FANTAZY ZONE for SEGA MARKV 86年 SEGA |
・マークIIIの代表作!
全国民総ファミコン化が進む80年代中期、孤軍奮闘で任天堂の牙城を崩すべく、セガはファミコンよりも性能が勝る自慢のマシン「セガマークIII」を送り出しました。
「ファンタジーゾーン」は当時の家庭用マシンでは最高峰のグラフィックと、1メガ(ビット)という大容量でファミコンとの性能差を誇示し、その魅力にとりつかれた人々の多くがその後「セガ派」として、セガを支えていったのです。
パステルカラーが美しい
移植という観点から見ると、あまりにも美しいグラフィックで名を馳せたアーケード版との性能の差は歴然で、苦しいものとなりました。しかし作品としては非常に完成度が高く、多くの人の心に残る名作です。
・困難な移植
美しく幻想的なグラフィック、生き生きと動くキャラクター、奥行きを感じる立体的な世界。アーケード版「ファンタジーゾーン」はとてつもなく偉大な存在でした。そのアーケード版と同時期に移植(制作)作業が進められたというマークIII版はもちろんアーケードの魅力を再現しきれませんでした。
・残念な点
マークIIIで再現できなかった要素の全てが「ファンタジーゾーン」という作品の魅力的な部分だったので、完全移植は無理難題とわかっていてもあきらめきれない、残念な部分が多くありました。中でも…
「背景が上下にスクロールしない」
アーケード版は左右に加えて上下にもスクロールしました。これがなくなった事で非常に世界が狭くなった感じがして残念です。
「前線基地が動かない」
2重スクロールは夢のまた夢
アーケードでは生き生きと動いて愛嬌を振りまいていた「前線基地」が、死んだように動かなくなっています。スプライトを使わず背景で処理した為か、非常に寂しくなっしまいました。ついでにダメージゲージもなくなっています。残念!
「ボス関係の演出が貧弱」
まず、ボスとの戦闘時に背景がありません。これはもちろんボスをスプライトで表現できないため仕方ありません。そして、スプライトで表現せざるを得ない触手を持つ4面ボス「クラブンガー」と6面ボス「ウインクロン」がいなくなり、オリジナルキャラに変更されました。ボス登場時の演出(スタンパロンの破片が集まる所など)もほぼカットされています。
2重スクロールがなくなった点も非常に残念です。奥行きのある立体的な背景が再現できませんでした。当時「2重スクロール」は憧れの機能であり、拡大・縮小機能と並ぶ移植の際の鬼門でした。
アーケードでは高品質のFM音源を駆使したノリのいいサンバミュージックが話題となりました。マークIII版は貧弱なPSG音源で頑張ってはいるものの、寂しいBGMと言わざるを得ません。全体的になぜかテンポが速くなっています。
・マークIIIならでは!の要素
オリジナルのボスが再現できなかったから、というマイナスの登場理由であるものの、2体のオリジナルボスは中々いい味を出しています。
クラブンガーの代役、ウルトラ・・(略)
ボスではスコアなどの表示もなくなります
「ウインクロン」の代わりに登場した「ドジデノローマ(亀ボス)」はいいとして、「クラブンガー」の代わりの「ウルトラスーパービッグマキシムグレートストロングトット」はスゴイ(名前が)。最後の「トット」がカワイイです。2体とも「ファンタジーゾーン」の雰囲気を壊さない絶妙なデザインです。
あと、裏技でアイテムが無限になる(スピードアイテムを4つ買う)というのがありました。これで7WAYを使い、連射機能(ラピッドファイヤー等)を使えば、ほぼ永久プレイが可能です。「7WAYと連射」はボスを平均0,5秒で倒せるほどの殺傷能力を持っています。
・名作の誉れ
マークIII版「ファンタジーゾーン」は世界の広さや奥行きなどが再現できなかった等、移植という面で見るとツライ所が多いものの、作品としては名作!と言える、セガファンには思い入れの深い作品ではないでしょうか。
何度プレイしても楽しく、手軽に楽しめる「プチファンタジーゾーン」という感じの傑作です。
セガ
1986年6月15日発売 5000円
「ファンタジーゾーン」トップへもどる