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「機動戦士ガンダム-逆襲のシャア-」感想(2003年4月1日・2003年6月24日)
「機動戦士ガンダム-逆襲のシャア-」は1988年にガンダム初のオリジナル長編映画として製作された作品。
ネオ・ジオン総帥となったシャアは地球に居続ける者を粛清するため小惑星「アクシズ」を落とそうと画策。それを阻止せんとアムロがνガンダムに乗り込み戦うと言った内容。
作品としてもハイレベルだが、スタッフに「エヴァンゲリオン」で知られるガイナックスがメカデザインとして参加し、主題歌は当時人気上昇中のTMNETWORKが歌ったのは話題をさらったそうだ。

<感想>
・シャトルで宇宙へ向かうクェスとハサウェイ。頼りない父親に唾を吐くクェス。父親の優柔不断ぶりが気に入らないのか?
・アムロの夢に現れたララァ。ララァはシャアを「彼は純粋よ」と言うが、シャアの純粋にスペースノイドのことを考える心が、アクシズ落としによる人類粛清という極論に達するわけか・・・
・ロンデニオンで休暇に来たアムロ達。馬に乗って現れるシャアはファーストの時の馬に乗って(しかも白馬)セイラさんの前に現れるシーンのよう。シャアの論理を聞いたクェスはシャアのところへ走るわけだけど、自分の家庭環境をシャアの論理とすり替えたからあの悲劇が起こったんじゃないかと思う。
・ナナイがクェスに嫉妬するという描写は恋する女にはかならず出てくる心理。
・シャアの演説(&フィフス・ルナ落とし完了の際の演説)はネオ・ジオン総帥として自らの正当性をアピールしているが、「Zガンダム」のダカールでの演説同様キャスバルとは名乗らない。何故?「ガンダムW」のゼクスは本名のミリアルド・ピースクラフトの名で歴史の表舞台に立ち(そういう状況になったというのもあるが…)、コロニー革命軍の代表として地球に対し宣戦布告をした。シャアもキャスバルの名で歴史の表舞台に立っていれば多少は歴史は変わったかもしれないが・・・シャアがキャスバルと名乗らないのは私的に父のジオン・ダイクンを越えられないと思ったのか、父とは違った方法を模索していたのだろうか?
・「F91」がファーストのリメイクとするなら、「逆シャア」はZガンダムのリメイク。カミーユがクェスに、ハサウェイがカツに当てはめれば納得がいく。確かにクェスの家庭環境はカミーユのそれと酷似しているし、クェス自身もすぐヒステリー気味になるし、戦場では色々な人の思念を敏感に感じ取っていたから。ハサウェイはニュータイプの素質を持っているけど(やはりクェス同様、戦場での人々の思念を感じ取っていたから。)、若さゆえか先走りしやすい傾向にあるし、一時的な感情でチェーンを殺してしまうし…
余談になるがハサウェイの声は当時某美少年アニメと某ジャパニメーションに出演していた佐々木望さん。ゲーム「G-ジェネF」のムービーシーンでハサウェイの声を聞いたときは幻滅してしまった。声が当時のと違いすぎたので…
・「逆シャア」は男の情けなさ、男の愚痴が出ている作品だとか、「ただの自分」でいたい男と様々な他人と知り合い強い人間となった男の戦いだと論評にあったが、私的には人類の行き先に絶望した(&先のことしか考えない)男と人類の未知の可能性を信じる男の戦いだとも取れる。(セリフから察するに)
・終盤のアムロとシャアの一騎打ちシーンの感想。生身で対峙するところはアムロはメカヲタクらしいところを見せています。MS同士の一騎打ちシーンではニュータイプ同士の戦いではあるものの、Zガンダムのようにオーバーな表現はなく、戦いの臨場感を感じるほどスピーディー。
・ラスト、アムロとシャアがクェスのことで口論になるが、シャアがアムロの言葉でクェスは父親を求めていたのに、シャアはそれを迷惑がっていた事に気づき(アムロはクェスの父親役ができないとわかっていたからあえてクェスを遠ざけていた)本音を漏らすことになるが、シャアの「ララァ・スンは私の母になってくれたかも知れなった女性だ!ララァを殺したお前に言えた事か!」発言には驚かされたが、ララァを殺されたことについてはファーストでセイラさんも言っていたがお互い様だろう!?と突っ込みたい。中年男のマザコンは最低だと思いつつも某BBSでの発言「男はみんなマザコンでロリコン」と言うのを読んでから「逆シャア」を見ると妙にリアルに感じた。
・確かにνガンダムのデザインはスタイリッシュでいい。当初「逆シャア」のメカデザインは永野護氏が担当することになったらしいが、都合で降板になり、出渕裕氏の書いた案が通ったらしい。サンライズ・バンダイの保守的路線は「逆シャア」で決定付けられた?永野氏のHi-S(ハイエス)・ガンダム88とナイチンゲール、見てみたかったなぁ・・・
最新ガンダム「SEED」のガンダムはパクリもとい堅実な感じだが(「G」「∀」のメカは常識外れのものもいたが)、「逆シャア」で永野氏のガンダムを採用しなかったから、保守的路線は崩れないような気がする。
・「ファースト」から「逆シャア」でシャアの迷走を書いているが、シャアは富野氏自身だと感じる。初代ガンダムが作品的・商業的に成功して、Zガンダム製作の依頼が来た時は「ガンダムを始めたらかなり続くぞ…」と予感したらしいが、案の定Zガンダムからガンダムはシリーズ化され、富野氏はガンダムしか作らせてもらえない環境に苦しんだんだろう。それがシャアの迷いとシンクロすると感じている。
・「逆シャア」はアムロのヒーロー性が強調されている作品。最近、「聖闘士星矢」にはまっているせいか、アムロのセリフが星矢っぽく聞こえるのは気のせい?

