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「有終の美は飾れない」 7月19日(月)

 7月15日、NEOGEO最後のソフト「サムライスピリッツ零スペシャル」のROM版が発売されました。
 約14年という一つのハードとしては驚異的に長かった歴史の終止符、そこへきてあってはならない事件が起こり、現在ちょっとした騒ぎになってます。
 
 もう皆さんご存知かと思いますが、このROM版に関してSNKプレイモア様は何の事前予告もなく「スペシャル」のメインである「絶命奥義」の演出を全カットし、「一閃」の演出に統一してしまいました。うひゃー。さらに胴が真っ二つに斬れる演出もナシ。つまりはAC版設定の「残虐レベル1」に固定になったって事です。
 
 まぁ一応世相や実際に起こっている事件に配慮してという事らしいですけど、どうなんでしょうこういう措置。
 
 NEOGEOのROM版と言えば「アーケード版そのまま遊べる」というのが14年間続いてきた不文律じゃなかったでしょうか。ずーっとそうしてきたわけです。しかし、最後の最後でなんの事前発表もなしにACからの大きな仕様変更を施しちゃった。これ、知らずに高い金(約40000円)払って購入した人は怒り爆発ですよね当然。現在署名運動まで起こってしまっている始末。
 
 さらに輪をかけてひどいのが数々のバグ。
 
 「勝負あり!」の音声が「一本!」になってて、さらに勝利画面のBGMが流れなくなっている。
 プラクティスモードで絶命奥義をかけると一時操作不能。
 プラクティスモードのダメージ量が実際の対戦時と明らかに違う。
 
 などなど、他にもありますがこりゃ誰でも気づく現象。
 このようないかにもデバック不足なバグを残したまま発売しちゃったわけです。
 あぁ、こりゃ何を言われても仕方ないよなぁーーー。
 
 
 これはHEDとしても残念至極。
 バグは論外として、AC版とROM版の仕様が違うという点に関して。
 残虐表現があればいいというものではないですが、当然あると思われていたものがないというのはどうかと。
 
 SNKプレイモアは「アーケードに出した時からクレームがあった」と言っていますが、一体どのようなクレームなんでしょうか。謝罪文本文では「家庭用マスタの製作時、おりしも佐世保事件直後の時期でもあり、アーケードで稼動している本ソフトに対するお客様からのクレームが集中しておりました。」となっています。

 しかし考えてみれば、NEOGEOのゲームにクレームつける人ってどういう人なんでしょう。確かに佐世保の事件は凄惨だし、絶対にあってはいけないこと。でもそれと関連してNEOGEOのゲームにクレームつけますか普通。
 それにもし本当にそのようなクレームがあって、それに対処するのなら、アーケードで出回っている基板も回収・改変するのがスジではないでしょうか?クレームの対象に関しては全く措置ナシですか。
 
 実際のいわゆる「クレーム」って、まさか「ナコたんリムたんミナたん殺さないでー」とかいう類のクレームじゃないでしょうねぇ。その方が現実的だし、起こりうる。それに対する措置だとしたら「世相や事件に配慮した」ことには全くなりませんヨ、プレイモアさん。カッコつけて一部のコアなファンに媚び売ったら逆効果だった、みたいな感じが漂います。
 
 事前に公式な告知がないというのもおかしい。告知しない意味がわからない。「告知したら売上が落ちる」との考えがあったと取られても仕方ないですね。
 
 なんかやることなすこと中途半端で説得力がない。
 
 確かに現状では「AC版と全く一緒の内容です」とのアナウンスも元々ないわけで、本筋で言えば誰も文句言えないんです。でも、これってメーカーとファンの間で築いてきた信頼関係だし、4万円という高いお金出して「ACと一緒のサムゼロSPを買おうとしているユーザー」の気持ちを考えたら普通教えてあげるんじゃないでしょうか。最近はHEDもよく書いていますが、メーカーの売上至上主義がとても鼻に付く。露骨過ぎですよ。
 
 
 「スペシャル」は倫理云々別として、「絶命奥義」があるから楽しいという面が大きいです。というか「絶命奥義」の追加とバランスの調整で真の「サム零」が完成したと言っていいわけです。
 
 確かに「絶命奥義の演出がなくたってゲームとしては支障がないんだからいいじゃん」という意見もあります。
 それはそれで一つの考え方だし、それでいい人はそれでいいんでしょうが、やっぱしゲームは「ゲーム性」「映像」「BGM」の三位一体で完成しているわけで、初めからナイものならそれでイイんですが、あったものを取り去っちゃったら制作者の意図からは外れちゃうわけでしょ。しかもそれが一度世に出て、大半のユーザーはそれで楽しんだわけで。
 
 大体倫理的に問題があるという考え方はちょっと「?」です。てかそもそもあの程度のゲームで倫理がどうとか考える方がおかしい。TVや映画はもとより、小説や他のゲーム作品などで絶命奥義の表現より際どいものなんて無数にあります。14年も前の16ビットマシンの表現でどうこう言う話じゃないでしょ。
 
 そう考えるとやはりナコたんリムたんのファンによる激クレームが原因説は濃厚になってくるのでは?キャラクターへの愛はいいんですが、一度出したものをメーカーがホイホイ内容改変しちゃうのってどうなんでしょ。
 
 最後がこれではSNKとNEOGEOが報われません。
 SNKが築いてきたファンとの信頼関係もおしゃか。
 
 これからはアトミスウェイブに舞台を変えて、SNK作品の続編がまだまだ出てゆきそうです。
 本当にそれでいいんでしょうか。
 
 
※これでPS2版「サムライスピリッツ零スペシャル」の発売は絶望的になりましたネ。


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