークマンを電車で聞くイヤホンの様です。
全体の造りをみているとあらゆる素材と加工技術が投入できる大メーカーならではの造りの良さがあります。
購入から2年近く愛用していますが通勤時に使うレシーバの不満が一挙に解消しました。
STAX SR-001 満足度☆☆☆☆☆（５）
STAXの下位モデルとして発売された、イヤホン型コンデンサーヘッドフォンです。
携帯に便利な電池式ドライバーとセットになっています。
現在改良型が出てさらに高音質との事。
音質
最初、新幹線でオペラが聴ければいいと購入したのですが、想像以上の音質に世界が変わってしまいました。
ダイナミック型とは一線を超えた正確無比な音です。
聴感では低域から高域までフラットに伸びて、全く濁りのない音がします。
特質すべきは小音量時の音質で、直線性が良いので音量を絞っても小さい音まできれいに聞こえます。
専用ドライバーユニットは電池駆動で小型ながら、さすがにSTAXで絶妙な回路構成でノイズ、歪等も全く不満がありません。
装着感
取り外しできるヘッドパンドを外してイヤホンとして使用しています。
シリコンゴムのイヤーピースは違和感なく装着感は大変良好です。
その他
派手に着けたり外したりするとイヤホンの振動膜が固定電極にタッチして異音がでます。
すぐに故障するものでもないようですが、少し気を使います。
静電型なので、つけている人間の電位とSR-001の接地電位に差があると人間が固定電極になって極小音量のハムを引きます。
また、イヤホンのコードをドライバーや入力ケーブルに絡ませると音が濁ることがあります。
この辺はSTAXの音質レベルで初めて気が付く程度の差異です。
専用ドライバーユニットは単3電池2本で駆動できますが、何度も電池を入れ替えているうちに電池ケースが接触不良になってしまいました。端子が基板の半田にストレスをかけてしまっている様です。
複数の人によるとSR-001シリーズの上をいく音質を持つものは同社の最高級機種のオメガ以外ないとの話も耳にしています。
FOSTEX T40RP
満足度★★★★★（０）（改造後＝２）
フォステクスの密閉型のヘッドフォンです。珍しいリボン型ドライバーのヘッドフォンで、メーカーはコンデンサー型とダイナミック型の特長を併せ持つと言っています。
音質
購入当初、まるで土管の中で鳴っているような音がして大変驚きました。
エージングを経た後もキンキンと響く音が耳に付きとても聴けるような代物ではありませんでした。
不良品とも思いましたが普通不良の場合は方チャンネルだけの不良が殆どですが、これは左右とも同じ音質なのでメーカーに問い合わせる気も失せてしまい、壊れても惜しくないので分解して原因を調べることにしました。
分解した結論は内部に吸音材が入ってなく、ハウジング内部で鳴き放題になっていたのが原因でした。
対策としてくず糸のフェルトを適寸に切り吸音材として詰めてやると、きれいに鳴るようになりました。
吸音材を詰めた改造品の音質はFレンジも広く歪感も低く感じられ密閉型としては大変良好ですが、装着感の悪さもああって常用したくなるほどではありませんでした。
そこでこのヘッドフォンのために製作した電流駆動型のドライバーアンプの聞いてみたところ、正しくうたい文句のダイナミック型とコンデンサー型の中間と言える音質になり、目論見はあたりました。
コンデンサーには届かないものの密閉型ながら極めて高音質のサウンドを聴かせてくれました。
装着感
重量が重く呆れるほどです。大型イヤーパッドもただ丸いだけで人間の形にフィットしているとは言い難いところがあります。
側圧は重量級なので強いですが、頭を動かすとヘッドバンドの自重ですれて、その度にギシギシとイヤーパッドが音を出します。
その他
その他不具合、不満を箇条書きにします。
○ヘッドバンドのアジャスターがヘッドバンドとハウジングをつないでいるコードが片チャンネルだけ短くいっぱいに伸ばせない。
○能率が極端に低く、ＣＤプレーヤーのヘッドフォン端子では最大音量でもまともに鳴らない。（ウチにあるＣＤプレーヤー４機種で確認)
○分解したときに内部の半田付けが所謂「イモ半田」で殆ど「天ぷら」状態。
まあ、自分で吸音材を詰め替えて音質の変化が楽しめるヘッドフォンを入手できたと思って喜んでいます。
良品を入手された方のレビューに期待します。