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- 要チェックヘッドホンリスト -


 リンクページとダブる内容ですが、ヘッドホンのモデル別にリンクしたページもあったら便利だろうかと思って作ってみました。
 作者の主観で人気のあるもの、長らく使われ続けているもの、珍しいものを集めてみました。

 (注目!)はこのページの中でも特に作者が注目しているヘッドホンです。
 独断と偏見に満ちていますが、ヘッドホン売り場にお立ちよりの際はぜひ試聴してみてください。

AKG

国内代理店->ハーマンインターナショナルAKGのページ

K501(注目!)
 ダイヤフラムの厚さを変化させることで歪特性や周波数特性を向上させた「ヴァリモーション・システム」を搭載。 やや線が細く、緊張感のだたよう音で硬いイメージがあるものの、解像力に優れ透明感がある。
 ソースを選ばない素直な特性だが、どちらかというと生楽器向きかも。インピーダンスも120Ωと比較的扱いやすい。軽量で側圧が弱く、装着感は群を抜いている。実売2万円強、サウンドハウスでは1万8千円で販売されており、抜群のコストパフォーマンス。予算2万円ならば一押し。


K1000
 ヘッドホン特有の頭内定位感を解消するために、独特の形状を持たせたヘッドホン(?)。
 ヘッドスピーカとでも呼びたくなるような奇抜なデザイン。
 音漏れは盛大。

K141
 AKGの伝統的なモニターヘッドホン。インピーダンスは600Ωと高く、扱いにくい。

K240
 アメリカのスタジオで採用実績NO.1と言われるモニターヘッドホン。インピーダンスは600Ω。
 レンジが狭いが、大きな破綻の無いバランスの良い音。

K240DF
 K240に、IRTの基準に基づいたdiffuse-field equalizationを仕様に盛り込んだもの。インピーダンスは600Ω。

K240Studio、K141Studio
 それぞれ、K240M、K141Mの低インピーダンス、高能率版。XXLトランスデューサの採用でより高音質になったとしている。

(K240/K240DFがサウンドハウスにてそれぞれ\9,500、\12,000という破格値で販売されています)


audio-technica

ATH-W10VTG/W10LTD/W11JPN/W11R/W100/W2002
(W10VTG/W10LTD/W11JPNは入手困難)
美しい木製ハウジングのヘッドホン。密閉型のためやや癖があり、聴き手を選ぶかもしれない。しかし、密閉型の遮音性や音漏れの少なさが役に立つ場面もあるだろう。木製ハウジングが音質向上のための不可欠な要素とは思えないが、所有する喜びを感じさせるという点で魅力的。現行モデルは、ハウジング容積を増大、音質向上を図ったスタンダードモデルW100と、せいたくな漆塗りを施したW2002。W2002はW11JPN/Rで見られた低域のコモリ感はなくなり、密閉型の豊麗な響きうまく引き出した音。依然低域よりの音だが、ずっしりとした感じがある。基本的には十分高音質で、A9Xよりは格段に良い。作者はW11RよりもW100の方が、コモリ感がなくて好きである。

ATH-AD10/9/7/5
オーディオテクニカは従来高級モデルは密閉型で通してきたが、このシリーズで一転、オープンエア型も発売することになった。背面はアルミニウム製ハニカムパンチングケースで覆い、背圧を完全に逃がすことで、こもり感のない音が得られるように工夫している。残念ながら、作者の耳には、まだオーディオテクニカ独特の低音の濁りが残っているような気がした。しかしAD7あたりは価格的に魅力的で、入門向けとしておすすめできる。

ATH-A9X/A7X/A5XA55
オーディオテクニカの伝統的な密閉型高級モデル。
音質は密閉型特有の癖とシャリつくような刺激感が感じられるが、ロックやテクノ音楽にはパワフルな鳴りっぷりのA9Xなどが適するかもしれない。
デザインはなかなかのものである。

ATH-A100Ti
ART-Monitorの特別機種。W2002譲りのドライバーとチタンハウジングを特徴とする。聴いてみると、少し窮屈で余裕を削った感じながら、確かにW2002譲りの音がする。それでいて、価格はずっと安い。W2002と同傾向の密閉型の音を好む人には、非常にCPに優れた機種となるだろう。


Bang&Olufsen
A8
 「耳かけイヤホン」とでも言うような外見の、クールなイヤホン。
 音質は可もなく不可もなくということらしいが、デザインのよさは突出しているように思う。
 価格は安くはないが、一種のアクセサリとしては魅力的である。
 他にFoam2という耳乗せヘッドホンもあるが、音質評価もなかなかのもの。

 

BeyerDynamic
国内代理店-> 松田通商

(注意!!リンク先はpdfファイルです;ご覧になるにはAdobe Acrobat Readerが必要です)

DT931
 DT931はオープンエア型のハイエンドモデル。高域がよく出、やや色付けがあるが、元気いっぱいの音を楽しませてくれると評判。インピーダンスは250Ω。
 295gという重量は少し重めだが、大きな丸型のベルベット調イヤパッドが耳をすっぽりと覆うようになっていて、快適とのこと。
(DT831/931はヘッドホンアンプの出力インピーダンスが高めのほうがまろやかな音になってよいという話をしばしば耳にします)

DT831
 DT831は密閉型だが、密閉型でありがちなブーミィでダルい感じのする癖が少なく、解像力と明るさを備えた良好な音質であるという。
 子供がすぐそばで寝ているような環境で音楽を聞きたい場合や、ある程度の遮音性を必要とする場合にはこのモデルをご検討ください。ただし、インピーダンスが250Ωなので、ポータブル機には向かないでしょう。

DT990Pro
 diffuse-field eq仕様を持つ、ベイヤーのクラシックなオープンバック型のヘッドホン。やや高域にピークがあるが、全体的に整った聞きやすい音だと言われる。
 インピーダンスは600Ω。ある程度振幅の振れるヘッドホンアンプがないと、ドライブできないだろう。ポータブル機器ではまず使用できないはず。
 

DT770
 同じくベイヤーの伝統的な、diffuse-field eq仕様の密閉型ヘッドホン。遮音性は18dB(wtd.)確保されている。インピーダンスは600Ω。
 密閉型のためか、少し低音が太いと言われる。

