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QUARTET
1986 SEGA
・アーケード版「カルテット」
 「カルテット」はセガが86年に発表したアクションゲームです。アメリカンなアップライト筐体で4人同時プレイが可能という、アタリの「ガントレット」を思わせる感覚で、みんなでキャラクターを決めてわいわいプレイするのが楽しい名作です。
 ゲームとしては横スクロールのアクションゲームで、ショットとジャンプを駆使しながらボス(?)の持つカギを奪って次ステージへの扉を目指します。4人のキャラにはそれぞれの色が割り当てられていて、色に対応した玉を取ることでショットパワーアップ!玉にショットを当てると色が変わるので、戦略が必要!取りすぎるとパワーダウンしてしまいます。
永久パターン防止「死神」登場 アニメチックなチラシ
・セガっぽい!!
 うーん、この頃のセガのセンスってほんと印象的でしたねー。独特のパステルカラーがとても奇麗で、世界観やシステムも群を抜いてました。
 「カルテット」ももちろんそんな「セガチック」な作品の代表とも言えます。淡い色使いで表現された未来の世界がカッコ良かった〜!立体的な画面で、BGMの音質も厚みがあって素晴らしい!未来感がうまく出ていて今聴いても充分カッコイイです。特に「デデデッデイヤ」「オーイェ、オーイェ」などのボイスが入るBGMが印象的!このゲームのBGMは後に同社作品「スパイダーマン」でも使用されました
 タイトルのセンスもいいです。ただ単に4人の主人公だからなのかもしれませんが、あの世界観に「カルテット」というタイトルはすごく洗練された感じがします。
 ちなみに通常の2人用筐体版「カルテットII」が存在します。同時プレイは二人までになった以外、内容は同じです。

・期待の移植作、マークIII版!
 当時のセガハードといえば言うまでもなく「マークIII」です。名作が多数存在する素晴らしいハードですが、ことアーケードの移植となると凄まじい性能差が祟ってツライ立場だったのは周知の事実。それでもアーケードで名作を出し続ける自社のファンの為に数々の苦渋をなめてきました。
マークVで登場!その名も「ダブルターゲット〜シンシアの眠り〜」
エイリアンに襲われたスペースコロニー09に眠る王女シンシアの棺をとりもどせ!
 「カルテット」もそんなツライ移植作の一つ。なにせとりあえずタイトルが「ダブルターゲット」に変わっています(しかもサブタイトルつき)。主人公が4人から「エドガー」「マリー」の2人に減ったため、4人の「カルテット」から2人の「ダブル(ターゲット)」になったんでしょうか。なんか未来的に垢抜けた感じの「カルテット」だったのに、「ダブルターゲット」になってイマイチ普通…というか地味なタイトルになってしまいましたねえ。
 人選もちょっとスゴイ。女の子キャラの「マリー」はわかりますが、なぜ「エドガー」!?他の二人(ジョーとリー)はなかなかのナイスガイだったのに、スキンヘッドの彼が選ばれたのは大抜擢といえるでしょう(左遷と言わないで〜〜)。美女と野獣のミスマッチを楽しめということだと思います。
 プレイヤーは二人になってしまったものの、相棒の頭の上に乗って移動などの協力プレイはきちんと楽しめますよ!
ボス(?)から鍵を奪う画面。システムはだいたい同じです
(左)アーケード版 (右)マークIII版
・ゲーム的な移植度は?
 システムに関してはほぼ忠実に持ってきています。横スクロールで、ボス(?)を倒して鍵を奪い、次ステージへの扉に入ればクリアです。ただし、アーケード版と違い、一つの面に数画面存在するステージがほとんどです。特定の扉で行き来します
 また、各ステージにひとつづつある(隠れている)「スターパワー(星)」を集めていかないと最終ステージに行けないので、アーケード版のシステムに「星を見つけ出し、取る」というゲーム性が加わったと言えます。
 パワーアップアイテムなどはほぼ変わってしまっています。ただ、空が飛べるようになる「ジェットエンジン」はきちんと存在します。各面に一つしかないので、2人プレイ時には協力が必須!
 色が変わる玉はなくなりましたが、面クリア時の点数計算で与えられる階級によってショットがパワーアップします。たいしたパワーアップはしませんが。体力はアーケード版とほぼ同じ(数字で表現)ですが、こちらにはさらに残機があります。ただし、一発死の「落下死」の概念が加わりました。ちなみにやられた時にアーケード版では天使に運ばれましたが、こちらは魂になって自力で飛びます(残機がいるとまた降りてくる)。永久パターン防止キャラ「死神」もカットされました。

天使に運ばれるアーケード版と比べ、死に方が地味に・・・
(左)アーケード版 (右)マークIII版(真ん中辺の白い玉が魂)

 なんとなく「シューテングアクション」といった感じがあったアーケード版ですが、こちらは純粋な「アクション」のような印象を受けます。やっていることはそれほど変わらないんですがね。あとは、やることが多くなった分(星を探したり、数画面に渡って移動したり)テンポが悪くなった感じです。典型的な家庭用ライクというか、単純でハイテンポだったアーケード版とはまた違う感覚のゲームと言えるでしょう。
・グラフィックなど
 パステル調の美しいアーケード版を再現しようという努力はそこそこ見られますが、途中で諦めてしまったような印象も受けます。
 一応面のモチーフは似た感じですが、世界観やシステムを引き継いだほぼオリジナルと考えていいでしょう。敵キャラもほぼ共通していません

(左)中には違和感のある背景も (右)協力プレイが醍醐味!?

 BGMはアーケードと同じ曲でマークIIIのうすっぺらいPSG音源にしては、なかなか雰囲気を出していると思います。音質抜きの「曲」の再現ならかなりうまくいっています。ただ、仕方ないことですが「デデデッデイヤ」などの音声は再現されず、同時発音数の関係からBGMが効果音にかき消されぎみなのがツライですね。ちなみに5面ではオリジナル曲が流れますよ。
 この「ダブルターゲット」、一般的にはアレンジ移植とよく言われます。確かに数々のアレンジがされた移植版です。しかし性能差が激しかった時代の苦労と工夫の中で生まれた精一杯の「カルテット」だったんだと思います。
ダブルターゲット
対応機種 セガマークV
セガ 1987年1月18日発売 5000円

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