尖閣諸島の領有権問題
華声和語
華声和語第102号
http://www.come.or.jp/hshy/j96/10b.html
1996年(平成8年)9月3日発行
【中日関係】
中国への野心は秀吉以来
29日付けの 解放軍報が、日本に対する警戒を訴える論文を掲載し、日本は中国大陸に対し豊臣秀吉の時代以
来、野心を抱いてきたなどと厳しく批判した。
論文は、十六世紀に豊臣秀吉が明の征服を企てて以来、日本は甲午(日清)戦争や日露戦争、満州国建国、盧
溝橋事件など次々と対中侵略を行ってきたと指摘。日本の一部政治家はこうした侵略の歴史を改ざんし、軍国主義
の罪悪を覆い隠そうとしていると非難した。
さらに、国会議員の靖国神社参拝や憲法改正要求の高まり、自衛隊の防衛範囲の拡大、防衛予算の増額などを
挙げ、「日本の今後の動向に警戒を強めざるを得ない」と結論付けている。
華声和語第103号
(平成8年)9月6日発行
【領土問題】
釣魚島問題で沸き上がる対日抗議の渦
釣魚島(日本名・尖閣諸島)の領有権をめぐり、中国や台湾、香港が日本政府への反発を強めている。
台湾外交部は同日、領有権をめぐり日本との間で係争中の釣魚島周辺海域での日本海上保安庁による一連の台
湾籍船の取り締まりに関連して談話を発表。「日本側による台湾領の釣魚島周辺海域での度重なる不法な領土侵
犯行為は、両者間の友好関係を著しく損ねるものである」と激しく非難するとともに、日本政府に対し自制を要求し
た。同外交部は、領有権問題で譲歩するようなことは断じてあり得ないと強調した。
同じく、六日の香港各紙は釣魚島問題を一面トップで報道し、過去の戦争に絡めて日本の対応を攻撃するなど激し
い対日批判を繰り広げた。
香港では、十五日の大規模な対日抗議デモ行進に続き、満州事変ぼっ発記念日の十八日には、ろうそくをともす
対日抗議集会も予定されている。
六日の明報は一面すべてを使って釣魚島問題を報道。「中国人民は怒っている」などの派手な見出しが紙面に踊
り、社説では「地域の安全に脅威を与える日本の非平和的本質が明らかになった」と非難した。
蘋果日報も日本の上田秀明・駐香港総領事が釣魚島問題を「小さな事件」と発言したなどと強く反発。約二百五十
人を対象とした世論調査結果として、日本の政治団体が同島に建てた灯台を破壊することに六割が賛成したと伝え
た。
報道が過熱する中で、抗議行動も活発化している。立法評議会議員らは来月釣魚島に向かうため、船のチャータ
ー費用を募るキャンペーンを開始した。
こうした対日抗議活動の主導権をとっているのは、香港の民主化をめぐり中国と対立している民主党のメンバー
だ。しかし、今回は香港における事実上の中国代表部である新華社香港支社に「釣魚問題への対処」を請願するな
ど共闘の姿勢をとっており、釣魚島問題は、台湾を含めた「オール・チャイナ」対日本の構図になりつつある。
一方、中国でも、中国の有力紙、工人日報の陳宗舜記者ら新聞出版界の三十一人が五日、釣魚島問題で日本政
府への抗議声明を発表した。江沢民・中国国家主席らの対日発言、台湾や香港での反日行動と連動しており、日本
への風圧が一気に強まりそうだ。
声明は、日本政府が政治結社の建てた灯台を撤去しないことが主権侵害だと反発、「『大東亜共栄圏』の古い夢
が、釣魚島で再現されようとしている」と述べ、あくまで灯台を撤去しないなら、中国軍艦を派遣すべきだと訴えた。
この問題について、日本外務省の橋本宏報道官は六日、「尖閣諸島は日本固有の領土」とする従来の日本政府の
主張を繰り返すとともに、「中国との友好関係や、台湾との良好な実務関係を重視しており、影響が出ることを望んで
いない」と述べ、事態の沈静化を呼びかけようとした。さらに、日本の政治結社が灯台のような施設をつくった問題で
中国や台湾が日本政府の対応を批判していることについては「政府が団体の活動を支援しているわけではない」と
反論した。
華声和語第104号
http://www.come.or.jp/hshy/j96/09c.html
1996年(平成8年)9月17日発行
領土問題●中国徐大使は尖閣の灯台建設で抗議
領土問題●釣魚島の灯台認可に否定的−−日本外務省
領土問題●米、釣魚島の領有権問題は中立
領土問題●釣魚島灯台爆破の台湾「決死隊」、23日にも出発
【領土問題】
中国徐大使は尖閣の灯台建設で抗議
中国の徐敦信駐日大使は十一日午後、外務省に林貞行外務事務次官を訪ね、日本の政治結社が釣魚島(尖閣
諸島)に灯台を設置した問題について「釣魚島とその付属の島は昔から中国の領土だ。日本側が直ちに措置を取っ
て中日関係への悪い影響をなくし、今後再発しないよう保証してほしい」と抗議、灯台撤去を申し入れた。
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【領土問題】
釣魚島の灯台認可に否定的−日本外務省
時事通信によると、釣魚島(尖閣諸島)に日本の政治結社が新たに灯台を設置したことに対し「(海上保安庁に)認
可については慎重に対応してほしいと伝えてある」と述べ、灯台の認可に否定的な考えを示した。この問題をめぐっ
ては、中国が「領土主権侵犯だ」として、灯台の撤去を求めるなど日本政府に強く抗議している。
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【領土問題】
米、釣魚島の領有権問題は中立
時事通信によると、米国務省のバーンズ報道官は十日の記者会見で、中国、日本、台湾の間で領有権争いが再
燃した釣魚島(尖閣諸島)問題について、「米政府はどの国の主権も認めていない。紛争当事国が武力によらず、交
渉を通じて平和裏に解決するよう望む」と述べ、日本の主張を支持することを事実上拒否した。
釣魚島は第二次大戦後から一九七二年の沖縄返還まで米国が支配し、沖縄返還とともに日本に移管されたが、
報道官は「国際紛争であり、特定国の主権を認めない」と中立姿勢を重ねて強調。「関係国が直接話し合うよう希望
する」とし、米政府が仲介の労をとる意思のないことも明らかにした。
日本の外務省筋によれば、日米間の沖縄返還協定の線引きでは、同島は日本領と明記されているが、海底資源
をめぐって領有権争いが浮上したのに伴い、米政府は中立姿勢に転じたという。国務省当局者は「尖閣諸島をめぐる
米国の立場は関係国に知らせてある」と説明した。
米政府はこのほかの日本の抱える領土問題に関して、北方領土問題で日本の立場を一貫して支持しているが、
日本、韓国間の竹島問題では中立姿勢を保っている。
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【領土問題】
釣魚島灯台爆破の台湾「決死隊」、23日にも出発
時事通信によると、中日間で領有権争いがある釣魚島に船で乗り付け、日本の政治結社が建てた灯台を破壊する
計画を立てている台湾の「受刑者更生サービスセンター」の董念台社長らは十四日記者会見し、計画の実行部隊
「爆破決死隊」は入獄経験のある六人で構成し、二十三日から二十八日の間の潮流のいい時期を選び決行すると
語った。
参加する六人はかつて徴兵で陸、海軍に所属し、爆破や潜水の特殊任務の訓練経験を持つという。董社長は「六
人は既に死亡同意書に署名し、もし戻れない場合は、遺族に六十万台湾元の弔慰金を支払う」と語った。
台湾当局は自重を求めており、一般市民も同センターには暴力団関係者が多いことから、「暴力団員の英雄気取
り」と冷ややかに見ている。
華声和語第105号
http://www.come.or.jp/hshy/j96/09s.html
1996年(平成8年)9月18日発行 1994年(平成6年)11月 1日創刊
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目 次●com/j1996/09s.txt next (j1996/09d) previous (j1996/09c)
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領土問題●釣魚島の歴史的真実について 魯 掖
領土問題●釣魚島灯台問題を迅速に解決し、中日関係の前進を 徐 剛
編集後記●
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【領土問題】
釣魚島の歴史的真実について
魯 掖
日本侵略主義者がこの百年来ずっと我が国の釣魚島を狙ってきた。最近になって更に過激になった。我が同胞に
歴史の真相を知ってもらうために、歴史資料に基づいて、この文章を書いた。
●釣魚島は明朝も清朝も中国に属した
釣魚島は台湾の東北に位置し、釣魚台島、黄尾嶼、赤尾嶼等八個の島礁を含む。中でも釣魚台島は最も大きく、
面積四点五平方キロで、島には九つの峰があり、主峰は海抜三百六十九メートルの高さである。資源豊富な釣魚島
は付近の海底に八百億バレルの石油があると言われている。