DT250
 こちらも密閉型スタジオモニタとして音質の評価が高い。側圧がやや強いが、16dBの遮音性が確保されている。
 写真では分かりにくいが、イヤパッドはベルベット調になっていて、快適性は高そう。片だしコードもあいまって、騒がしく忙しい場所でのモニタリングで威力を発揮しそうだ。
 インピーダンスに関して、80オーム、250オームの2つの仕様の異なるモデルが存在する。

 

Bose
QuietComfort日本語
 独自の低音再生技術「アクースティマス」などを応用した小型スピーカが人気のBOSE。ヘッドホンの分野ではアクティブノイズキャンセラを搭載した製品がある。その中で一般向けとして販売されているのがQuetComfort。他に航空機用、軍用のヘッドセットもある。QuietComfortの評判はそこそこ良いようだが、やや高価な価格設定(直販\39,800)となっている。電池ボックスも気になる。ソニーのMDR-NC20(\12k)、パナソニックRP-HC100(\10k)といったより低価格な類似機種との性能差が気になるところ。

TriPort
 特許技術により、小型ながら深みのある低音の再生を可能にしたヘッドホン。名前から推察すると、共振用のポートを3つ持たせているのだろうか?
 「小型でも深みのある低音」というコンセプトは、BOSEのスピーカの「アクースティマス」技術に通じるところがあると思う。国内では2万円弱で購入可能なようだ。

Etymotic Research

国内代理店->イーディオ (ER-4のページ
メモ−密閉が困難な場合は、白イヤチップに薄くワセリン(メンソレータムで代用できる)などを塗ると、滑りと密着が良くなります。本体・ノズル・フィルタを汚さないように注意。自己責任の上お試しください。
ER-4B/S/P(注目!) 
 音響工学を駆使して開発されたイヤホン。これほどまでに科学的な姿勢を貫いて作られたイヤホンは他にないだろう。優れた遮音性もあいまって、音質は極上。
 用途別に、バイノーラル録音用(ER-4B)、一般用(ER-4S)、ポータブル機器用(ER-4P)の3種がある。特別な理由がない限りは、ER-4Sがお薦め(作者はER-4Bが好きだが…)。
 ポータブルのみならずホームユースでもメインで使える製品である。個人的にはHD600のさらに上をいく音質だと思っている。しかし、ややクセのある製品なので、以下の点に注意が必要。

1.装着法が難しい。正しく装着できるようになるには、若干の訓練を要する。低音を逃さず、十分な遮音効果を得るためには、耳道がイヤチップによってきっちりと密閉されている必要がある。残念ながら、ER-4の試聴レポートの中には、試聴者がイヤホンを正しく装着できていないことを疑わせるものも少なくない。
2.装着感は耳道の形により個人差がある。着けたまま寝られる人もいるし、耳に軽い痛みを覚える人もいる。軽くて汗かきやムレがなく、邪魔にならないのはイヤホンならでは。
3.音の感じ方が普通のヘッドホンとは違なる。音像が頭の中に響いてくる感じ。低音はかなり下までフラットに出ているが、鼓膜で聞いているだけなのでパンチ力は欠ける。低音が全く感じられないという意見もあるが、正しく装着できれば、慣れ次第で普通のヘッドホンと同じか、それ以上に奥深い低音感が堪能できると思う。少なくとも作者はER-4の低音を楽しんでいる。この辺には個人差があるのかもしれない。

 このように書くと欠点だらけの製品のように思われるかもしれないが、その音質と独自性には弱点を補うだけのものがあると信じている。ただ、すこし特殊な製品であることは確かで、初めての高級ヘッドホンとしては推薦しにくい。ER-4のどこがすごいのか理解し楽しむためには、出来ればここに紹介されているような他の高級ヘッドホンを一度ためしてから手にとるのがよい。こういった特殊な製品は、その趣旨や設計思想に共感できないと、楽しみが半減してしまうのかもしれない。ところで、「イヤホン」はより広い意味を持った語で、ヘッドホンはイヤホンの一種なのだそうだ。

ER-6
 ER-4の廉価版で、よりコンシューマ志向で使いやすさとローコストを主眼にした新製品。ER-4を放逐する製品ではなく、音質ではER-4の方が上と言われている。コードはポータブルユースに配慮したもの。イーディオで取り扱いの予定があるようだ(01/12/09時点)。

FOSTEX
 プロオーディオ機器とスピーカのメーカー。ヘッドホンとしては、軽量アルミニウムのプリンテッド・ボイスコイルを使用したRPシリーズがある。コンデンサ型のトランジェントレスポンスとダイナミック型の使いやすさを両立。値段も\10,000(T-20RP)、\11,000(T-40RP)。また、最近になってT-RP50(\15,000)という新製品が登場。振動膜に耐熱素材ポリイミドを用い3000mWの耐入力を獲得。銅箔でジグザグにエッチングされたボイスコイルで縦横の条件を整えている。また、棒状ネオジムマグネットの採用とコンピュータシミュレーションの導入で磁気回路を強力化・最適化し、弱点とされていた低能率を解消したとのこと(98dB/mWとなった)。再生周波数帯域は15-35KHzまでとなっており、確かにダイナミック型としてはワイドレンジだ。ハウジングはセミオープンタイプで、密閉型の遮音特性を維持しながら音質の向上を図っている。

 

FreeSystems
Xdream
 デジタル式ワイヤレスヘッドホンの中では価格(2万円弱)・入手性が良好と思われる製品。アナログ式のワイヤレスヘッドホンは価格が安く求めやすいが、ノイズが多い、周波数特性が悪い、直線性が悪い、サ行が歪む・・・などの問題を抱えている。XdreamはFreespan1901(送信)/1902(受信)チップの採用で2MHzの赤外線を使った無圧縮のデジタル伝送を行い、到達距離7mSNR90dB以上、THD.01%以下、という特性を得ている。トランスミッタはRCAでオーディオ機器と、若しくはUSBでPCに接続する。PC用のソフトウェアにはグラフィックイコライザが付属。単4型電池2本で15時間連続動作ができる。MDR-DS8000の付属ヘッドホンは単3電池2本で7時間だから、動作時間・重量の面で大いに健闘しているといえるだろう。ちなみに、ヘッドホン自体は密閉型で、音質にもこだわっているとの事。せっかくのデジタル伝送なのに、S/PDIF入力がない点が惜しまれる。

