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尖閣諸島の領有権問題

「日台条約」

 一九五二年八月五日)第二条(領土権の放棄)「日本国は、一九五一年九月八日にアメリカ
合衆国のサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約(以下サン・フランシスコ条約
という)第二条に基づき、台湾及び澎湖諸島並びに新南群島及び西沙群島に対するすべての
権利、権原及び請求権を放棄したことが承認される。」。この中の新南群島は一九三九(昭和
十四)年三月三十日に「先占」によって日本領として高雄市の管轄に編入されたものである(宮
崎繁樹著『国際法』日本評論社刊、二一二〜三頁)。「先占」による領土取得をしたのに放棄し
た理由は何か。それは「無主の地」ではなく中国領土であったからである。西沙群島について
は中国とフランスとのあいだに領土権についての糾争があった。西沙群島には燃鉱石があっ
た。「従って日本としては領土権というものを特に主張したことはございませんけれども、」いろ
いろな意味で、ある場合には、これは事実こっちのものであるということを言ったこともないこと
はない」(一九五二年五月二十八日「日台条約」についての衆議院外務委員会における岡崎
勝男外務大臣答弁)という西沙群島も放棄した。西沙群島もまた中国領である。日本が領土
主権をとくに主張したことのないこの群島も放棄してしまった。無主地の先占をしたのだから返
す必要がないということが通用しない実例である。
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