釣魚島は台湾基隆港から僅か百九十キロしか離れておらず、沖縄からは四百二十キロもある。釣魚島は中国大陸
棚の自然延長からなり、大陸との間の海は最も深い処でも二百メートルの水深しかなく、琉球方向に三キロいくと二
千メートルの深い海溝が横たわる。地理的には、釣魚島は琉球列島とは関係がない。
●列島の最初の名前
中国の古い文献の中の、明朝永樂元年(一四○三年)の《順風相送》という書には、釣魚島の航海針路と島々の名
称については既に記述があった。この書の原抄本は現在英国オクスフォード大学ボドリン(鮑徳林)図書館にある。
一九六一年中華書局が出版した《兩種海道針經》には、《順風相送》が海道を示す針路の一つとしてリストされてい
る。その序文では、《順風相送》は永樂元年に既知の航海針路を校正に校正を加えた成果として編成されたものだと
書いてある。
《順風相送》の中には、海に出たら東南方向で行くと台湾に付き、そこから東北方向で少し北よりして行くと”釣魚
嶼の南側”に到り、そこから東へいくと“赤嶼” に至り、更に東南へ行って琉球にたどりつく、と書いている。これは、
釣魚嶼、赤嶼(即赤尾嶼)等の名称は一四○三年、或はその以前に既に我が国に命名されていたことを意味してい
る。これらの名称は明清の五百余年以来現在までずっと使用されつづけてきた。
●“尖閣諸島”の名前の由来
一九○○年(一八九五の誤りかもしれない:訳者)以前の日本文献の中では釣魚島の名称に我が国が決めた名
称を採用していて、中国領としていた。例えば江戸幕府時代、日本の学者林子平が書いた《三国通覧圖説》(一七
八五年出版)は付図の中で、“釣魚台”、“黄尾嶼”、“赤尾嶼”を明確に中国福建海域内にあると書いているのみな
らず、我が国の定めた名称を使っている。一八四五年六月英国”サマラン(薩瑪朗)”号軍艦が釣魚島を測定したこと
があり、一八五五年にその測量結果を《台湾――日本間諸島嶼及附近中国沿海圖》にて公表した。英国海軍は釣
魚島の東南の大小の岩礁を総じて“尖礁群”と呼んだ。
一八六六年,日本明治十九年、日本海軍省水路局が編集した水路志の《寰瀛水路志》も上述した圖や記述に従っ
ている。更に漢字で“尖閣群島”と併記している。当時指していたのはただ釣魚島東にあった岩礁群であった。まさに
日本の井上清が《關于釣魚島嶼的歴史歸属問題》に書いたように、この岩礁群の中心的なものが尖った塔の形をし
ており、英国人はこのこの岩礁群を“尖礁群”と名付けた。故に日本海軍省水路局の《寰瀛水路志》の中の“尖閣”と
いう名は、英国海軍から来ており、当時は釣魚島の東の岩礁を指していた。
一九○○年(明治三十三年)五月冲繩師范学校教師岩恒氏が《英国海軍水路志》などを読んだ後、宮島十之助工
学士と一緒に“釣魚島”等の地質を調査に行き、釣魚島に新しい名前”尖閣諸島”を付けた。これは英国海軍が釣魚
島の東の岩礁に付けた”尖閣群島”を拡大して、釣魚島をも入れて、”尖閣諸島”と称した。これが ”尖閣諸島”の由
来である。
また、琉球の大学者程順則が一七○八年に完成した《指南广義》には、福州から琉球に至る航程に用いられた島
の名称はすべて我が国が一四○三年以来使っている釣魚島等の名称であり、いわゆる“尖閣”はなかった。
以上の国外内の歴史資料から判明するように、中国は十四世紀初期に既に釣魚島の命名をしており、日本のいわ
ゆる“尖閣列島”という名称は中国の命名よりは約五百年も遅れている。
●釣魚島に関する中国の歴史資料
北京図書館が明朝時代の使者陳侃氏の《使琉球録》を印刷したことがある。この著書の中では、一五三四年の有
る日、陳侃氏が船で”釣魚嶼、黄尾嶼……赤嶼”を過ぎ、翌日夕方やっと”姑米山”が見え、琉球についた、と記述し
ている。明らかに、当時は”釣魚嶼”などの海域は既に中国領であり、琉球領ではない。
明朝時代の浙江提督の胡宗憲氏は《籌海圖編》という本を編集した。これは客観的事実に基づき、少しも憶測が混
じっていないというほどであった。一五六二年、同じく明朝時代の学者茅坤氏はこの本に序文を書き、本の内容の真
実さを評価している。この本の中の地図には“釣魚嶼”、“赤嶼”等を含む福建沿海の各島の名称を記入したが、当
時の琉球領に属する島は一つも記入しなかった。今でも、この地図を中国科学院圖書館で見ることができる。この地
図も、当時から釣魚島は中国領であることを立証している。
中国の南東海域と琉球との境界は”姑米山”で、船で”釣魚嶼”までより二日多く時間がかかる。この距離について
も、明の胡靖氏の《琉球記》、清の汪楫氏の《奉使録》(一六八三)の中にも記述している。これらの資料によると、当
時は、“ 釣魚嶼”を通り、“赤嶼”を過ぎてから、初めて”姑米山”が見える。”姑米山” に入ると、琉球側は入国とみ
なし、船で護航しながら、”烽火”を燃し、琉球国の国王に知らせていた。
清の始めごろ、琉球も琉球国の地図を編集したことがあり、《中山世譜》という本を康煕皇帝に献呈していた。この
本の中では琉球国に属する三十六の島を列挙していたが、“釣魚嶼”などの島は無かったのである。
一八○八年清の嘉慶期、 琉球への使節齊鯤氏が《航海八咏》(北京首都圖書館に保存)を書き、当時の国の境
界について以下のような歌を記している。
第七咏,詩名《姑米山》,律詩八句:
忽睹流球状,西来第一山, 半天峰断續,八嶺路回環。 海霧微茫里,船風瞬息間, 球人
欣指点,到此即卿關。
この歌の題目には”この山からは琉球領に入る”と注意書きを記していた。明らかに、当時では、”姑米山”からは
琉球領になり、”姑米山”の西側は中国領であり、琉球領ではなかったのである。
清の乾隆期に編集された《台湾府志》でも、“台湾港口”の一つに、“釣魚台島” がはっきり記されていた。
清の光緒四年(一八七九年)、日本が琉球を強制編入してから十年立ってからも、清朝廷はやはり釣魚台島は中
国領であることを明確に主張していた。
● 一つの逸話
価値がある興味深い歴史資料の一つに、清の慈禧太后叶赫那拉氏(西太后)が釣魚台等の島を李鴻章の幕僚大
臣盛宣懷(一八四四〜一九一六)に“賜った詔書”がある。この資料は釣魚台等の島の主権が中国に属することを立
証している。詔書の原文は以下である:
“皇太后詔諭太常寺正郷卿盛宣懷所進葯丸甚有效驗,据奉原葯材采自台湾海外釣 魚台小島,靈葯産于海上,功
效殊乎中土。知悉該郷家世設葯局,施診給葯救濟貧 病,殊堪嘉許。即將該釣魚台島、黄尾嶼、赤嶼三小島賞給
盛宣懷爲産業,供采葯 之用。其深体皇太后及皇上仁徳普被之至意欽此。”
日本語訳:“太常寺正郷卿盛宣懷が進呈した丸薬は効能が著しく、薬の原材料は台湾近海の釣魚台小島から採
れたとのことで,まさに靈薬が海から生み,効能が中土に効く。汝が代々薬局に励み、診療処方で貧病を救うことが
特に嘉すに値するので、皇太后は釣魚台島、黄尾嶼、赤嶼の三つの島を産業として盛宣懷に賜り、薬草の採取に供
する。皇太后及皇帝の厚恩を感銘されたし。”
● 一八九三年(清光緒十九年)十月
当時の封建社会において、国の皇帝が土地を臣下に“領地”として“賜る”ことがある。ただし、その領土の主権は
あくまで国が所有し、それを臣下に享受させるために賜るわけである。もし領土が国家のものではなければ、皇帝が
決してそれを臣下に賜る権利がない。このことからも、日本が琉球列島を編入して十四年後(一八九三年)の清の光
緒十九年には釣魚台島が依然中国に属し、日本に占領されていなかったことが分かる。
この“慈禧詔書”のマイクロ版と英訳は、一九七一年十一月九日に米国上院外交委員会において記録に登録さ
れ、さらに出版されている。これは、中国が釣魚列島の主權を有することを証明する重要な歴史資料の一つである。
日本が中国の釣魚列島を占領したのは、十九世紀の末になってからなのである。
●日本が釣魚島を占領した前後
日本の古書には“釣魚島”あるいは“尖閣島”の名称はなく、さらに釣魚嶼等島に関する記載も全くない。
一七一九年に日本の学者新井君美(新井白石)著の《南島志》は琉球管轄の三十六の島を記載しているが、その
中には釣魚嶼等島がない。《南海志》(《南島志》の誤りかもしれない:訳者注)は《甘雨亭叢書》に収められ,中国科
学院圖書館に保存されている。 《琉球地理志》の中で、日本政府が十九世紀七十年代において釣魚島が琉球の
管轄範囲に属するとは認めていないことを日本の文献が立証している。《琉球地理志》は、日本の十九世紀七十年
代の琉球地理に関する文章を、清の駐日使館役人姚文林が訳したものである。その中に日本の明治八年(一八七
五年)に日本政府が編纂した地理書籍,日本文部省が編纂した小学教科書などが含まれる。更に、日本海軍省實
例圖説をも参考にしており、この中に琉球諸島各島の名称を網羅しているが、 “尖閣列島”あるいは“釣魚島”等が
全く記載されていない。これは日本政府が十九世紀七十年代において釣魚島を琉球の範疇に属すとは認めていな
かった証明である。
一八九五年日本がわが国台湾省を占領する以前に発行された日本の地図には、釣魚島は日本国版図の中に含