 

Grado
->グラド、若しくはグレイドゥなどと発音されているようです。ロック、ポップスの再生にはクリスプな音で定評がある。デザインが思い切り古臭いので好みが分かれるでしょう。 普通の耳覆い型(circum-aural)に対して、イヤパッドが直に耳に触れる耳乗せ型(supra-aural)デザインのため、従来は装着感に難ありと言われていました。しかし最近はイヤパッドが改良され、低音漏れ防止、快適性向上が図られています。詳しくはGoodcansの記事が参考になるでしょう。 また、ヘッドバンドを上手く曲げることで、いっそう快適に使えるそうです。HeadwizeにGradoの改造記事あり。ハウジング内部、イヤパッドの改良、ケーブルを改造してデュアルモノ駆動する試みなどが紹介されている。

GoodCans.comのレビューが参考になります。

SR60(注目!)
 廉価高音質ヘッドホンの決定版。価格以上の音質を有する非常に人気の高い機種。Headroomのグラフを見ると、低音から高音まで滑らかでバランスの取れたグラフを描いている。同価格帯の他社製品と比べると、人気の理由がわかりそう。残念なことに、国内ではそれほど低価格というわけではなく、結構立派な値段がついてしまっている。Headroomでは$69なので、何か他のものを買うときに一緒に頼めむというのも手だ。上位モデル用のドーナツ状のイヤパッドを別途購入するとさらに(音質上)良いらしい。が、装着感では付属のイヤパッドの方が良く、このイヤパッドに穴を開ける改造をすると音質と装着感を両立できるという意見もある。

SR80
 SR60の上位モデルだが、特性的にはSR60に似通っているようだ。現在、SR80からRS1までの機種には改良されたイヤパッドが付属する。

SR125/225/325
 Gradoの中級機種群「Prestige」シリーズ。もしもGradoのラインからSR60以上のものを望むなら、SR80を飛び越してSR125/225にするべきかもしれない。例によってHeadroomの測定したグラフを眺めてみると、SR60とは違い、3機種とも最上位モデルRS-1のものと明らかな相似が見られる。これは期待できそう。 ボイスコイルもRS-1と同じ素材で作られている。SR325はハウジングがアルミニウムで作られていて、その形状はRSシリーズと同じという。RSシリーズへの接続点か。

RS1/RS2
 RSとはリファレンス・シリーズのこと。その最高級機がRS-1。良い意味で味付けされた音を聞かせると言われる。また、音の広がり感にも「まるでアーチストに一歩近寄ったような」などといった独特の評価がある。オープンバックだが、ハウジングはマホガニーをくりぬいた素材で作られている。接続ケーブルとボイスコイルは、超高純度で長結晶の無酸素銅線(PCOCCのようなものだろうか?)で作られている。サイズと音漏れを無視できる環境ならばポータブルユースも可能。インピーダンスは32オームと低く、インピーダンスも安定なので駆動しやすい。アンプメーカのHeadroomをして「ヘッドホンアンプなしで使うためのヘッドホンとしてはベスト」と言わしめている。Headroomは以前RS1に低い評価を与えていたが、イアパッドが改良されてから評価を一変、上方修正したようだ。廉価版のRS-2というモデルもあり、HD600-HD580の関係と同じように、ルックスと音質は非常に似通っている。とにかく音はHD600、Staxなどに並んで良いということなのだが、価格も立派すぎる。Headroomでも$695/$495(RS1/RS2)これが国内で扱っている業者だと10万円を超えることが多い。

 

IXOS
dj-1001
上位モデル。モノラル切り替えスイッチ、片耳モニター機能、高い音圧感度、過大入力保護回路を備え、プロ用を強く意識させる。が、音楽鑑賞用としてもタイトな低音が評価されているようだ。音質上の配慮から、あえて高純度コバルトマグネットを採用。

 

KOSS

国内代理店-> TEACTASCAM)(Kossのページ
コスヘッドホンの歴史→Koss Stereophone Museum

ESP950
 静電型。スタックスやゼンハイザーに比べるとマイナーな印象があるが、この音を一番と言う意見も見かける。
Pro4AA
 コスのモニターの中でも標準的と思われる製品。側圧を強くし、強力な遮音性を確保。音質には癖があるようだ。
PortaPro(注目!)
 携帯用耳乗せ型ヘッドホンの決定版。国産の類似品からは想像できないような、豊かな低音がリスナーを魅了する。
 ポータプロの音は原音忠実ではないかも知れないが、音楽を気軽に、明るく楽しい音で聞かせてくれるという点で魅力的。
 デザインがクラシックなので好みが分かれそうだが、外で付けていて別段おかしいようなデザインではないと思う。
SportaPro
 PortaProの弟版。低音の質感は健在。
KSC-35
 耳掛けヘッドホンの先駆け。ビクターがAL(Armless)シリーズ通称「Be!」を出して成功して以来、国産の耳掛け式は爆発的に増えたが、KSC-35はそれ以前からのモデル。
 KSC-35はPortaPro譲りのドライバを使っており、国産の耳掛け式とは一線を画す高音質を誇る。最近ではKSC-50という製品も発売されている。
The Plug
 その名の示すとおり、耳栓型のイヤホン。こちらもとにかく尋常ではない低音の量。まるで、ポータブルオーディオの低音増強機能を最強にしたような音が出る。中域や高域は案外素直で、ピーク感や刺激感は無く、素直。MDR-ED238より低音が多く、かつ好ましい音だと思う。遮音性はそれほどではない。付属のネットリした質感の耳栓の装着感はあまり良くないと言われるが、こちらにThePlugの快適性をあげる為のtweakが紹介されている。市販の耳栓に半田こてで加熱した針で穴を開け、付属のチップと取り替えようというもの。フランジ型の耳栓を利用したケースも併せて掲載されている。ヨドバシで2千円しないので、低音を求める向きには最高のコストパフォーマンス?

