aoさんのHD600音質改善実験記事
HD600音質UP作戦
本HPの他にも多数の方のレビュー、アドバイスなどを拝見しましたが、HD600(580)+ER-4シリーズを所持しておられる方が多数おられるようです。
大方の感想としてER-4の驚異的な解像度に魅せられてHD600よりもER-4の方を気に入られている方が多いようです。
私もその意見に変わりは無いのですが、HD600の音場の広さなどには捨てがたいものが有りますしER-4に量感を求めるのは無理なのでHD600をER-4に近づける方法を模索していました。
HD600の所持者の意見の中に音量を上げると低音に歪を感じるというのがありました。
STAXほどでは有りませんが、私も多少感じていました。Sennのユニットが低音(大音量)に弱いと思っていたのです。
具体的に曲名を出すとThe Beatlesの'I Feel Fine'です。
ご存知でしょうがイントロでギターのフィードバックとベースのハーモニクスが入ります。右chのギターに問題は無いのですが、左chのベースが歪むのです。
そこで思ったのです、原因はユニットでは無くコードに有るのでないかと。
という訳で今回HD600のコードを自作してみました。
まず問題になるのが弱点ともいわれているコネクター部です。ここは最後に残ってしまいました。(後ほど)
先日、ケーブルを見にアキバに行ったときついでにパーツ類をいくつか買い、たまたまヘッドホンの標準プラグ(金メッキ、230円?)も買って有りました。
肝心なコードですが迷いました。HEADROOMで扱っているKimberのPBJの延長ケーブル(ER-4用)が有ったのでバラそうかとも思ったのですが、GNDが共通なので左右に分ける必
要が有るのと音質面を考えて市販のスピーカケーブルを使う事にしました。
とりあえず実験なので高価なものは止めACROTECの6N-1200にしました。(実勢\2000/m位)
ちょっと太いかとも思ったのですが近場では適当なものが他に無く、なお4芯なので1本でLR両方できるので決めました。
ハンダもオーディオ用の鉛フリー銀入り(和光テクニカル)を新たに買いました。
ケーブルの外皮は剥がし線をバラバラにしプラグにハンダ付けしてプラグ側はすぐに終わったのですが、問題は本体とのコネクター部です。
付属のコードをバラす勇気が無く(根性無し)、とりあえず、手元の有った銅の単線にハンダ付けしました。先端を加工してうまくかみ合うようにしようと思ったのですが、技
術が未熟なのと銅が柔らかいようでうまくいかず格好悪いのですが、手でケーブルを押さえたまま試聴してみる事にしました。
穴の大きい方がホット、小さいほうがコールド(実は確認していません)だと思い込み手で押さえたままそっと頭に乗せてみました。
すると一聴して分かる音の豊かさ!しかしながら手で押さえながらではソースを替える事もままならず、また集中も出来ません。そこで何とかうまく固定する方法を考えまし
た。直付けは危険でしょう。おそらくボイスコイルが熱で切れてしまうと考えたので止めました。(音質上は最高の方法だと思いますが)
他にも色々な方法を考え実行しましたがうまくいかず本物のコネクタを使うのがベストという結論に達しました。
さて、その本物の使い方ですが先の部分だけを利用する方法とコネクタ全体を使いコードを繋ぎあわす方法が有ると思いますが、有る事情と音質面から先端だけ利用する手段を
用いました。
かつてHD−360というモデルを所持しており、買ったときからケーブルが不調でした。
またそれを承知の上で後輩に譲ったのですが。その後輩が我慢できずSennから部品として取り寄せて交換したのを知っていました。
そこでその後輩に「くれとは言わないから、売ってくれ」といったところ快くタダでくれました。
早速、コネクタ部をバラし(意外と柔らかくて切り易い)先端部の金属部(アルミ?)を取り出しハンダ付けしました。これもコードとの接触部分に穴(?)が空いておりハンダを盛易く、簡単に出来ました。
ビニールテープなどで補修しすきまを埋めるようにし接触度を高めました。
装着すると分かるのですが、かなり重いです。スピーカケーブル3mの重さですから当然です。装着感は我慢するとしてもコネクタへの負担が心配です。一工夫必要でしょう(手で支えていないときびしいかも)
さて試聴です。低音の量感は比べるべくも無いのですが、音に今ひとつ透明感が有りません。「失敗か?」とも思ったのですが、低音の量感につられてしばらく使ってみることにしました。
まる1日ブレーク・インさせたあと再び聴いてみると音のヌケが格段に良くなっていました。その後、日増しにヌケが良くなり純正のコードより良いのでは無いかと思います。
スケールも1まわり大きくなった様に思われます。音に高級感があります。
そして問題の'I Feel Fine'ですが、全く問題有りません。コードに容量みたいなものがあるのでしょうか?