まれていなかった。例えば、アメリカハーバート大学ウェンサ(温莎)記念図書館に所蔵されている、『府県改正大日
本全国』(一八七五年出版)や、『大日本地理全図』(十九世紀出版)の中には、琉球群島は、釣魚島を含んでいな
かったのである。
日本軍国主義者の侵略野心は、十九世紀七十年代から膨張してきた。一八七九年に日本は、琉球群島を占領
し、それを”沖縄県”と改名させた。更に我が国の台湾省及び台湾省に所属する島々を奪おうと企てていた。当時の
日本内務大臣が沖縄県に釣魚島を”調査”するようとの極秘命令を出しており、そこに”日本国標識”を建てようとし
ていた。当時の外務大臣井上馨氏は、このような強引な方法が無理だと判断し、明治十八年(一八八五年)内務大
臣への手紙の中に、清国が既に釣魚島の名前を定めていることや、日本が台湾付近の島々を占領したと清国で頻
りに報道されていること等を理由に、標識の樹立及び開発事業等が後日のチャンスを待つように求めていた。
一八九四年になって、日本が戦争で旅順口を占領し、清国海軍の北洋艦隊を威海衛に封じ込めることができた。こ
のような絶対優勢の下で、明治二十八年(一八九五年)一月十四日日本内閣会議において、冲繩縣の「釣魚島に標
識を設置し、正式に占領する」との決議を”認める”決定をした。一八九五年三月中旬、日本艦隊は、台湾南部を避
け、膨湖諸島に上陸し、同島の全ての砲台を占領した。それを拠点に台湾への侵攻準備を進めていた。同時に清政
府と講和交渉も進め、清政府に台湾を割譲させることに成功して、釣魚島を占領した。
以上の史実から分かるように、甲午戦争(日本名:日清戦争)における清政府の敗戦によって、台湾と釣魚島が同
時に日本に占領されるようになった。台湾、膨湖及び釣魚島は、何れも甲午戦争後に日本に略奪されたものであ
る。
第二次世界大戦後、日本は武力によって侵略占領した我が国の全ての領土を返還すべきである。
一九四十五年七月二十六日の《ボツダム宣言》は、「カイロ宣言の諸条項は実行されなければならない。日本の主
権は本州、北海道、九州、四国および我々によって決められるその他の付属の島々に限定されるべきである。」と言
明している。「カイロ宣言」のなかで、「日本が中国から強奪した領土、たとえば満州、台湾、澎湖群島などは中国に
返還される」と明確に記されている。従って、これらの国際条約は、台湾、澎湖群島及び釣魚島を含む島が、一九四
五年に日本が降伏したあと直ちに中国に返還されるべきだと明確に指摘している。
日本は第二次世界大戦中の侵略国であり、侵略国は武力によって略奪したすべての他国領土を返還するのは当
然である。しかし、釣魚島は一九四五年から一九七二年までの間米軍によって占領され、米国は一九七二年に琉
球の行政権を日本に渡した時、日本は再度釣魚島を占領し、現在まで居座りつづけ、日本の固有の領土だとまで主
張している。
この侵略行為に対し、中国外交部(外務省)は一九七一年十二月三十日に「中国人民は必ず釣魚島など台湾の
付属島嶼を取り戻す」との声明を発表した。一九七二年の「北京週報」は外交部のこの声明を全文転載したほか、釣
魚島の歴史を詳細に解説した。台湾、香港、マカオおよび海外の学者や愛国同胞は文章や手紙を寄せ、声明を発表
し、主権を守る決意を示した。 我が国は清の同治二年(一八六三年)に公開発行した「皇朝中外一統輿図」の
中、「中外の境界」をはっきりさせており、姑米山の東は琉球に属するとしており、中に日本語の注釈もつけている。
姑米山の西の赤尾嶼、黄尾嶼、釣魚嶼は皆わが国の版図に属し、日本名が付けられていない。
版図内の領域と国民の生活との間に密接な関係がある。台湾漁民は数百年の間釣魚島漁場で捕獲し、島の廟、
寺はすべて台湾式の建築物であり、昔台湾漁民によって建てられたものである。島付近の海底に少なくとも800億
バレルの石油が埋蔵されており、これらの埋蔵物の形成は我が国の東南部の河川から流れた大陸の有機沈殿物と
密接に関係している。
一九五八年ジェネーブの国際会議で「大陸棚公約」が制定され、大陸棚地理構造及び国際法の「隣近原則」から
みても、釣魚島は我が国の台湾に属し、他国の侵犯を許すことができない。この上、三百キロあまりの領海の境界
にも関係しており、なおさら取り戻さなければならない。
歴史、地理および地質構造上から、また法理的にも釣魚島はわが国の領土である。
学術的に、歴史的にこの問題を探求することが、非常に重要な意味をもつだけでなく、十二億の中国国民の愛国、
反侵略と邁進の情熱を一層向上させることができる。
《北京之春》1996.9より日本語訳:徐剛、周毅、銭飛、関陽、陳延偉、徐強
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【領土問題】
釣魚島灯台問題を迅速に解決し、中日関係の前進を
徐 剛
釣魚島(日本名:尖閣諸島)に日本の右翼団体が灯台を立てた事件で、台湾、香港、海外と中国本土で抗議運動
が広がっている。台湾の抗議船が灯台の撤去を求めて釣魚島に上陸しようと試みたり、香港では抗議デモのほか、
日本製品不買運動が呼びかけられ、海外にいる中国人留学生の間でも抗議運動が組織されている。北京でも、政
府に対して断固とした措置をとるよう求める署名運動が行われた。
中国政府は、日本政府に厳重抗議を行い、この団体に対する「当局の放任と慫慂」を非難し、灯台の撤去を求め
た。人民日報は「日本は愚かなまねをやめよ」という論説を発表し、灯台問題や日本首相の靖国神社参拝問題に関
連して近年まれに見る日本批判を展開した。
これらに対して日本政府は、灯台が立てられた場所は「私有地」であることを指摘し、灯台の建設を「支持したわけ
ではない」と反論している。今月10日、この右翼団体は航路標識として灯台の許可申請を行った。海上保安庁は調
査をし、20日以内に結論を出すこととなっている。灯台が海図や灯台表に載れば、日本の領土として国際認知され
るのが狙いである。7年前も、同団体が同様の申請を行い、海峡両岸からの反対で許可されなかった経緯がある。
釣魚島は日本の実効支配下にあるとは言え、灯台を作るとか、既成事実を積み重ねようという行動が中国人民の
強い反発を招くのは当然だ。日本政府がこのような行動に対して阻止する努力を見せない限り、右翼団体が勇気づ
けられ、我々の反発は強まるばかりであろう。
釣魚島は中国固有の領土であり、日本が釣魚島を沖縄県に「編入」したのは甲午戦争(日清戦争)後の1895年
であった。中国からすれば、台湾までを割譲させられた状況下での、武力を背景に一方的に宣言されたものであり、
到底認められるものではない。第二次世界大戦後、アメリカがこの無人島を支配し、1972年に沖縄を日本に返還す
るときに、釣魚島の「施政権」も一緒に日本にわたした。この時に、第一次保釣運動が起こった。現在アメリカは釣魚
島の領有権に関しては中立を表明している。中日平和友好条約締結時に、領有権の問題を継続協議とすることが両
国の間で合意され、紛争を避けるための努力が双方でなされた。とう小平氏はこの問題を「次世代に任せよ」という
言葉が有名である。
領土問題はどの国も譲ろうしない問題であり、感情的になりやすい問題でもある。これで両国が争っていれば、必
ず両国関係の他のあらゆる側面に悪影響を及ぼす。中日関係は経済関係を中心に1972年の国交正常化以来順
調に発展してきており、日本が中国の一番の貿易相手国であり続けてきた。日本は中国の改革開放政策を支援す
るという基本方針に従って、円借款の供与(中国政府の対日戦争賠償請求の放棄に対する返しという側面もある)な
ど、中国の近代化建設に貢献してきた。一方、対中貿易が日本の対外貿易の中に占める割合も年々増加してきて
おり、対中投資に多くの日本企業が活路を見い出している。また、人的交流や文化交流も大きく発展した。経済関係
と比べ、両国の政治関係や安全保障関係はそれほど緊密とはいえないが、アジアの二つのスーパーパワーが対立
と衝突をすれば、アジア全体の平和と安全が無に化してしまう。このような大局的見地に立って、この灯台問題を解
決すべきことは明白である。日本政府に対しては、灯台に反対する明確な態度表明を求めると同時に、我々の抗議
も両国関係の更なる前進を目標に据えたものであるべきだと思う。
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【編集後記】
台湾、香港、海外と中国本土が釣魚島の問題で抗議の嵐のような状況にあるにも
関わらず、日本のマスコミは「沈黙」を守っており、竹島(韓国名:独島)のときと好対照をなしています。両国関係へ
の配慮が働いているのでしょうか。しかし、問題に関する正確な情報と真剣な歴史的検討を日本国民に伝える努力
こそ事態の深刻化を防ぐためになると私達は思います。この特集号もそのための一助となれば幸いであります。ま
た、釣魚島問題に関する読者からのフィードバックは、いつもと同様、待ち望んでいます。