Nakamichi
 SP-K300
 CDショップの試聴コーナーで見かけるヘッドホン。オーディオテクニカの特別仕様のOEMといわれる。人気は高いようで、作者もメールでどこで買えるのかと何度も尋ねられて困ったことがあるが、最近はナカミチのサイトから直接購入できるようだ。

 

Panasonic
オーディオテクニカやソニーにくらべるとマイナーな印象だが、もっと注目されて良いのかもしれない。
RP-HDA100
 DVD Audio規格に対応すべく、3-100kHzまでの周波数特性をもたせた製品。奇抜なデザインのフルオープンエアヘッドホン。
 これに匹敵する性能を持つのは、数十倍の価格のオルフェウスだけだろう。
 ただし、ひとつのユニットでこれだけの範囲を担当するのは無理らしく、ツイータを追加した2ウェイ方式になっている。この方式は必要悪であって、2つのドライバが離れた位置にあることから生じる位相ズレ、ネットワーク部品による能率の低下や、出力インピーダンスに対する安定性などが心配される。作者は店頭試聴しかしたことがないが、どうも中高域がすっきりしない印象を受けた。隣に置いてあったSONY MDR-CD2000の方が、ずっと均整が取れているように感じた。だが、オープンエアとしては、低音の迫力は相当なもの。SONY MDR-F1よりは好印象。ただ、価格が高い。

RP-F30
 2-wayコアキシャルドライバー搭載の半密閉型ヘッドホン。パナソニックお得意のXBSポート(低音共振ポート)で、RP-HDA100登場以前から3Hz-30kHzの広帯域再生を実現していた。

VMSSヘッドホンシリーズ
 「50Hz以下の低音は『聴く』のではなく『感じる』ものである」という視点から、バイブレーション機能を搭載したヘッドホン群。

RP-HC100
 密閉型のアクティブノイズキャンセラつきヘッドホン。価格、形式からして、ソニーのMDR-NC20の好敵手。より低価格のRP-HC70も。

 

Sennheiser

国内代理店-> ゼネラル通商 (Sennheiserのページ

HD600やHD590などはクッキリ・ハッキリ系なので高域が多めになっています。好みの問題ですが、気になる場合は、イヤパッドをはずして、本体とスポンジの間にティシュまたはガーゼを数枚はさめばうまく高域を落とすことができます。ローテクながら確実に効く裏技。他社のヘッドホンにも応用できるものが多いでしょう。

HD600/HD580(注目!)
 「ヘッドホン」の決定版。
 オープンエアデザイン、二重構造duofolダイアフラム、軽量アルミニウムボイスコイル、ネオジミウムマグネットなどの採用によって、コンデンサ型に引けを取らない透明な音質を獲得。低音は多い方ではないが堅く引き締まっているのでバスドラムなどは聞きごたえがある。HD580とHD600の違いはあまり大きくない。安いHD580の方が、コストパフォーマンスでは優れる。HD580は既に製造打ち切りだが、在庫はあるようだ。国内でもうまくいけばまだ見つかるはず。インピーダンスは300Ωなので、若干の注意が必要。装着感は、抜群というほどではないが、かなり良好だ。周波数応答は12-39000Hzとコンデンサ型並にワイドレンジ(一部誤解があるようだが、HD600の18-30,000というのは-3dBでの値)。
 ダイナミック型ヘッドホンのお手本的存在として、おすすめのヘッドホンです。

HD590(注目!)
 HD5xxシリーズ最上位モデル。周波数応答はHD600並みの12-38,000Hz。HD600同様、ハッキリクッキリ志向を受け継いでおり、ゼンハイザーらしい透明感が感じられる。HD600に比べると若干ポップな味付けがされている。ケンタッキーフライドチキンでいえば、HD600はオリジナルチキンで、HD590はクリスピーチキン? 初期状態では音が刺激的だが、使用を続けているうちに、落ち着いてくる。人間工学的なBioNeticデザインを採用していて、装着感もトップクラス。重量もHD600よりはるかに軽い。HD590メモ
 初期状態では高域が多すぎるという評価が良く聞かれるHD590ですが、どうやらHD590のイアパッドに厚みがありすぎ、耳がドライバユニットから離れすぎているために低音が逃げているようです。しばらく使用を続けるとスポンジが適度にへたって、イアパッドの厚みが減ってくると、バランスの良い音に変わります。同時に側圧が分散して、圧迫感が緩和されます。また、少し強めの側圧は、ビデオカセットを10本程度並べて、両端のカセットをHD590ではさんだ状態で1日も放置すれば、ヘッドバンドにうまい具合にクセがつき、弱めることができます。ヘッドホンアンプの出力インピーダンスには結構敏感で、120Ω程度で駆動するとおとなしい音になります。


HD570
 ゼンハイザー独特の澄んだ音色を楽しみたいなら、HD570以上のモデルからはじめたい所。
 このクラスからは、下手な国産では太刀打ちできないような整った音質を有しているように思う。
 HD570もBioNeticデザインなので快適性も抜群。非公式モデルHD575というのがあって、噂ではHD580と同じダイアフラムが使用されているとか、いや違う、HD590のダイアフラムだとか、いろいろ言われている(たとえHD580と同じダイヤフラムとしても、インピーダンス等異なるのでドライバユニット自体は別物と思われる)。

HD25
 密閉型というと普通「耳覆い型」(circumaural design)だが、このヘッドホンは「耳乗せ型」(supra-aural design)になっている。そのお蔭でコンパクトにまとまっていて、携帯用にも適する。それでいて、十分な遮音性を確保している。ゼンハイザーの密閉型(HD200/HD270など)はゼンハイザーとしては驚くほど音が悪い(本当に悪い、2、3千円の国産と同レベル)が、このヘッドホンだけは別。音楽鑑賞用にも十分な音質ではないだろうか。とは言っても、HD600のようなクリスタルクリアな音質ではなく、飽くまでも密閉型の音だから、注意しよう。芯があり、低音はグルーヴィで圧力を感じるような出方をする。欠点は、値段が高いことだ。値段相応の音かというと、そうではないかも知れない。ローコストバージョンのHD25SPもあるが、こちらは手を出さないほうが良いだろう(周波数特性の上限が16KHzになっている)。

