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幕末浪漫第二幕 月華の剣士
1998 SNK
 剣術格闘の大作「サムライスピリッツ」シリーズに、対抗作としてSNK自ら発売した意欲作「月華の剣士」。その第2弾として発売された「月華の剣士第二幕〜月に咲く華、散りゆく花〜」です。剣質選択や弾き、潜在奥義や連殺陣、昇華、乱舞奥義などの練りこまれていて、かつ爽快感や緊張感バッチシのシステムを用い、「サムスピ」とは違った面白さを出した稀代の傑作!
 なんと言ってもこのゲーム、対戦が面白い!キャラも技もメチャかっこいいので、華麗に技を決めることに身も心も心酔気味。まさに「華」のあるゲームと言えます。

驚異的なセンスで「サムスピ」から脱皮!華麗かつ派手な技で対戦に華を添えよう!

 噛めば噛むほど味が出る。キャラも世界観もゲームシステムも。やればやるほど面白さにハマってゆくこと間違いナシ。HED的にはSNK格闘ゲームの最高に位置する出来。これと「餓狼(MOV)」は格闘ゲーム全般で見ても最高峰ですな(個人的意見ですが)。

・DC版登場!
 NEO−GEOのゲームは果てしなく続く。そんな事を感じさせるDCへの移植。
何世代も後のマシンに単体商品として移植されるNEO−GEOの作品群はやはり偉大だと思わせます。
 「月華の剣士」は1作目のセガハード移植がなかっただけに、「第2幕」の家庭用完全移植は実現しないかに思われました(プレステで「完全」は無理だし)が、やってくれましたSNK。セガ最後のハード「ドリームキャスト」で「ファイナルエディション」として発売!
オマケもいっぱい!の嬉しい完全移植!副題が消え「Final edition」に!
・移植の具合
 さすがDC!移植度は「ほぼ」完璧と言えるでしょう。グラフィックからアニメーション、BGMや効果音まであますところなく移植されています。
 「キングオブファイターズ98、99」のDC移植の時のように背景がポリゴンになったりすることもなく、ネオジオCD版からですらない、純粋にACからの移植になっています。まぁ、ネオジオCD版は全然移植度が低いので当たり前ですが。一部のオリジナル要素はCD版から持ってきているみたいです。
 BGMもオリジナルのPCM音源版を採用。ネオジオのゲームはCDアレンジ版よりもオリジナル音源版の方がいいものが多い(特にサムライ)ので、HED的には嬉しい配慮です。まぁ、アレンジとオリジナルが選べるくらいのサービスがあってもいいですがね。
・気になるところ
 ネオジオの性能を圧倒的に凌駕しているDCですが、所詮は別ハード。全く同じものにするというのは難しいようです。まずグラフィック面ですが、超必殺技を決めた時の演出で、AC版では画面がセピア色や白黒に変化するものがありました(高嶺響の技など)。DC版ではセピアにはならず白黒になる演出に統一されているようです。
 それと、AC版の真田小次郎や鷲塚慶一郎のステージでは、背景にラインスクロールを使ってゆらめく火事の炎を表現していましたが、なぜかその演出はカットされました(ステージOPデモも同様)。
(左)AC版、(右)DC版。セピア色はなぜかカットされました。うーん、なぜ。
 音関係でかなり気になった点があります。2本目の勝負を決めた瞬間AC版では「どびゃ〜ん(?)」という効果音と共にキレイにBGMが消えます(自然音がBGMの場合は鳴り続ける)が、DC版では効果音とBGMの消えるタイミングがずれている為、BGMがパッと消えるのがわかってしまいカッコ悪いです。これが一番気になった!
 あと、各キャラの音声や試合開始などのかけ声はかなり大きく再生されます。よく聴こえるのはいいんですが、オプションでBGMと音声のバランス調整ができれば満点だったのに・・・。
 バランス関係では、処理落ちが起きないので上級者にとっては少し技入力タイミングに違和感を感じるらしいです。乱舞系などでは処理落ちが逆にいい味になっていたのでちょい残念ですね。あと、CPUのアルゴリズムがAC版と若干違うみたいです。
 まぁ、以上の点を考えてもかなり忠実な移植と言えますので、ACのファンも納得ではないでしょうか。試合前の読み込みも約3秒とほとんど気になりません。ただ・・・通常コントローラーではボタンの同時押しがしにくいです(特にBC)。同時押しの設定があれば良かったなぁ。
・オリジナル要素
 この作品「ファイナルエディション」と銘打ってるだけに、DCオリジナル要素もなかなか豊富です。AC版では隠し剣質だった「極」が初めから使用可能というのはありがちな追加要素として、前作の中ボス「暁武蔵」が対戦で使用可能というのはちょっと粋なサービス。ストーリーモード(セミファイナル)でのキャラ同士のやりとりでは音声でしゃべるようになりました。
 そして何より「ファイナルエディション」と銘打っているだけあって追加モードが豊富です。ちなみにモードは・・・

 「ストーリーモード」
 「VSモード」
 「タイムアタックモード」
 「トレーニングモード」
 「アートギャラリー」
 「デモビューワー」
 「オプション」

 
 うーん、豊富。対戦ゲームであるというトコロをしっかりおさえたモードが嬉しいですね。
 「アートギャラリー」では「1」の時に描かれたものも含めた様々なイラストが鑑賞できます。数も豊富でこれかなり見応えがありますよ。SNKのゲームは世界観やキャラが魅力。そんな魅力を思う存分楽しめます。
 「デモビューワー」では、各キャラのセミファイナルデモやエンディングデモがいつでも見られます。ただし、ゲーム中で実際見たものに限るので、頑張ってクリアしましょう。ランキングやOPデモなども見れますよ。
 さらにlここでは「1」のゲーム中デモがムービーで見られます。ゲーム中画面をムービーで見るというトコに若干違和感を感じますが、まぁ、手っ取り早い制作法だったのでしょう。
・HANAFUDA!
 さらにさらに、隠しのオマケモードとして「花札」が楽しめます!もちろんただの花札などではなく、「月華」キャラが美麗に描かれた花札を使っての「こいこい」です。この花札がマジ素晴らしいデザイン!本物にして売り出して欲しい!オフィシャルイラストを手がけた「TONKO」氏により全ての札にオリジナルの絵柄が描かれている手の込みようです。じっくり見たい時は「アートギャラリー」で1枚1枚堪能しましょう
 ゲーム自体は「月華」キャラ相手の二人対戦「こいこい」。通常のゲームモードと同じく勝ち抜き戦です。これがなかなか地味に面白かったり。「ぐるぐる温泉」などに慣れていると少し演出が淡白に感じますが、オマケとしてはかなり楽しめるんではないかな?
花札のゲーム画面と絵柄の一部。デザインはほんと素晴らしいヨ。
・SNKの魂
 余談ですが、このゲームVGAボックスには対応していません。非公式にも対応してないのがとっても残念!「ぷるぷるぱっく」には対応しています。
 このDC版「月華」、同じくDC版の「餓狼(MOW)」と共に出荷数が少なかったのかかなり希少価値がついていました。手に入らなかった人達の呪いが通じたのかSNKより廉価版の発売が発表されましたが、当のSNKがあんな目に遭ってしまったために、発売中止というショッキングな出来事も引き起こしました。
 2002年5月23日、SNKから販売関係の権利を引き継いだプレイモアによって無事廉価版「月華」は発売されました。大人気なのか数が少ないのか売り切れのショップが多く、人気のほどをうかがわせます。
SNK
2000年12月21日発売 5800円
(画像はプレイモア発売の廉価版)

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