なお、華声和語第104号には、誤りがあったので、この場を借りて、訂正させていただき、お詫び申し上げます。
「領土問題●中国徐大使は尖閣の灯台建設で抗議」のところは、「領土問題●中国駐日大使は釣魚島の灯台建設
で日本政府に抗議」に改め、「医療諮詢●「全身免疫系統缺乏症」の病気薬を尋ねる」の投稿者は侯波氏でなく、秦
暁凌氏でありました。編集部一同は今後も質の向上を努めてまいる所存であります。
華声和語第106号
http://www.come.or.jp/hshy/j96/09d.html
1996年(平成8年)9月17日発行
【領土問題】
釣魚島(日本名・尖閣諸島)灯台をめぐる抗議などの動き
釣魚島灯台をめぐる抗議などの動きを各報道機関の報道をもとに、以下にまとめた。
★[09/16] 釣魚島防衛デモを計画し15日、北京市公安当局に連行され北京を離れた中国民間釣魚島防衛連合会
の童増主席が、甘粛省蘭州市内のホテルにいると報じられた。童氏は12日、所属研究所から東北地方への出張を
命じられていたがこれを拒否していた。
★[09/16] カナダのトロントで15日、日本の政治結社による釣魚島の灯台建設問題に反発する中国系カナダ人約2
500人が大規模な抗議デモを展開した。一行は「第2次世界大戦当時の日本の軍国主義の復活だ」と訴え、プラカ
ードを手に在トロント日本総領事館前で抗議行動を繰り返した。
★[09/18] 九一八事変(日本名・柳条湖事変)勃発六十五周年の十八日、北京市建国門外にある日本大使館周辺
では、制服や私服の中国公安職員ら約百人が警戒に当たるなど、物々しい厳戒態勢がとられた。これは日本の政
治結社が釣魚島に灯台を建てたことなどに抗議して、学生や市民らがこの日に合わせて抗議に訪れるとのうわさが
流れたため。香港記者を含む外国人記者数十人も取材に集まったが、午前中は大使館関係者らが出入りするだけ
で、抗議に訪れる人はいなかった。
★[09/18] 九一八事変勃発六十五周年を記念し、日本の釣魚島占領を抗議する集会やデモがイギリスやアメリカな
どでも行われた。
★[09/18] 釣魚島問題で、香港、台湾、中国本土で、インターネットを使った日本批判のホームページが花盛りとな
っている。多数のホームページが世界に向けて「釣魚島は中国の領土だ」と呼び掛けているが、日本の言い分を掲
げたページは見当たらず、中華世界の大合唱に対して、日本側はインターネット上では沈黙した格好だ。
一部は中国語だが、国際世論への訴え掛けを目的としているため、大半は英語。島の地図に「断固として釣魚島
を防衛する」との文句をあしらった共通ワッペンを付けたページも多い。香港、台湾の市民や組織が作るページには
「日本の釣魚島侵略を食い止めるため立ち上がろう」「われわれはかつては我慢した。今も我慢しようと最善を尽くし
てきたが、もはや我慢の限界を超えた」などの文字が踊り、反日デモの写真が大きく掲載されている。ほぼすべてに
共通するのは、日本の首相官邸の電子メールアドレスを掲げて、橋本首相に抗議のメールを送るよう呼び掛けている
点。
北京大学や復旦大学で釣魚島問題で抗議の呼びかけが掲載されたため、大学当局の手でBBSやページが閉鎖
された。清華大学でも、そのようなメッセージを消すように当局から指令が出されている。
★[09/19] 九一八事変六十五周年にあたる十八日深夜、北京大学構内で学生による反日集会とデモが行われた。
学生たちは、消灯時間後の午後十一時すぎから全寮制宿舎の二十八号楼前に集まった。「九・一八(柳条湖事
件)の歌」をうたい、「日本帝国主義を打倒せよ」「日本製品をボイコットしよう」などと叫んで、構内をデモした。デモは
時間帯からみて、無届けデモとみられる。
十八日は北京市内の学生やジャーナリスト有志が日本大使館への抗議行動などを準備していたが、当局によって
封じ込められていた。
★[09/20] 二十日付の香港英字紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストは、外交筋の話として、中国は釣魚島問題を
めぐって日本側に対し外交ルートを通じて、香港、台湾から現場海域に向かう抗議船の航行を日本海上保安庁の巡
視船などが妨害しないよう要求するとともに、日本が釣魚島問題で強硬姿勢を取り続ければ、中国国内の日本領事
館一カ所の閉鎖を求めるかもしれないと通告したと報じた。
また同筋によれば、中国は、日本が右翼団体の活動を黙認し続けるなら、徐々に「強硬な手段」を取るとの意向も
明確に日本側に伝えたという。「強硬な手段」の具体的な内容は明らかにされていないが、日本企業の中国進出に
ついて新たな制限を設けるなどの制裁を考えているようだ。
★[09/21] 香港の釣魚島防衛運動団体「全世界中国人釣魚島防衛大連盟」は20日、香港に入港したベリーズ船籍
の貨物船に活動家ら「突撃隊」、記者団計50人を乗せ22日、釣魚島に向け出航すると発表した。突撃隊は釣魚島
周辺でボートに分乗し、上陸して中国国旗を立て、中国の領有権を示すという。同船の船長には香港理工学院航海
学科の講師、魏立志氏が名乗り出た。
★[09/22] 台湾の第2野党・新党が組織した「釣魚台防衛連盟」ら約4000人が台北市内で22日、釣魚島防衛と日
本軍国主義に抗議するデモを行った。中正紀念堂前を出発した参加者は「釣魚台を防衛せよ、日本人は出て行け」
と叫びながら約5キロ離れた国父紀念館まで行進した。デモ行進では「李総統、なぜ何も言わないの」などと叫び、
李登輝総統を批判した。
★[09/23] 台湾の政治団体などがチャーターした七隻の台湾漁船が二十三日早朝、上陸を目的に釣魚島水域に近
づいたが、日本の海上保安庁の巡視船に進路を阻まれ、接近できなかった。これらの漁船には「釣魚島は中国の領
土」と主張する台湾や香港の活動家十数人などが乗っていたが、日本側の「不法占拠」に抗議しただけで出発地の
台湾北部の漁港に引き返した。
今回の抗議行動を組織した台北県選出の議員は、十月五日にも同様の大規模な上陸、抗議行動を計画してい
る。香港からは抗議グループが貨物船で釣魚水域に向かっており、二十五日の到着後に上陸、中国国旗を立てる
方針。台湾のテレビ局によると、現場海域の日本の巡視船は十七隻に上ったという。衝突の発生もありうる。
★[09/23] 日本の池田行彦外相は24日、ニューヨークで中国の銭其シン外相と会談する。釣魚島の領有権問題や
橋本竜太郎首相の靖国神社参拝で中国の対日批判が強まっている時期だけに、日本政府は「極めて重要な会談」
と位置付け、事態打開のきっかけにしたい考えだという。
池田外相は、釣魚島問題で「日本固有の領土」との基本的立場と、右翼団体の灯台建設に日本政府は関与して
いないことを重ねて説明、理解を求める方針だ。橋本首相の靖国神社参拝では、軍国主義復活につながるものでは
ないことを強調し、日米安保共同宣言は、中国を敵視するものではないことを説明する考えだ、という。
日本の対中経済援助の再開問題では、中国が核実験停止を決め、核実験全面禁止条約(CTBT)への署名の意
向を明らかにしていることから、「再開条件は整備された」としている。しかし、自民党内などになお慎重論が強く、無
償援助の再開時期や円借款調査団の派遣時期については「検討中」と明言を避ける方針だ、という。
華声和語第107号
http://www.come.or.jp/hshy/j96/10a.html
1996年(平成8年)10月1日発行
【領土問題】
釣魚島(日本名・尖閣諸島)問題に関するアピールへの署名のお願い
日本の右翼団体が釣魚島(日本名・尖閣諸島)に灯台を立てたことを発端とする中国人の抗議行動は、陳毓祥氏
が抗議の過程において釣魚島の付近で死亡した事態に至りました。私どもは深い悲しみにあり、ここで死者に対し
謹んで追悼の意を表します。
香港や台湾では、新たに釣魚島に上陸を試みる計画が報道され、衝突や事故による悲劇が繰り返される恐れが
あります。一方、日本でも香港への旅行に注意が呼びかけられており、普通の人々の生活に影響が出始めていま
す。
現在は、日本側も中国側も民間人同士が対話のない状態で行動をしている状態です。
日本に暮らす中国人として、私どもは事態の一層の悪化を憂慮せざるを得ません。
事態を打開するためには、日本側が中日平和友好条約締結時の「棚上げ」との両国政府合意に立ち戻って、今の
緊張を引き起こした原因を取り除くことは重要であると同時に、中日両国政府が前面に出て、責任のある立場で交
渉を行い、この問題に関する明確な合意を作り、両国民に公表することが必要であると思います。
この視点に立ち、下記のアピール文に、多くの署名を集め、橋本龍太郎日本国総理大臣と徐敦信中華人民共和国
駐日本国大使に郵送することとしました。
このアピール文にご賛同の方は、自分の名前(漢字のフルネーム、できれば所属、肩書きまたは居住地、会社員
の場合は会社の名前を出すには許可が必要なことがあるので、居住地を薦めます)をお書きの上、test@cv.cs.