現在、約4週間が経過していますが問題は起こっていません。とても満足しています。
結果としてER-4の解像度は得られませんでしたが、使うケーブルによっては超える事は無理でも近づける事は可能であると思います。
色々なケーブルで試してみたいのですが予算の都合とコネクタ部の問題が有り、現在はこれ一本だけです。
デジカメを持っていないので画像でご紹介できず残念です。(そろそろ買わないと)結論として試す価値が有ると思います。パーツと工具が必要なので万人にはお薦めできません
が自信のある方、不満のある方には是非薦めたいと思います。
意見の交換(ケーブルの良否、パーツ問題等)などがかなえば幸いです。
申し遅れましたがsystemは以下の通りです。
CDP :Victor XL-Z999EX
|
|MIT T4i(SAEC SL-1990V2)
↓
AMP :Headroom Cosmic
追記.
その後、ケーブルをツイスト(左右別、市販品の様に上手くは出来ませんが)にしてみたところ低音の量感は少なくなった(オリジナルよりマシ)のですが、透明感、定位などが増しスッキリした音になりました。
ケーブルの選別だけで無く撚りかた等も工夫してみると面白いと思います。
また、プラグを上質のもの(ノイトリック社製など)を使えばよりよい結果が出るのではないかと思います。この記事を読んだ方で小売しているお店をご存知でしたらお知らせください。
HD600音質UP作戦(その2)
実はケーブルの交換以前にも行った実験が有ります。ご紹介します。
入力レベルにも依りますが高音のビリつきが若干感じられる事が有ります。
私の場合はHD−600ですがHD−580の場合はハウジングの材質が違うのでより顕著に感じられるのではないでしょうか。
ER−4などを聴いていて思うのは聴感上の歪みの無さです。思うにハウジングの鳴きの少なさによるものでは無いかと考えました。
ハウジングの鳴きを抑える方法としてはいくつかの方法が有ると思いますが、ハウジングそのものを変更するのは難しいと思うので、制震材を用いる事にしました。
オーディオ誌を御覧になる方はご存知でしょうがスピーカなどではよく実験記事が掲載されています。
ヘッドホンの場合はインシュレータやオーディオボードは使えないので貼って効果の有る制震材を用いる事にしました。
幸いにもHD−600(580)の場合にはヘッドホン本体を簡単に分解することが可能です。そのためこの様なことが簡単に出来ます。
使う制震材ですが適当な大きさということで「レゾナンスチップ」というやつにしてみました。約直径1cmくらいの丸い金属片です。
ただしスピーカと違い貼る場所が限られています。私の場合はユニットの背面(画像が有ると分かりやすいのですが..)にLR3枚づつ逆三角形に貼りました。(位置によっ
てはネットがきっちり閉まらなくなるのでご注意を)
その結果、ビリつきが無くなり刺激的な感が少なくなりました。(音が大人しくなった感も有りますが。)
軽い(1枚で1〜2g?)位なので6枚貼っても違和感など感じません。ケーブルの交換に比べれば無きに等しいです。
貼る位置、枚数などによる違い等は実験していません。おそらく片ch3枚など必要無いと思います。ちなみに広告や記事には載っていませんが直径が半分位の小型のものも存在
し秋葉原では販売されています。貼る場所に選択肢が増えるのでまた違う効果が期待できるかも知れません。(余談ですがその小型のものの存在は私自身がアキバに赴いて知りま
した。何と枚数が同じなのに価格は通常のものと同じです。)
ということでケーブルの交換と違い工具も必要とせずに簡単にできます。
ケーブルの交換は低音増強という結果になりましたが、高音もこの様にして改善できると思います。
是非一度お試しください。(チップが余っても張るところは他にも有りますから)