HD280Pro(新製品)
 密閉型の新顔。最大で32dBという強力な遮音性を売りとする、騒音の大きな環境での使用を前提とした業務用ヘッドホン。32dBというのがどの帯域での値かは分からないが、単純に数字だけを比較するとBeyer Dynamic DT250の16dBを遙かに上回る遮音性だ。姉妹品として、ヘッドセットタイプのHMD280Pro と、片耳用のHMD281Proがある。音質は未知数だが、この手の製品で音が良い例はあまり無いように思う。しかし、パソコンなどによる騒音に悩まされている人が手軽に使うヘッドホンとしては期待できそう。(入手された方は読者レビューよろしくお願いします)

HE90/HEV90
 通称オルフェウス。恐らく世界でもっとも高価なヘッドホン。静電型である。Headroomに拠れば、定価は$14,900、売価は\$11,900とのこと。国内定価は、280万円だったように思う。国内定価と海外定価を比べてみて欲しい。これくらいのモデルになると、値段などあってなきが如きもので、いかに宣伝費等として無駄に搾取されてしまうかが分かる。試聴する機会を得た人々によれば、音質はなかなか良いとのことである。このシステムをより現実的なものにブラッシュアップしたのがHE60/HEV70だが、こちらはあまり評判が良くない。作者も少しだけ聞かせてもらったが、高域が刺激的で、中域は密度感が足りない感じだ。スタックスのSR007の方が、はるかにスケール感のある音だと思った。


MX500/400/300
 普通のイヤホン。
 ただ、イヤホンとしてはなかなか音が良いとの評価を得ている。MX500は中間ボリューム付の製品。

Sony

MDR-CD3000 (MDR-R10)
 ソニーの音楽鑑賞用ヘッドホンの名作。
 大容積のハウジングのためか、かなりスケール感のある壮大な音楽を聞かせてくれる。最近、英語圏でかなり受けが良いので、興味のある人は日本のサイトではなく、英語圏のサイト(Headwize掲示板等)をあたってみよう。作者には中高域にやや癖があるように感じられた。側圧が弱く装着感は良好だが、重量は0.4kgと重い(kgで書くと重そうに感じられるでしょう?)。植物繊維使用のハウジングやバクテリアが作り出したバイオセルロースダイアフラムが使用されていて、デビュー当時は注目を浴びたようだ。名機には違いないが、デビューからすでに10年近くを経ており、そろそろモデルチェンジが必要と思われる。とは言え、基本的には十分高音質なので、密閉型である必要がある場合には有力候補。R10はCD3000の高級版。ドライバーユニットは別のものを使っているが、材料が高級というだけであって、本質的にはCD3000と変わらないと思われる。技術的にどうしても必要という訳でもないのに無理やりお金をつぎ込んでも、爆発的な性能の向上は見込めないだろう。

MDR-CD2000(注目!)
 こちらは音楽鑑賞用ヘッドホンの最新ハイグレードモデル。CD3000の下位モデルという位置付けだが、世代的にはずっと新しく、必ずしもCD3000が良いとは思えない。音質上の配慮からオープンエアとなっている点がCD3000と異なる。
 CD3000よりワイドレンジで、音のバランスも改善されているように思う。スケール感でも負けていない。ダイアフラムの素材はCD3000で使われているバイオセルロースにベクトランという素材を加えたもので、いっそう性能が上がっているとのこと。装着感が秀逸。イヤパッド全体が耳全体に押し当てられるようになっていて、特定の部分に圧力が集中しないため、疲れにくい。市価2万円のヘッドホンとしてはとてもよく出来ている。
 AKG K501とともに、2万円前半で買えるヘッドホンのおすすめモデルです。

 
MDR-F1
 世にも珍しいフルオープンエア型のデザイン。開放感のある音が楽しめる。MDR-DS5100と組み合わせて、映画を見たりするには最適。音楽用として、純粋な音質には若干の問題があるように思える。ヘッドホンジャックの出力インピーダンスによる音質のばらつきを抑える整合回路を内蔵。インピーダンスは12Ωと異様に低い。

MDR-CD900ST
 日本の録音現場・スタジオでは必ずといってよいほど出現するモニター用ヘッドホン。1.6万円程度で買える事もあるので、値段を考えればハイCP。コモリがなく輪郭がクッキリしている点は評価できる。しかし、プロが使っているという事実が強力な宣伝文句になっているが、必ずしも音楽を楽しむのに最適とはいえないように思う。プロが使っている理由としては音質以外にも、「みんなが使っている」という安心感、価格・耐久性・耐入力・国産で供給が良い、密閉型で音漏れによるマイクへのフィードバックがない・・・など色々な理由があるのではないだろうか。実際のところは、ミックスダウンの調整はヘッドホンでは難しく、スピーカがメインという意見をよく耳にする。音作りの過程で、録音のノイズやアラを探すのがヘッドホン役割であって、その目的によく適合しているのがCD900STなのだという意見もあるくらいだ。MDR7506というよく似た機種が海外で販売されており、逆輸入品もちらほら見かける。こちらはCD900STに比べると若干音のキツさが取れているそうだ。

MDR-Z900
 ソニーの家庭用カテゴリに入っているモニターヘッドホンとしては最高級のもの。ダイヤモンド蒸着ダイアフラムを使用、原音忠実にこだわっているという。過大入力には3Wまで耐えられ、業務用にも使えそうだ。小さく折りたためるので携帯にも便利。カールコードにも根強い需要があるようだ。CD900STよりは音楽鑑賞に向いた音であると言われる。

MDR-NC10/20/11
 マイクで拾った音を逆位相にして出力することで、周囲の雑音を減らすアクティブ・ノイズキャンセラを搭載したヘッドホン(NC20)/イヤホン(NC10)。位相関係が厳しくなってくるので、高い音がキャンセル出来ない、静かなところではかえってノイズが増えてしまう、電池なしで普通のヘッドホンとして使うときは若干能率がさがる・・・などの問題もある。地下鉄のような、定常的な低い音の雑音にはかなり威力を発揮するようだ。新機種MDR-NC11も発表されているが、基本的なところではNC10と変わりない。大仏耳に見えていたデザインが改善され、MDR-EX70を思わせるデザインと長いブッシュが印象的。

MDR-E888
 ソニーが「イヤーレシーバー」と呼称する製品群のうち、最高級のもの。CD3000に使われているのと同じ、バイオセルロース振動板を使用している。絶対的と言うほどでもないが、確かに音は良い。過大入力には若干弱いと言われている。一つ下のMDR-E868もオススメ。サファイア蒸着振動板を使用。少し中高域が出すぎの感もあるが、締まりの良い低音が楽しめる。

MDR-EX70
 耳栓型イヤホン。ある程度の遮音が期待できる。KossのThe Plugのように低音が強調気味ということはないらしい。音を逃がすための孔が開いているので、音漏れゼロということではないようだ。ER-4を知っている者からすると、「世界最小9mm径振動板」といううたい文句はやや滑稽に思える。
 

STAX(注目!)
 