ritsumei.ac.jp に送って下さい。緊急を要することなので、締め切りは10月3日(木)までとさせていただきます。
どうぞ宜しくご協力下さい。
発起人代表:徐 剛(立命館大学助教授)発起人(登録順):蒋勝平(広島市立大学講師) 馬書根(茨城大学助教
授) 楊克倹(東京都) 徐 挺(広島大学) 張善俊(室蘭工業大学) 銭 飛(広島電機大学助教授) 李 磊(青
森大学) 蒋建群(豊橋技術科学大学) 蒋宇静(九州大学) 趙鳳済(東北大学) 侯康寧 呉南健(北海道大学)
王中傑(東北大学)趙 輝 李雲慶 兪 堅(九州大学) 単学伝呉継軍(日本コンピュータ研究所) 曽道智(香川
大学講師) 金 群(徳島大学) 関 陽(流通科学大学講師) 査紅彬(九州大学助教授) 孫 堅 秦暁凌(東京都)
李仕剛(広島市立大学助教授) Daniel Wu(東京都)任福継(広島市立大学助教授) 張 舒(早稲田大学) 呉
健(東京都)張 南(広島修道大学助教授) 寿国梁(東京都) 陳 傑(東京都)向 霊(東京大学) 於玉華(徳島
県) 李拡建(元南山大学講師、中国フォーラム)
附: 釣魚島(日本名・尖閣諸島)問題に関するアピール
日本の右翼団体が釣魚島(日本名・尖閣諸島)に灯台を立てたことを発端とする中国人の抗議行動のなかで、抗
議者の一人が抗議の過程において釣魚島の付近で水死した事態に至ったのは、私どもは誠に悲しく思います。今後
も同様の抗議活動が計画されており、事故や衝突による悲劇が繰り返される恐れがあります。日本で暮らす中国人
として、事態の更なる悪化を憂慮せざるをえません。
私どもは釣魚島(日本名・尖閣諸島)は中国の領土だと思っていますが、日本側は日本の領土だと主張していま
す。領土問題が平和的に解決されるべく、刺激的行動の自制と真摯な対話が重要であります。
中日友好を望み、両国の協力関係を維持発展させていく立場から、私どもは日本政府に対して、中日平和友好条
約締結時の「棚上げ」との合意に立ち戻り、今の緊張を引き起こした原因を取り除くことを要請致します。
現在、日本側も中国側も民間人同士が対話のないまま行動を起こしておりますが、事態の沈静化を図るために
は、両国政府が前面に出て、責任のある立場で交渉を行い、明確な合意を作り、両国民に公表することを私どもは
中国政府と日本政府双方に要請します。
一九九六年十月四日
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【領土問題】
釣魚島(日本名・尖閣諸島)灯台をめぐる抗議などの動き
釣魚島灯台をめぐる抗議などの動きを各報道機関の報道をもとに、以下にまとめた。
★[09/25] 台湾の大手テレビ局は、釣魚島の領有権問題をめぐって反日感情が高まりつつあるのに配慮し、日本で
制作された番組の放映を来月以降、一部取りやめることを決めた。
★[09/25] 日本石油公団の桜井皓理事は、訪問中のシンガポールで、日本と中国、台湾との間で領有権問題が生
じている釣魚島(日本名・尖閣諸島)周辺で各国が、石油を共同で探査・開発することを呼び掛けた。
★[09/25] クリストファー米国務長官は二十五日の中米外相会談の冒頭、中国、日本間で再燃している釣魚島(日
本名・尖閣諸島)の領有権問題について、「米国はこの問題で特定の立場を取っていない。関係諸国が対話を通じ
て問題を解決するよう望む」と述べ、米政府が中立姿勢を貫くことを強調した。米国は第二次大戦後、これらの島を施
政下に置き、一九七二年の沖縄返還と同時にその施政権を日本に返還したが、領有権については日本の主張を支
持していない。
★[09/25] 台湾は二十五日、台湾・宜蘭県沖の東シナ海で今月十七、十九、二十三日の三回にわたってミサイル試
射訓練を実施したことを明らかにした。演習海域は釣魚島(日本名・尖閣諸島)に近いことから、日本の領有に抗議し
た動きとの見方も出ている。蒋仲苓国防部長はこの日、「釣魚島は政治問題であり軍事問題ではないが、軍は変化
に対応できる準備をしている。必要なら釣魚島付近での演習も考えられる」と述べ、釣魚島問題との関係を否定しな
かった。
★[09/26] 領有権問題で日本政府への抗議行動のため26日朝、釣魚島(日本名・尖閣諸島)の北約3キロの海上
で、香港の貨物船「保釣号」から、活動家4人が海へ飛び込んで、おぼれた。4人はまもなく「保釣号」に収容された
が、このうち香港籍の陳毓祥氏(45)がまもなく死亡した。また、同じ香港籍の方裕源氏(25)も一時重体となった
が、ヘリコプターで日本の石垣島の県立八重山病院に収容された。 死亡した陳毓祥氏は全世界中国人釣魚島防
衛大連盟主席であり,香港大学在学中に1972年の第1次釣魚島防衛運動に参加した古参活動家である。 ★[09/
26] 中国外務省スポークスマンは二十六日、釣魚島(日本名・尖閣諸島)近くで日本への抗議行動として海に飛び
込み死亡した香港の男性に哀悼の意を表す談話を発表した。同スポークスマンは、日本の政治団体が同島に灯台
を設置したことについて「香港・台湾などを含む中国人は強く憤慨し、さまざまな手段で怒りを表しており、香港同胞
は命を犠牲にした」と指摘した。
また、同スポークスマンは同日午後の定例記者会見で、ニューヨークで二十四日に行われた中日外相会談につい
て「日本側は過去の侵略を反省し、日本の政治団体が釣魚島で活動することを認めないと約束した」と強調し、今回
の問題で生じた悪影響を排除する行動を取るよう日本側に求めた。
★[09/26] 陳毓祥氏が水死した事故を受けて、香港の日本総領事館は同日午後、不測の事態に備えて香港警察に
日本関係施設の警備強化を要請するとともに、日系機関や企業に対して安全確保に努めるよう注意を喚起する文書
を配布した。
★[09/27] 香港の「保釣号」は二十七日未明、台湾北部の基隆港に入港し、空路で帰る大半のメンバーを降ろした
後、香港への帰路についた。亡くなった運動のリーダー陳さんを追悼するため、ふ頭では台湾市民約三百人がロウ
ソクや横断幕を手に船を迎えた。
★[09/27] 釣魚島(日本名・尖閣諸島)の領有権をめぐる対日抗議行動は、香港の民間団体が十月五日前後には、
香港の民主党の議員らが台湾の議員と共闘で五十隻余りの漁船を仕立て、同諸島に上陸する計画を進めている。
一方、香港政庁の孫明揚・行政長官代理は二十六日、抗議船に乗っていた「全球華人保釣大連盟」の陳毓祥氏の
死亡に関して「香港市民は冷静に対応し、平和的に行動すべきだ」と自制を呼びかけた。
周南・新華社香港支社長は、陳氏を愛国者として称賛、その死を追悼する談話を発表した。また、上田秀明・在香
港日本総領事は「痛ましい事故であり、心からご冥福をお祈りしたい」との談話を発表した。
★[09/27] 釣魚島(日本名・尖閣諸島)の周辺海域で死亡した香港の活動家、陳さんの遺体は二十七日午後、台湾
から空路、香港に到着した。空港には一般市民約百人のほか、これまで陳さんと一線を画してきた民主派と親中派
の対日抗議団体の活動家もそろって出迎えた。陳さんの遺体を空港に出迎えた市民は、「陳さんよ永遠に」などの横
断幕を掲げ、出てきた乗組員に競って握手を求めた。これに先立つ記者会見では、乗組員が「陳さんの死をむだにし
ないためにも、釣魚台(釣魚島)にいつか必ず中国の国旗を立てる」などと語った。
この事故について香港メディアは、同日付の紙面の四ページを関連記事で埋めた中立系紙、明報をはじめ、各紙と
も「釣魚台に命を捧げた愛国者の死」という角度から取り上げた。
★[09/28] 香港の釣魚島釣魚島(日本名・尖閣諸島)防衛運動6団体は27日、同島周辺で抗議行動中に水死した
香港の活動家、陳毓祥氏の追悼式を政治的立場を越えて共同開催することを決めた。
★[09/28] 台湾の章孝厳外交部長は二十八日、釣魚島(日本名・尖閣諸島)付近の漁業権問題に絡む日本との民
間交渉が、来月三日ごろから二日間、日本で開かれることを明らかにした。章孝厳氏は「交渉の中で島の主権問題
に触れないわけにはいかないが、漁業権問題の解決が先だ」と、漁民の権益保護優先という台湾当局の立場を強
調した。
★[09/28] 防釣衛運動で陳毓祥氏が水死したことを受け、北京のいくつかの大学構内に27日、追悼する壁新聞や
ビラが現れたと報じた。北京大学では「陳氏を追悼する」などと書かれた黒枠つきの紙が張られた。このほか、清華
大、中国農業大、郵電学院でも釣魚島問題に関するスローガンが張られたという。
