remove
powerd by nog twitter
セロファーンズ
1997 NINELIVES
・「あの日のゲーセンに、僕は帰る」(パッケージより)
 このコンセプトやばいです。一体どんなコンセプトなのか知らない人のために説明しますとこの「セロファーンズ」、「1970年代のゲームセンターを再現」という(一部の人には)とてつもなく甘美な響きのコンセプトの元に生まれた作品なのです。
 「70年代調ゲームのオムニバス」。今まで移植されたことのない究極のレゲー達がついにPS上に復活!?なんて素晴らしい作品なんだぁー!ニュースリリースや画面写真を見た移植モノ大好きHEDは狂喜乱舞でした。ゲームはつまらなくていい、その資料的価値と制作者達の大英断に乾杯!と。しかしよく見てみると…「70年代調」…。
・ セロファーンズの正体
 まぁ、そのスジでは有名なソフトですから、下手に引っ張っても仕方ないので書きますが、この作品「70年代のゲームっぽい新作」のオムニバスというなんとも腰砕けなソフトでした!しかしながらそれはそれで物凄いコンセプト!アイディア自体は結構思いつきそうなものですが、思いついても絶対やりません。
 70年代の雰囲気(だけ)を再現したゲームが12種類も入っています。盛りだくさんです!ブロック崩しやエレメカ風のガンシューティングなど、確かに懐かしいですね。当時のゲームのなんとも言えないヘボ〜イ感じがうまく出されていて、処理落ちノイズ、はたまた画面の焼きつきまでも再現されています。説明書にわざわざ「焼きつき、描画ぶれなどの画面表現はプログラムの処理による演出です」などと書き、PSの故障ではないことをわざわざ主張している所も必見です。
 筐体やインストカードまででっちあげ(公式HPより)られているのにはこだわりを感じます。インストカードを作る際にわざわざコーヒーの染みまで入れたと言うのですから脱帽です(作業自体は大変な事でもないとこがミソ)。筐体の写真もかなりソレっぽいです。
 それでは一応収録ゲームを何本か見てみましょう。
コンピューターブロック
 ブロック崩しです。それ以上でも以下でもなく、ただ「ピッ、ポッ」という音だけを響かせながら延々とボールを打ち返しましょう。一応点数が上がるとボールのスピードが速くなったり、バーが短くなったりしますが、やる気をなくさせる効果しかありません。今コレを楽しめという注文は普通に無理があります。
殿様ブロック
 立ち上げると怪しい音楽と謎の爆発音、そして「アッパレアッパレ」という脱力ボイスが聴けるブロック崩し。初プレイの時だけは口元が緩むでしょう。さらにスタートを押すと「苦しゅうない」と苦しそうに呻きます。ゲームは1面ごとに「江戸」などの場所が設定されていて、それらしきグラフィクになってます。2面がどこなのかは知りません(1面クリアする気力が出ないので)。ちなみにゲームオーバーになると「む〜ね〜んな〜り〜」と言います。プレイヤーの心情を(以下略)。
 ブロック崩しタイプのゲームは他に、ベクタスキャンで描かれたブロック崩し「デルタ」、動物園がモチーフで、耐久力のある動物を倒して行く「ダンシング・ズー」があります。
ミステリープラネット
 タイトル画面を見ると「1982」と書いてあります。70年代じゃなかったのかぁー!ゲームはほとんど「アステロイド」のパクリ。慣性のついた自機を操作して、番号を1から順に取っていきましょう。敵はショットで倒せます(アステロイドと思って下さい)。敵や壁に当るとエネルギーが減るぞ。まぁ、詳しく語るほどのものじゃないです。
 シューティングでは海中をモチーフにした「シー・ファイター」があります。インベーダーみたいなもんです。
カーニバルハント
 いわゆる射的ゲームです。レゲーの有名作「カーニバル」のパクリともいえます。左右から現れる的を撃っていこう。弾数に制限があります。なくなったら終わり。バックにうっすらタイトルが書かれていて、的が通ると透けて見えるので、的はビニールか何かという設定なのでしょうか。あと、的同士が重なるとチラつきます。
 なんらかのレゲーをモチーフにしているのでは、他に「アミダー」のパクリっぽい「ドラゴン・ウォーカー」があります。
タンク
 エレメカ風のガンシューティングです。標準を動かして一定の場所に現れる戦車を撃ちます。制限時間が来るとゲームオーバー。時間内にいかに数多く戦車を撃てるか競います。
 確かにこういうのありましたねぇ。デパートの屋上とか思い出すなぁ。背景で飛行機やミサイルの形をした電飾が時々光る演出が泣かせますね。つまらないですけど。
 エレメカシューティングは他に、ジャングルが舞台の「ウイウイジャングル」、西部が舞台の「ガンファイター」などがあります。
 ブロック崩しなら「ボリュームコントローラー」、ガンシューティングなら「ガンコン」、と言った具合に各種周辺機器に対応しているというのもミソ。多分一回試したらもう満足とは思いますが。
・殿堂入りのわけ
 正直に結論を言ってしまうと、つまらないんですよセロファーンズ。一応斬新さで各ゲーム1分くらいづつは楽しめますので、全部で15分近くは楽しめますが。レゲーになんの思い入れのない一般プレイヤーには全くもって勧められません。一体何本売れたことやら。
 全体のプレイ時間と引き換えに各ゲームをカスタムアップしていくモード(その名も「アキバパーツショップ」!)もありますが、プレイ時間なんて溜まらねぇ!
 資料的価値が追求できない以上、ゲームとして面白いとは思えないレゲー風ゲームの寄せ集めは正直キツイと思います。ただし、そんなバカバカしいコンセプトを必死に実現してしまうその姿勢はHEDの心に何かを刻み込んでくれました。レゲーの移植作に目がないHEDをある意味うならせた、まさに陰の殿堂作品です。
対応機種 プレイステーション
ナインライブズ
1997年12月11日発売 4200円

「マイ殿堂」トップへもどる