<私的名(迷)セリフ集>
「エゴだよ!それは」(アムロ)
「地球がもたん時が来ているのだ!」(シャア)
シャアも彼なりに地球の行き先を感じているが…

「これでは道化だよ」(シャア)
「Z」のダカール演説後にも似たようなことを言うが…

「人間の知恵はそんなものだって乗り越えられる!」(アムロ)
「ならば今すぐ愚民共全てに叡智を授けて見せろ!」(シャア)
ロンデニオンの中で出会い、取っ組み合いの喧嘩までやった二人のセリフ。アムロのセリフは人間の可能性をアムロが信じていることがわかるセリフのひとつ。

「人類全体をニュータイプにするためには誰かが人類の業を背負わなければならない…」(シャア)
シャアって、何もかも背負い込みすぎる。

「本当だね!ナナイを折檻してやって!」(クェス)
そんなことを言うけど、軍の規律になじめないクェスがわがまま過ぎる気がする…

「大佐はジオンの一年戦争の時に使ったパイロットのララァに取り憑かれてるんだぜ!
       けど、大佐は総帥らしく見せるためにナナイと付き合ってさ・・・ロリコンじゃないかって…」(ギュネイ)
「私がララァとナナイを追い出すんだから!」(クェス)
「ララァをアムロに取られたから大佐はこの戦争を始めたんだ!」(ギュネイ)
「そんなことを言うから若い男は嫌いなんだ!」(クェス)
クェスに振り向いてもらおうと思うギュネイの魂胆は見え見えだが、彼のシャアに対する評価は当たっている。

「すまんな…みんなの命をくれ。」(ブライト)
アクシズの地球落下阻止のための作戦会議をしているシーンの最後にブライトが言ったセリフ。

「大佐!私、ララァの身代わりなんですか?」
「私は大佐を愛してるんですよ。何故?私は大佐のためなら死ぬことだってできるわ。」(クェス)
クェスの覚悟がでているセリフだが、クェスはシャアしか眼中にないし、シャアはクェスを女性として見ていない…

「子供は嫌いだ!図々しいから!」(クェス)
「そんなことを言うから若い男は嫌いなんだ!」発言でも言えてるが、アンタも子供でしょ!?
(それを言ったらお終いか…?)

「嫌な女…お前がいなければアムロのところにいられたのに・・・」(クェス)
恋する者が他の人間に嫉妬するのは当然の感情だが、クェスの場合はそれが露骨に出ている。同性には嫌われるタイプだろうなぁ…

「やっちゃいけなかったんだよ!そんなこともわからない大人って地球だって平気で消せるんだ!」(ハサウェイ)
そう言ってチェーンを殺してしまうハサウェイ…小説「ベルトーチカ・チルドレン」ではクェスを殺してしまうし…ニュータイプ同士の出会いは悲劇しか生まない…

「ララァが死んだ時の苦しみ・・・存分に思い出せ!」(シャア)
「情けないヤツ!」(アムロ)
シャアはララァの想いに縛られすぎ。

「ふざけるな!たかが石っころひとつガンダムで押し出してやる!」
「貴様ほど急ぎすぎもしなければ、人類に絶望もしちゃいない!」
「νガンダムは伊達じゃない!!」(アムロ)
「貴様ほど・・・」のセリフはアムロ嫌いな自分でも好きなセリフ。人類の未知の可能性を信じる彼らしいセリフ。

「地球がだめになるかならないかなんだ。やってみる価値はありますぜ。」(名もないネオ・ジオン兵士)

「ララァ・スンは私の母になってくれるかも知れなかった女性だ!そのララァを殺したお前に言えた事か!」(シャア)
シャアが究極のマザコンだとわかるセリフ。

<メディアガイド>
映像ソフト:ビデオ(4660円)・LD(5631円)・DVD(6000円)
*ビデオ・DVDはレンタル可能
CD:オリジナルサウンドトラック(ソニーミュージックエンターテイメント)
   *シングル「BEYOND THE TIME-メビウスの宇宙を越えて-」(ソニーミュージックエンターテイメント)
*「BEYOND THE TIME-メビウスの宇宙を越えて-」はTM NETWORKのアルバム「CAROL」(別バージョンで)と
ベストアルバム「TIMECAPSULE-ALL the SINGLES-」にも収録されている
本:小説版「ベルトーチカ・チルドレン」(角川書店)
  *小説「ハイ・ストリーマー」(上・中・下)(徳間書店) 
*徳間書店の「アニメージュ」上で富野氏が連載していた小説を本にしたもの
小説版の作者は富野由悠季氏
  コミック「逆襲のシャア」(漫画:ときた洸一)(講談社) 
  ムック:ニュータイプ100%ムック「機動戦士ガンダム-逆襲のシャア-」(角川書店)
ゲーム:PS用ゲーム「機動戦士ガンダム逆襲のシャア」
システムはPS版「Zガンダム」を踏襲し、「Zガンダム」でも好評だったデジタルムービーも収録。対戦モードも搭載している。現在はロープライス版で入手可能

*感想・メディアガイドを書くに辺り参考にした資料
GUNDAM EPISODE GUIDE3(角川書店)


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