★[09/29] 釣魚島(日本名・尖閣諸島)周辺で事故死した香港の抗議船のリーダー、陳毓祥氏を追悼するキャンドル
集会が二十九日夜、香港のビクトリア公園で開かれ、住民数万人が参加した。集会は、陳氏が責任者を務めていた
抗議団体「全球華人保釣大連盟」のほか、民主党や民主建港連盟など超党派の六団体の共催で行われた。
「打倒軍国主義」、「日本は釣魚島から立ち去れ」などのスローガンが交錯する中、抗議船のメンバーや遺族らが
次々にあいさつに立ち、参加者たちは抗議運動の継続を誓い合ったほか、北京当局と台湾当局に具体的な強硬措
置を取るよう求めた。十五日に、約一万人が参加した対日抗議デモが行われたほか、十八日にも、数千人規模の集
会が開かれており、今回の追悼集会を契機に、反日ムードは一段と強まる気配を見せている。
★[09/29] 釣魚島(日本名・尖閣諸島)に日本の右翼団体が建てた灯台の撤去を目指す香港の「釣魚島防衛行動
委員会」世話人の曾健成・立法評議会議員は28日、台湾の団体と共同で10月6日に台湾から船で釣魚島に向か
うと述べた。ただ、曾議員は風力7以上の強風ならば行動は中止し、また釣魚島に約90mまで近づけなければボー
トによる上陸は断念すると述べた。曾議員は、26日に香港の活動家、陳毓祥氏が抗議行動中に水死した教訓を生
かして、行動隊員と同行記者には、航空会社から借りた救命胴衣を着せ、医師4〜5人を同行させ、上陸を試みる隊
員約20人は香港島南側の海岸で上陸訓練を行うと述べた。曾議員らと台湾の団体は23日に同島に約70mまで
近づいていた。
★[09/30] 日本の自民党は「尖閣諸島はわが国の固有の領土で、中国とは領土問題は存在しない。今回の事態に
は中国等との関係に悪影響を与えることがないよう双方の冷静な対応を求める」とする選挙公約を発表した。
華声和語第108号
http://www.come.or.jp/hshy/j96/10b.html
1996年(平成8年)10月8日発行
【時事評論】
政府と民間
徐 剛
国家間の問題の処理は普通は政府がプレイヤーだが、時には、民間がかかわってくる。
靖国神社には日本のA級戦犯も祭られているため、日本の首相や閣僚が参拝すると、中国や韓国では猛反発が
起きる。では、そのA級戦犯たちを外したらいいのではないかとなると、日本政府は、神社は民間団体だから、干渉
できないと答える。もちろん外国政府は直接靖国神社に交渉するわけにはいかないし、交渉しても応じてくれるはず
がないので、靖国神社の問題はいつまでも問題でありつづける。
今回の灯台問題でも、事情は似ている。灯台を作ったのは民間の右翼団体である。中国政府は日本政府がこの
団体を「放任し、慫慂している」と批判する。しかし、日本政府は、灯台は「私有地」に立てられたものであり、政府は
国内法ではどうしようもないという。
多少日本のことを知る人は、日本は建て前と本音の社会であることが分かる。法的には政府が干渉できなくても、
見えないところで根まわしなどによってかなりの影響力を行使できることは否定のしようがない。沖縄の「私有地」に
対する政府の明の、暗の工作が凄かったのは周知の事実である。灯台を立てた右翼団体に対して日本政府が根回
ししたのかしなかったのかの事実は我々には分からない。しかし、日本政府が明確に反対を表明しないなら、本音で
は支持していると外国人に疑われても仕方がないであろう。
中国は日本と異なり、民間は公に政府に異を唱えることは殆どなかったし、今でも稀だ。日本に対する戦争賠償の
放棄は、国民の支持があったとは思えないが、最近まで異を聞くことがなかった。これは勿論国民に考えがないわけ
ではない。最近の事情が多少異なってきた。一部の国民には多少の余裕と自由ができて、中国でも情報が入手し
やすくなった。日本に補償を直接に求める民間団体ができた。中国政府も、政府の請求権は放棄したが、民間には
請求権が存するとの立場をとっている。これは勿論理にかなったものであると同時に、中国政府の対日交渉の立場
を強めるものであった。中国政府も民間の力を借りるところまで「成長」したのだ。
ところが、対日問題に限って、このカードは怖いものがある。中国国民の対米感情が基本的に好意的なのに対し
て、対日感情は基本的に良くはなく、火をつけると、収まりがつかない恐れがある。政府としては、日本の経済協力
はとても重要であることが分かりきっており、民間の運動に「あうんの呼吸」があれば、「国益」を助けるが、一人動き
しだすと、中日関係がたちまち悪化し、順調に発展してきた経済関係が崩れてしまうと心配する。民間請求にせっか
く表明した支持も、結局のところ運動を阻止する羽目になってしまった。この辺はまだまだ日本人には及ばない。
問題はこれには止まらない。中国で一旦抗議運動が許されると、それが最初は何に向けていようとも、たちまち反
政府運動に発展してしまう恐れがある。76年の天安門事件も、89年の天安門事件も最初は周恩来と胡耀邦の死を
痛むものであったが、結末は周知の通りである。今回の釣魚島の件で、中国政府は北京の抗議の動きを素早く徹底
的に封じる姿勢を見せている。政府の恐れにはそれなりの根拠があり、海外の論調には既に政府の「弱腰」を批判
するものが多く出ている。
ここまでは私のような素人でもすぐに分かったが、ここ二三日の新聞等を読むと、政府を困らせるため、或は政府内
の権力闘争のために、この問題が利用されるとの情報や推測が出ている。毛沢東が田中角栄に「日本の侵略がな
ければ共産党は国民党に勝てなかった。日本に感謝する」と言ったことを思い出す。
問題がここまで発展するかどうかは今の所まだまだ闇の中の話であり、現実とならないことを望む。しかし、もしこ
れが本当ならば、恐らく中国政府と言えども、自分の立場を守るため、発展を犠牲にしてでも、日本に対して強硬な
姿勢を示さざるをえないであろう。その後の始末はどうなるか予想もつかない。
「民間」から始まる動きがここまで二つの大国を動かしてしまうのだろうか。
華声和語第109号
http://www.come.or.jp/hshy/j96/10c.html
1996年(平成8年)10月15日発行
【領土問題】
釣魚島問題をめぐる各地の動き
★ 10/08
外交部の沈国放・報道局長は記者会見で、香港と台湾の抗議グループが釣魚島に上陸したことについて「日本政
府が何ら措置を取らないことが、中国人民の強烈な怒りを引き起こした」と述べた。一方、台湾の旗の掲揚について
は「一つの中国しかなく、中国を代表する政府は中華人民共和国だ」と指摘した。
★10/09
台湾紙聯合報の釣魚島領有権問題に関する世論調査によると、成人七百四十人に聞いたところ、六二%が香港、
台湾の抗議団体による上陸行動は主権を表明する意義があった、と答えた。過激だ、と回答した人は二五%。四
五%が今回の行動は台湾当局を日本との交渉に向かわせるのに役立つと答えたが、対日交渉で中国大陸と共同
歩調を取ることには五四%が反対した。
香港紙「文匯報」は9日の社説で「日本政府は違法団体を取り締まるべきだ」と大々的な反右翼キャンペーンを始
めた。「大公報」も同日、「日本の極右勢力の卑劣な行為を糾弾する」と題した社説を掲載した。
共同通信によると、米中国大使館于樹寧参事官は八日の記者会見で、「日米安保条約は日本領土だけに適用さ
れるべきである」と述べ、極東、アジアでの日米の防衛協力強化にあらためて懸念を表明した。釣魚島は日米安保
条約の対象となるとした米議会調査局の報告について、「釣魚島は古代より中国の領土であり、(報告の趣旨に)強
く反対する」と述べた。釣魚島問題で、中国が米政府と連絡をとっているのではないかとの質問に、「これは中国と日
本の問題だ」と米政府の介入に警戒感を示した。
★10/10
香港・民主党の抗議団が9日、香港の日本総領事館内になだれ込み、座り込みを行った事件で、日本総領事館は
10日、香港警察当局と協議し、安全確保のため今後いかなる抗議団の要望書も受け取らないことを決めた。
香港紙・星島日報は十日、解放軍筋の話として、釣魚島領有を主張する運動が白熱した九月末ごろから、中国は
福建省の基地から艦艇を出動させ、同諸島海域付近を遊よくさせたり、軍用機に釣魚島上空を飛行させたりしてい
たと報じた。米軍と自衛隊はこの動きを察知したものの、軍事的対応は避けたという。同紙はまた、今月七日早朝に
香港と台湾の抗議グループが釣魚島上陸を図った際、日本側が特別強硬な出方をしなかったのは、中国軍の動きを