 他のヘッドホンと違い、動作原理が異なるため、ドライバと称する独自のアンプが必要。静電気を利用して振動面を動かしているため、静電型(electrostatic type)とか、コンデンサ型と呼ばれる。振動面全体が均一に動作するため、歪が少なく、俊敏な応答性を持たせることが出来る。
 スタックスのイヤースピーカに限っては、音が悪いという意見をほとんど聞かない。作者も音質については文句の言いようがないと思っている。あとは個人の好みの問題。
 どれを買うべきか迷ったら、スタックスを検討してみよう。ドライバとイヤースピーカ本体を組み合わせたシステム商品が出ているので、その中から、予算に合うシステムを選ぶようにすれば、失敗することはまずない。ヘッドホンマニアの定番といっても良い。普通のヘッドホンと同じようにはつかえない点、密閉型でない点だけ気にしておれば良い。
 純粋に音楽を楽しむということなら、世界一のヘッドホンかもしれない。
 特にSR007は常識内の価格で手に入るヘッドホンとして最高のものであると言われる。組み合わせ商品の主力はSignatureII/ClassicII/BasicIIだが、真空管ドライバを使用したSignatureII、堅実なソリッドステート式でSACD/DVD-Audioにも対応したClassicIIと魅力たっぷり。しかし、本当にすごいと思うのはBasicIIで、ディスクリートA級、DCカップルのドライバが付属して実売3万円台というのはすばらしい。高級ヘッドホンの入門機として、またとないハイCP機。
 4070は密閉型の新顔。うるさい現場でも高音質でモニタできるように、という要求から生まれたもの。密閉度はそれほどではなく、普通の密閉型ヘッドホンと変わらない。少し重いので、装着感が気になるところだ。音質は高域のサラサラ具合などコンデンサ型そのものだが、SR007に比べると癖が目立つ。

 国産のためサポート面でも安心。特にスタックスはクラフトマンシップを大切にする会社で、サービスの良さは群を抜く。作者もいくつかスタックス製品を持っているが、職人気質を強く感じさせるものだ。やや特殊な使い方のヘッドホンですが、おすすめです。70年代のスタックス製品(SR-X2)を持っていますが、そのころ他社のヘッドホンには8オームくらいの紙コーンが入っているのが普通でした。そんな時代からまったく動作原理の違うヘッドホンを黙々と作り続けていたスタックスには頭が下がります。今聞いてみても、2,3万円のヘッドホンとやりあえる音質だと思っています。



ULTRASONE(ウルトラゾーネ)
 国内代理店-> サエクコマース (HFI-2000紹介ページ
HFI-2000
 ULTRASONE独自の前方定位を補助する機能を持たせたヘッドホンの最新版。
 この機能は、発音体ユニットの位置をずらすなどのアコースティックな手段で実現しているようだ。
 したがって、DSPを使ったバーチャルサラウンドヘッドホンの類とは違った自然な音質を楽しむことができる。
 ユニークな機能として、過大入力時にヘッドホンや耳を保護するリミッタ機能を搭載している。
 音がおでこの上をフワフワ浮いているような不思議な感じだが、前方定位をバリバリ実践しているというよりも、むしろ素直な音の良さが印象的だった。
 密閉型のHFI-600というモデルもある。
 

サラウンドプロセッサの類

audio-technica
ATH-SR3
AKG Acoustics
HEARO777/888/999
SONY
MDR-DS5100
MDR-DS8000
Victor
HP-W300RS
Yamaha
DP-U50
KOSS
EQ-50・・・EQ-30の後継の3BANDポータブルGEQ。ユニティゲイン仕様で、ポータブルCDプレヤのヘッドホン出力とヘッドホンの間に挿入して使えるものと思われる(未確認)。AAA乾電池で15-20時間程度動作。価格$19。

ヘッドホンアンプ
 
 これからヘッドホンを買ってみようという方は、まずヘッドホン本体にお金をかけることをおすすめします。最初はヘッドホンアンプは後回しにするか安価なものでも十分です。ヘッドホンは電気信号を空気の振動に換える部分ですから、ある程度物量・価格がものを言う面があるからです。アンプ類の使命は入力された信号を忠実に増幅することであって、設計思想によって大きく音の変わるヘッドホンほどの個性は出にくいものです。性能の良いアンプは、音が良いアンプというよりは音が悪くならないアンプだといえるでしょう。とはいえ、お気に入りのヘッドホンの実力を最大限発揮させるためには、一台単体ヘッドホンアンプがあった方が良いのは言うまでもありません。余裕ができたら検討してください。半導体式ならば、低価格でも十分完成度の高い製品があります。真空管式の場合、20万円以上などの超ハイエンドは別として、4,5万円の製品にはやや音質にクセのあるものが多いので注意しましょう。真空管ヘッドホンアンプには、Hi-Fiを目指したというよりは、柔らかな音、独特の歪特性など真空管的美音を求めるような、思想の違いがあるような気がしています。また真空管を応用しやすい小電力のジャンルとしてヘッドホンアンプを取り上げているという場合も少なくなくように思います。


Headroom(注目!)
 ヘッドホンアンプの定番メーカー。
 バーブラウン製の高級オペアンプを使ったヘッドホンアンプ群がラインアップされている。ヘッドホンの頭内定位感を軽減するクロスフィードプロセッサを搭載しているのが特徴。クセが少なく、製品も予算と用途に合わせていろいろ選べるので、お薦め。ただ、周波数特性が20kHzまでであることだけ注意しておこう。別に、ポータブル用のTotal Airheadもある。個人的にはCosmicなどの中級クラスの製品がおいしいのではないかと思う。上級クラスの製品は筐体やパーツを少し凝りすぎか。価格差ほどの違いはないと考えるのが妥当だろう。


