ダンクーガ私論・2
小説版「獣機神曲」感想
OVA「白熱の終章」の後日談で亮が主人公。謎の武装集団に妻であるダニエラをさらわれた亮が単身メキシコの奥地に向かうが、謎の武装集団はナチスの残党で忍・沙羅・雅人も陰謀に巻き込まれていく…という内容。
この本はビデオを見てダンクーガのファンとなったときからずっと探していたもの。探し始めてから4年という月日を経て手に入れたのですが、このことを話すと身内には「執念深い」みたいなことを言われたというエピソードがあります(苦笑)
1章「人獣」
事件の発端的な章。亮と同じ拳法の達人で兄弟子と言う立場の人物が登場したり、TV版5話の沙羅のセリフで亮は獣戦機隊に入る前は武者修行の旅に出ていたと言っていたけど、その武者修行の旅のエピソードが書かれていたり、何故亮が拳法をやっているのかがわかり興味深い。亮の表向きはクールだけど根は熱血漢な所は本人が言う「獣の心」に所以するものなのか?と思ったりする。
TV版では猛獣やアンドロイド相手に格闘したことがある亮ですが、この小説版では獣を思わせる男達と格闘するなど所々で亮の人間離れした身体能力を窺い知る事ができるが、そんな亮もスパロボじゃ「Gガンダム」のドモンにはかなわなかったのよね。(苦笑)
2章「邪都」
最初は雅人が優れたオーナーぶりを知る事ができたり、雅人の会社で開発している新合金のネーミングがガンダリウム(「Zガンダム」以降の時代に登場した合金の名前で初代ガンダムに使用していた装甲・ルナ=チタニウムの別名)に通じるものを感じたり。
亮にインディオの少年を託された忍はニューヨークへ。忍はニューヨークに住んでいるのだが、一体何の仕事をしているのだろう?
捕らえられたダニエラはある屋敷(?)にいた。屋敷にいた軍人と思しい男に純血がどうのという書類を受け取るなり彼女はすぐに破り捨てたが、男の言うとおりラテン系は威勢がいいですぁ…
3章「魔林」
ダニエラが連れられた先はメキシコ奥地に建設された都市「ネオ・ゲルマニア」であること、男(シークフリード)がナチの残党の一員で敵の素性がわかりかける章。思えばこの作品の敵は地球人ですが、「ダンクーガ」がリアルなスーパーロボットものと考えるとこういうのもあり?
シークフリードは多少品のない男である事、亮がスペイン語はもとより、ドイツ語まで話せるなどキャラの意外な一面を知る事ができるシーンもあるが、その反面、亮が冷静沈着な判断力でもって行動するところなど各キャラらしい描写も見ることができる。
ナチ残党のアジトに忍び込むため、亮が変装を披露しますがナチスの軍服姿の亮…見てみたい気も…余談になりますが彼、ジオンの軍服姿も似合いそう…
後半にはナチ残党のリーダー格の男であるクラウスが登場。私的にクラウスのイメージボイスは堀秀行さんですね。
4章「人獣再び」
ナチの連中が"最終解決"なる大計画を打ち立てていることがわかる。クラウスが質素を美徳としている男で鋼のサイボーグ(藁)だったり、ヨハネスが二重人格だったなど、ナチ残党の連中の意外な一面を知る事ができる。
さらにヨハネスは人の心に入り込み、自分の手足にする事ができる術を会得しているがなんか超能力者みたい。
葉月博士の下へ向かう忍と沙羅だが、その途中で特殊兵士に襲われる…というところで舞台は東京へ。自分の会社所有の工場を爆破した犯人を探すため、軍のデータベースにハッキングをする雅人がすごいし、緊急時の脱出装置を密かに作っていたなど周到な人です。
特殊兵士に襲われた葉月博士。銃を使うシーンがありましたが相当な腕前である事がここでわかります
5章「竜醒」
ナチの残党が打ち立てている大計画”最終解決”は連中が言うところの”劣等人種”(よーするに白人(ゲルマン人)以外の人種)を根絶やしにする計画である事が判明。ナチスの連中は恐ろしいほどの選民思想を持っているようで…(歴史上最大の悪業とされるユダヤ人虐殺を行ったという事実もあるし)
ナチの連中の切り札ともいえるロボット”オリュンピア”が登場。挿絵を見るとリアルロボット的な外観のロボットであることがわかります。
亮を助けに行こうと忍たちも行動を起こす事に。雅人の会社の最新鋭機を借りて行動を起こす忍のトンでもぶりを知る事ができる。
ネオ・ゲルマニア決起の日…同志の前で決起の演説をぶつクラウス。カリスマのある男である事がわかる一コマです。
”オリュンピア”と同調するクラウス。意識を集中させてメカと同調するわけですが、メカと同調すると肉体から魂が抜け出る代わりに魂がロボットを制御するなんてかなり奇妙な技術です。出撃前に誓いの敬礼(おそらくナチス式で)までしてます。
6章「炎獄」
最終章。前半は亮とジャガーの男との再戦、後半はメカ戦という構成。
ネオ・ゲルマニアに突入した忍と雅人。だが彼らの乗る戦闘機はオリュンピアによって撃墜されてしまうところで地下道に場面が変更。亮とジャガーの男の戦いは壮絶なものである事がわかる描写が多々見ることができる。
獣戦機を自動操縦でパイロットのところまで運ぶ描写が登場。アニメでは見られない描写では?
一目で自動操縦時のイーグルの動きの甘さを指摘した忍。戦闘機の操縦に関して天才的な才能を持っているだけのことはある。
亮がダニエラを救出した後はメカ戦がメインとなる。ダンクーガ対オリュンピア戦前に4人のノリのいい会話を読むことができるが、獣戦機隊のメンツはこうでなくては・・・
合体したのにオリュンピアに翻弄されるダンクーガ。小説でもアニメやスパロボにあった打たれ弱いところを見せます。
断空剣も格闘も通じないオリュンピアの動きを封じるためにガンドール砲を使う事を葉月博士に要請する忍。やることが無茶です。そこが獣戦機隊が問題部隊と言われる所以なのかもしれないが。
ガンドール砲でオリュンピアの装甲を貫く事に成功した後単身、ビッグモスが断空剣を拾い上げ亮の精神力で刃を形成したが、断空剣ってどこに落ちてたんだろう…
断空剣でオリュンピアを倒す事に成功した亮だがオリュンピアはまだ生きていた!リアルロボット然とした姿ではなくメカも剥き出しになり醜い姿に変化。炎を背に立ったオリュンピアを見た忍はネオ・ゲルマニアにある石油の油田を利用する作戦を立てた。ここでも獣戦機隊のトンでもぶりを知る事ができる。