警戒したためだと指摘している。
★10/11
共同通信によると、釣魚島の領有権をめぐり反日運動が続いている香港では、日本からの観光客の旅行キャンセ
ルが相次ぐ一方、日本へ行く香港の旅行者も減り始め、観光業界に打撃を与えている。
★10/12
銭其シン副首相兼外相は12日、日本報道界訪中団(毎日新聞など7社)への書面回答で、日本首相の靖国神社
公式参拝問題と釣魚島問題について、先月の中日外相会談で池田行彦外相が「過去の侵略の歴史を深刻に反省
し、右翼団体が釣魚島問題でとった行動を容認しない、と明確に語った」と指摘、「言ったことは必ず実行すべきだ」と
強調した。銭外相は釣魚島問題について「歴史的にも国際法的にみても、古来の中国固有の領土」と強調、「論争
棚上げ、付近の資源の共同開発」を改めて呼びかけるとともに、「日本側が釣魚島問題で新たな問題を引き起こさな
いよう希望する」と日本側に慎重な対応を求めた。
★10/13
台湾の中央通信社によると、台湾空軍の退役将校で構成する「新空軍連合親睦会」の曹聖宝会長は、釣魚島の
主権を主張するため、二十五日に民間ヘリコプター二機をチャーターし、釣魚島上空を飛行すると発表した。島に着
陸する予定はないが、台湾当局が“国旗”としている青天白日満地紅旗を上空から投下するという。
★10/14
日本の梶山官房長官は十二日夕、茨城県ひたちなか市で演説し、釣魚島の領有権問題で、衆院選後に竹下元首
相や後藤田正晴元副総理を特使として中国に派遣する考えを明らかにした。具体的な内容は現時点では何も決まっ
ていないだという。
【時事評論】
釣魚島主権問題の解決策はあるか
徐 剛
日本の右翼組織が釣魚島(日本名:尖閣諸島)に灯台を立てたことを発端とした中国側の抗議が引き続き行われ
ている。本文では日本側と中国側の主張の違いを列挙し、そしてどのような解決策がありうるかを考えてみる。
現在分かっている主な争点は三つある。一、日本が釣魚島を領土に「編入」したのは1895年1月であり、これは
甲午戦争(日本名:日清戦争)が終わる前であり、清が台湾を日本に割譲する下関条約にこの島は含まれていな
い。従って、ボツダム宣言は釣魚島に適用されないと日本側は主張。これに対して中国側は、1895年1月の時点
では、清国の敗戦が既に決まっており、釣魚島は台湾と同じように日本が武力を背景に占領したものであり、台湾と
同じように返還すべきだと主張している。
二、日本はこの島を「編入」する前は「どこの国にも属さない無人島」であったと主張する。これに対して、中国は明
朝から釣魚島の多くの記録があり、1893年に西太后が釣魚島を下臣に贈与した記録があるため、中国に属してい
ると主張する。日本の「編入」は9年間チャンスをうかがい続けたのちに、秘かに「閣議決定」したものであり、告示
も、清国への通知もしなかった。
三、日本は、釣魚島に対する1970年の「中華民国」の主権宣言と1971年の中華人民共和国の主権宣言まで
は、中国側は一度も主権を主張したことがないと主張する。甲午戦争から第二次世界大戦までの50年間は日本の
侵略が断続的に続き、この小さな島まで考える余裕は現実上なかった。また、中華人民共和国と日本との間、197
2年までは外交関係がなく、1978年にはじめて戦争の終結を意味する平和友好条約が結ばれたので、1971年の
宣言は法的には有効である。
以上のように、中国側も日本側もそれぞれの主張があり、どちらも譲ることはなかろう。では、この問題の解決には
どのような方法がありうるのか。可能性は五つしかない。
一、政府間交渉。どの政府も領土を譲る決定はしにくく、一歩間違えば政府の命取りになりかねず、日本政府が交
渉で譲歩する可能性は現段階ではゼロに等しい。日本は一部の学者を除いて、左も右も同一見解で固めてある。
二、戦争。今の世界は領土問題の平和解決が趨勢であり、アジアの二つのスーパーパワーが衝突すれば、その
結果が想像すらできない。明らかにとるべき道ではない。
三、国際裁判所などの第三者に裁定を委ねる。これはどちらの側にも勝敗の可能性があり、政治的リスクが大き
い。国際法は強者に有利なように作られている。
四、棚上げ。これは中国政府の現在までの方針である。双方が主権を主張し、開発はどちら側も行わない。
五、共同開発。中国は南沙諸島や釣魚島などで共同開発を主張している。田中角栄元日本首相も1972年の国
交正常化のときに共同開発を提案したことがある。今後も現実的な可能性として検討していく価値がある。
以上のように、第一、第二、第三の可能性はあまりない。中国も日本も国連海洋条約への参加によって、排他的
経済水域を設定することになっている。第4の可能性、即ち、開発を完全に行わないことも難しくなってきている。台
湾漁民が昔から釣魚島の周辺で漁業をしてきた。操業が続けられるようにするのがすぐに解決すべき問題であろう。
また、石油の開発を行おうとすれば、主権問題を完全に解決できない状況では共同で行うのが双方にとって唯一現
実的な方法であろう。しかし、現在中国も日本も相互不信が強く、政治の強いリーダーシップが双方になければ実現
できそうにない。
これだけの問題になっているのに、今の日本政府は「中国との間に領土問題は存在しない」と言っている。双方が
真摯に冷静に話し合うことが何より大事である。
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【領土問題】
日本歴史学者の『釣魚諸島の史的解明』
COM記者 李拡建
(li@china.or.jp)
日本であまり報道されていない日本歴史学者の著作『釣魚諸島の史的解明』をご紹介する。作者の井上清氏は、
1913年に生まれ、東京大学文学部卒、日本歴史専攻、元京都大学人文科学学研究所教授、現在は京都大学名
誉教授で、主著は『日本の歴史』(岩波新書・青版)である。
(1)初版(国会図書館蔵)
【書名】「尖閣」列島−−釣魚諸島の史的解明
【著者】井上 清(いのうえ きよし)
【発行所】現代評論社
【発行年月日】1972年10月9日
【書籍コード】1020-720041-1918
【中国語訳版】あり
【価格】700円
【頁数】278
【目次】
一 なぜ釣魚諸島問題を再論するか
二 日本政府などは故意に歴史を無視している
三 釣魚諸島は明の時代から中国領として知られている
四 清代の記録も中国領と確認している
五 日本の先覚者も中国領と明記している
六 「無主地先占の法理」を反駁する
七 琉球人と釣魚諸島との関係は浅かった
八 いわゆる「尖閣諸島」は島名も区域も一定していない
九 天皇制軍国主義の「琉球処分」と釣魚諸島
一〇 日清戦争で日本は琉球の独占を確定した
一一 天皇政府は釣魚諸島略奪の好機を九年問うかがいつづけた
一二 日清戦争で窃かに釣魚諸島を盗み公然と台湾を奪った
一三 日本の「尖閣」列島領有は国際法的にも無効である
一四 釣魚諸島略奪反対は反軍国主義闘争の当面の焦点である
一五 いくつかの補遺
【要約】
釣魚島は本来は無主地であったのではなく、中国領であることが確かめられる
ことと、日本の占領は、日本が日清戦争(中国名:甲午戦争)に勝利して奪いとったものであることも、確認すること
ができた。釣魚島は中国領であることについて、歴史解釈についての科学的で具体的な反論もなしに、高飛車に否
定されて、日本の領有を既成事実とされていくことは、日本帝国主義の外国領土侵略とにせ愛国主義のあおり立て
である。
(2)再版
ある中国フォーラム会員の書き込みによると、この本は時節柄復刊の要望が多かったと見え、久しぶりに再版さ
れ、現代評論社がつぶれてしまったので、第三書館から出た。店頭には既に並べられていることも確認された。
【発行所】第三書館
【発行年月日】1996年10月10日復刊
【価格】2,000円(税込み2,060円)
再版の本のはしがきによると、この本は1972年出版された『「尖閣」列島
−−釣魚諸島の史的解明』の第一部「釣魚諸島の歴史と領有権」の全文を、前と同じ書名で出したものである。第
二部は「日本歴史のなかの沖縄」という題目で、沖縄近代史に関する論文四篇を載せていたが、近代の沖縄と「尖
閣」問題は重要な関係があるので、その関係は、この第一部でも十分明らかにしてある。
NIFTY-Serve中国フォーラム(GO CHINA)「時事評論」会議室より
「華声和語」 第110号