HA-1 (Corda) PortaCordaなるポータブル版も発売。詳しくはNewsで
 ナショナルセミコンダクタ社の高速・高出力オペアンプLM6171を使った製品。あえてオーディオ用でない品種を使っているところが珍しい。Headroomに似たクロスフィードプロセッサをつけている他、出力インピーダンスを0Ωと120Ωから選べる。多くのヘッドホンは低域(と超高域)にインピーダンスのピークがあるので、120Ωで駆動すると、相対的に低域の多い、まろやかな音が楽しめる。出力インピーダンス120Ωは一応規格として決められている値とのことなので、120Ωで駆動されることを前提に設計されているヘッドホンもあるかもしれない。キット版もあるが、最初から完成基盤が入っている「半完成品」タイプの製品ではない。部品点数は少なく、とても分かりやすい回路になっているが、組み立て説明書の類は入ってないそうなので、回路図が読めない人は注意すること。各種工具も必要である。(輸入代行をされているエアリーさんでは日本語組み立て説明書を付属しているようです) OPアンプはDIPタイプのものをソケットに挿して使うので、他の品種のなかから高出力の品を選んで、差し替えて遊ぶということもできそう。

AT-HA2002
 オーディオテクニカの高級ヘッドホンアンプ。A級で32Ωに1.2W/chを叩き込める。パネルには漆塗りが施され、ツマミ類とインシュレータは真鍮削りだしで金メッキされている。出力段には、いわゆるUHC(Ultra High Current;超大電流)MOSの一種、日立のK2955/J554を使用している。これは最大で45A(!!)も流せる品種で、ヘッドホンアンプとしては、正直やりすぎだと思うのだが、この素子ならではの音もあるのだろう。だいぶアイドリング電流を流しているようで、動作中は本体がとても熱くなる。初段〜二段目は、FETとトランジスタの差動2段で構成しているようだ。これはスピーカ用のアンプの解説書でよく見かける簡便な構成。5-200kHzの周波数特性でSACD・DVD-Audioにも対応。同じ半導体式でもHeadroomのCosmicのような中域重視の柔らかく軽快な音とは異なり、低音が力強く、なめらかで響きの豊かな音を聞かせてくれる。ボリュームを上げていくと少しノイジーな感じもするが、製品自体はごく堅実なものと思う。漆など素材の使い方ややや高価な定価に納得できるなら良い製品といえそう。テクニカにはAT-HA2という廉価なヘッドホンアンプもあるが、残留ノイズが多く、ボリューム等のパーツもあまり高級ではないようだ。特性的にもF特20-20kHz(-3dB)、歪み率0.1%(32Ω、150mW/ch)等、少し物足りない。この仕様だと、JRCあたりのパワーアンプICが入っているような気がしてくる。廉価なヘッドホンアンプを探しているなら、BEHRINGERなどのプロ用が1万円程度で入手でき、性能もそこそこ良い。

RA-1 (Grado)
 006P電池2本で動作する、半ポータブルヘッドホンアンプ。木製ケースが美しい。同社のヘッドホンと組み合わせるための製品だが、勿論他のヘッドホンでもOK。一説にはかなりの手抜きアンプらしい。注意されたし。NJM4556(OPアンプ)を使用しているとの情報もある。

HA-1 (山本音響工芸
 真空管式のヘッドホンアンプ。桜材を加工した美しいフロントパネルが高級感を醸し出す。良くも悪くも、普通のヘッドホンアンプとは違った独特の音を聴かせると言われる。出力トランスを使用した製品で、ヘッドホンは30-200Ωの物が推奨されている。ボリュームがあまり高品質の物ではないようだ。周波数特性などの数字が少し悪く、マイクロフォニックノイズも拾いやすい。Hi-Fiを求める向きには少々無理があると思われる。

SCA-7510/7511(Bakoon Products代理店「試聴屋」)
 SATRI式と呼ばれる回路を採用した製品。キット製品もある。パソコン用などの小型スピーカを駆動できる4.5Wの小出力パワーアンプ機能つき。オプションでアッテネータ式ボリュームが用意されている。

Headmaster (Sugden)
 プリアンプにヘッドホンアンプがついた製品。製品の性質上、入力が3つあり、テープイン・アウトもついているので、使い勝手がよさそう。ディスクリート素子の使用とA級動作により高音質化を狙っている。

X-Cans v2(Musical Fidelity)
 安価で信頼できる真空管式ヘッドホンアンプ。ACアダプタで動作。独特のデザインが目を引く。ラインアウトが付いており、同社製他のアンプのテープモニタ端子につないで使うこともできる。

Creek OBH-11(SE)
 小型の半導体式ヘッドホンアンプ。使っている人の話では、電源を強化したSE版が良いとのこと。

Valve X(Ex Pro)
 その名のとおり、真空管式のヘッドホンアンプ。タップつき出力トランスにより、16-600までのいろいろなインピーダンスのヘッドホンに対応。対応インピーダンスが幅広く、適正な価格、ルックスのよさもあって人気。音質は良くも悪くも真空管のキャラクタを生かした音ということだ。


HP2000(SAEC)
 SRSの「SRS Headphone」と、低音を増強する「SRS TruBass」を搭載した製品。SRS Headphoneは、左右の差を取り出して味付けするもので、モノラル音声にはほとんど効果が無く、効果はクセが強い。

HP-4(EAR)
 真空管式の超高級ヘッドホンアンプで、値段は何でも30万円くらいするらしい。

HPA-20(Glasstone)
 これも22万円の超高級ヘッドホンアンプだが、こちらはオール半導体式。「ブルーサーキット」という、独自の回路構成を採用している。オーダーメイド式のようで、注文に応じてバランス入力をつけることも可能。

変り種でこんな製品を見かけた。ICソケット使用で付属の5個の2回路入りOPアンプを取り替えて遊べるようになっている。

 

ヘッドホンメモ
ヘッドホンの店頭試聴は難しい

秋葉原の石丸電気やヤマギワに行くと、壁からヘッドホンが「生えて」いるような場所で、思い思いのヘッドホンを試聴することが出来ます。デザインを見比べたりするのにはとても便利です。ただ、こういう場所での試聴結果は、あまり当てにしないほうが良いようです。
その理由は、1つには、CDプレーヤの出力を無理してタコ足配線していたり、展示品の傷みが激しいと言うのもありますが、それよりも周囲の騒音が問題です。
ER-4S紹介ページにも書いた通り、店頭のような雑音の多い環境では、微小音の聴き取りは難しくなるそうです。そこで音が聴き取りにくいものだから、音量を上げてある訳です。しかし音量を上げすぎると、今度は、人間の耳自体が歪を生じてきます。騒音の多い環境では、騒音性難聴の患者のように、聴取できるダイナミックレンジが制限された状態になるわけです。多少の弱点は聞こえなくなってしまうでしょう。周囲の音がほとんど素通りで入ってくるオープンエア型のヘッドホンと、モニター用として十数dBの遮音を確保しているヘッドホンとでも、聞こえ方が全く違ってくるでしょう。
ヘッドホンごとにセットしてある音量がまちまちなのも困ったもの。本来はヘッドホンごとにちがうインピーダンスや感度を考慮して音量をそろえなくてはいけないはずです。こういう場所では、やはり音量が大きめにセットされているほうが、好印象に聞こえるようです。
流れている音楽が普段聞き慣れたものでないというのも問題です。店員さんに頼めば音楽を変えてもらうことは出来るでしょうが、それをやったら買わないわけには行かないかもしれません。
普段家庭ではセットしないような大音量の時に「いい感じ」に聞こえるようなヘッドホンを買って来て、いざ家で聞いてみて落胆するようなことがないように、気をつけましょう。
特に、スタックスレベルの高級ヘッドホンは、店頭試聴では全く試聴したことになりません。
こういう場所での試聴は、全体的な音質傾向を掴む程度にとどめて、デザイン、装着感の確認に徹するようにするのが良いと思います。(秋葉原の「ダイナミックオーディオ5555」はそこそこ店内が静かで、ヘッドホンアンプもオーディオテクニカの高級機などいくつか選べるようになっています。)

 

ヘッドホンメモ
スピーカ用アンプをヘッドホンアンプ代わりに使う

ヘッドホンジャックのないパワーアンプをヘッドホンアンプとして利用する方法を紹介します。一番簡単なのは、スピーカ出力に直接ヘッドホンを接続する方法。この場合、出力インピーダンスは非常に低くなりますが、アンプの残留ノイズを拾いやすい点、音量が大きすぎてボリューム調整に困る点が問題になります。何かの拍子に非常に大きな音がヘッドホンに入力される可能性があり、ボイスコイルを損傷する危険があります。この方法は、AKGのモニターヘッドホンなど、能率が低く、かつインピーダンスも高くて、多少の電圧が加わっても壊れないような機種を使う場合でない限りはおすすめしません。
スピーカ出力に数百Ωの抵抗を直列に入れれば、音量や残留ノイズを下げ、万一の場合もヘッドホンが壊れにくくなります。プリメインアンプについているヘッドホンジャックには、この方式のものもあるようです。ただし、この方法では出力インピーダンスが高くなるため、ヘッドホン自体のインピーダンスの影響で周波数特性に大きな変化を生じる場合があります。ここで紹介したいのは、スピーカ出力とグラウンドとの間に2本の抵抗を入れて分圧し、そこからヘッドホン出力を取り出す方法。こうすると、ヘッドホンから見た出力インピーダンスは2本の抵抗を並列につないだ値になるため、音量を十分に下げつつ、出力インピーダンスを比較的自由に設定できます。たとえば600Ωと150Ωの組み合わせでは、ヘッドホンから見た出力インピーダンスは120Ωになります。Headwizeの情報によれば、IECではヘッドホンは120Ωで駆動されることを前提として設計するべき、と定めているそうです。実際に聞いてみた感じもちょうど良く、多くのヘッドホンは0Ωの場合にくらべ、適度に低音が増し、まろやかで聞きやすい音になります。120Ωをなす組み合わせはほかにも360Ωと180Ω等、いくつも見つけることができますから、望みの出力インピーダンスを保ったまま、比較的自由に音量を調整できます。もっと低い抵抗値で分圧して出力インピーダンスを下げることもできますが、抵抗のW数に注意しないといけません。上に紹介したような高い抵抗値で作れば1/4W抵抗で手軽に作っても問題ないでしょうし、アンプの負担も軽いのでスピーカとヘッドホンを同時に鳴らせるはずです。 製作例の写真結線の図を用意しました。1/4W抵抗をステレオ標準ジャックの胴の内に収めてしまうことができたので、大変コンパクトになりました。ショートを防止するために、熱収縮チューブを使って被覆しています。抵抗値は上記の例と同じ600Ωと150Ωとしました(600Ωを作り出すために1.2KΩ2本を並列にした)が、100W級のアンプにつないでも十分音量が下がっていて、快適にボリューム調整ができました。(ステレオ標準ジャックの胴の部分に抵抗を収めるのは少し慣れがいるので、初めての方はタカチの小型プラスチックケースなどの中に組み立てると良いでしょう)20分ていどの簡単な工作で普段使い慣れたプリメインアンプ、パワーアンプの音をヘッドホンで聴けるメリットは大きいと思います。(注:グラウンドが共通になっていないアンプではこの方法は使えません。分からない方は、アンプの左右のー端子にテスタを当てて、導通することを確かめてからお試しください)



ER-4シリーズメモ
ER-4B<=>ER-4S変換アダプタ
 ER-4シリーズを使っている方でも、S型B型の両方を所持する方は少ないと思います。そこで、簡易的に2つのモデルの特性を入れ替えるアダプタを考えてみました。あくまで簡易的なものですから、参考程度にお使いください。
 ER-4S to ER-4Bアダプタ    ER-4B to ER-4Sアダプタ
 このアダプタを使うと、イヤホンの能率は約6dB低下しますが、家庭用機器のヘッドホンジャックであれば音量的に余裕があるので特に問題はないと思います。ポータブル用としてはちょっとつらいかも知れません。
 また、ER-4Pに関しては、適当な抵抗を直列に挿入することで、ER-4Sの特性に近づける事ができるという情報が海外のBBSに掲示されていました。


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