http://www.come.or.jp/hshy/j96/10si1.html
「尖閣」列島−釣魚諸島の史的解明
華声和語第112号
http://www.come.or.jp/hshy/j96/10d.html
1996年(平成8年)10月23日発行
【中日関係】
釣魚島問題をめぐる動き
毎日新聞によると、広東省深セン市で、釣魚島(日本名・尖閣諸島)防衛の署名運動を行っていた団体が17日、
運動を中止すると発表した。同団体は深セン市内の広場で13日に横断幕を掲げて公然と署名活動を行い、約1時
間で約千人の署名を集め、今後も毎週日曜日に同様の署名運動を行うと表明していた。しかし、14日になって同市
公安当局が「愛国の気持ちは分かるが中国では禁止されている」と活動の中止を求めていた。18日の香港紙「東方
日報」によると、香港資本の企業の中国人従業員らでつくるこの団体の発起人は「運動の現場で混乱が起きないた
め」と公安当局からの圧力があったことを示唆した。しかし別の方法でこれからも釣魚島防衛運動を続けていきたい
と述べた。
サウス・チャイナ・モーニング・ポストが18日、北京の外交筋の話として報じたところによると、中国指導部はこのほ
ど、釣魚島の領有権問題をめぐって、日本に対する抗議活動が民衆レベルで起きるのを防ぐよう求めた通達を地方
当局などに出した。同紙はまた、人民解放軍筋の話として、解放軍の一部で釣魚島奪還のためには武力行使の可
能性を検討すべきだという強硬論がますます強まっていると報じた。
香港紙「明報」は16日、釣魚島そばの海域で死亡した活動家、陳毓祥氏の遺骨を同島にまくため、「保釣号」で再
び同島を目指す計画があると報じた。陳氏の家族が遺骨をまいてほしいと希望していることを受け、保釣号に乗った
活動家たちが、同島に向かう計画を提案したという。保釣号参加者はその後「保釣号委員会」を結成している。保釣
号は先月末、釣魚島での抗議から台湾の基隆港に戻り、現在は高雄港に移されている。
マカオからの報道によると、「マカオ釣魚島防衛行動委員会」は16日、11月後半にも台湾でヘリコプターをチャータ
ーして釣魚島に上陸し、日本の右翼団体が建てた灯台と木製の日の丸を撤去する計画を発表した。同委員会の羅
紹会長は、6人から8人の隊員が同島に上陸し3、4日同島に留まりたいとしている。
共同通信によると、釣魚島領有を主張する台湾のグループとマカオのグループがそれぞれヘリコプターで同島に向
かう計画を立てていると伝えられていることについて、日本防衛庁の村木鴻二航空幕僚長は18日会見し「通常の対
領空侵犯措置を取る」と述べた。同幕僚長によると、領空侵犯する恐れのある航空機には、緊急発進(スクランブル)
した空自の戦闘機が領空に入らないよう「通告」。領空侵犯後は声による「警告」、さらに機体を振る信号を発して退
去するように要求する。領土上空に入った場合は強制着陸するように誘導、「信号(警告)射撃」する場合もある、とし
ている。
チャイナ・デーリーは18日、釣魚島問題に関する論評記事で、この問題をめぐる中日間の政治的緊張が「貿易関
係を傷つける可能性もある」と警告した。また、第4次円借款協議の遅れや、日本側の中国繊維製品に対する輸入
割当制、技術輸出規制も批判した。
香港「東方日報」紙は14日、1日200万人が利用する地下鉄当局に日本の右翼を語った毒ガステロ予告の電話
が数回あり、警備を強化したと伝えた。新華社香港支社が日本右翼が中国人・香港人を殺すという脅迫状が届いた
と発表したのに便乗したいたずらとみられるが、釣魚島をめぐる香港の反日運動は、陰湿な形で尾を引いている。電
話は「日本青年社」を名乗る男の声だった。警察は地下鉄構内のパトロールを強化した。新華社香港支社は脅迫状
を非難し、日本政府に右翼の取り締まりを求めているが、不思議なことに、香港警察にも日本総領事館にも脅迫状
の内容を見せるのを拒んでいる。香港警察筋によると、一部の日系企業には日本人に対する警告のファクスも届い
ているという。
朝日新聞によると、中国を訪問したシンガポールのリー・シェンロン副首相は13日の記者会見で、釣魚島の領有
問題について、「国際法や海洋法によって平和的に解決してほしい。シンガポールは中国、台湾、日本のいずれの
立場を支持するものでもない」と語り、関係国の慎重な対応を求めた。
華声和語第115号
http://www.come.or.jp/hshy/j96/10e.html
1996年(平成8年)10月28日発行
【領土問題】
「中華人民共和国政府関於領海的声明」について
小東夷
(PXA01423@niftyserve.or.jp)
1958年9月4日、中国政府は台湾海峡危機が続く中で、自国の領海に関する声明を発表しました。中国側資料
『中国政府公務百科全書』(中共中央党校出版社)より、以下に引用します(第3巻、P.1247)。
(1)中華人民共和国領海寛度為12海里。
(2)中国大陸及其沿海島嶼的領海以連接大陸岸上和沿海岸外縁島嶼各基点之間 的直線為基線、基線以外1
2海里為中国領海。
(3)一切外国飛機和軍用船舶、未経中華人民共和国的許可、不得進入中華人民 共和国的領海和領海上空。
(4)上述規定的原則適用於台湾及其周囲各島、PENG湖列島、東沙群島、西沙群 島、中沙群島、南沙群島以及
其他属於中国的島[山与]。
日本語訳(注)
(1)中華人民共和国の領海の幅は12海里である。 (2)中国大陸及びその沿海の島的領海は、大陸の岸と海岸線の
外側の島の各基 点の間を連接した直線を基準線として、基準線外側12海里は中国の領海 である。
(3)あらゆる外国の飛行機と軍用船舶は、中華人民共和国の許可なしに、中華 人民共和国の領海と領海上空に
進入してはならない。 (4)上述の規定の原則は台湾及びその周囲各島、PENG湖列島、東沙群島、西沙 群島、
中沙群島、南沙群島、及びその他の中国に属する島に適用する。
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尖閣紛争で検討すべきなのは当然、(4)となります。つまり、1958年の時点で、中国政府が尖閣列島を自国領土と
して認識していたかどうかに関わるからです。
まず、(4)に言及されているのは、中国が自国領土と見なしつつも、この時点で実効支配が及んでいなかった島で
す。現在でも、中国政府がこれらの中で「収復」できたのは、西沙群島と中沙群島、それに南沙群島の一部のみで
す。1958年当時、尖閣列島は憎むべき「美帝国主義」の支配下にあった訳ですから、中国政府がそこを自国領土と
考えていれば、(4)に言及したはずですが、一言も触れられていないのは見ての通りです。
勿論、「釣魚諸島」は当然「台湾及其周囲各島」に含まれるから、わざわざ言及しなかったのだ、という反論もありう
るでしょう。しかし、これには大きな矛盾点があります。
一つは、尖閣列島は仮にも「中国同胞」である国民党が占領した台湾や南シナ海の島々と違い、米国と琉球政府
の施政下にありました。中国共産党がこれを非難していないのは何故なのか?
さらにもう一つ。尖閣列島は何の注釈も必要ないほど当然に台湾の付属島なのか、という地理学的な問題です。
台湾の詳しい地図を見れば分かりますが、台湾の付属島である蘭[山与]、高台石、PENG佳[山与]などはいずれも琉
球列島に属する与那国島より台湾に近く、大体台湾本島からPENG湖列島までと同じ距離です。だから、誰も台湾の
付属島であることには異議を唱えていません。
ところが、尖閣列島はPENG佳[山与]から距離を計っても、台湾−与那国間の距離よりもさらに遠いのです。しか
も、経度では西表島の西側とほぼ同じです。これ程台湾から離れた島が、何の注釈もなしに自動的に台湾の付属島
となることはありえません。
少なくとも、《1970年以前の》資料で、中国政府が尖閣列島を台湾の一部に明確に含めていたという地図その他の
文書がなければ、1958年の時点では中国政府は、尖閣列島を自国領土とは認識していなかったと結論付けること
ができます。
編集部注: 1.本文はNIFTY-Serveの中国フォーラムでの発言を転載したものである。 2.「領海的声明」の日
本語訳はCOM編集部が追加したものである。
NIFTY-Serve 中国フォーラム会議室MES(17):時事評論 より転載
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