光る職人技

　ただでさえ「大胆なストーリー削除で意味不明な所がある」、「ロードが頻繁で鬱」、「残像がひどい」とファンの泣きが入っているのに、泣きっツラに蜂のバグ騒動（回収交換一切なし）。さらに町人が「スクリプト解明まで仮置き」という思いっきり開発中なセリフまで吐くといいます。まぁポポロに関しては買ってないからなんとも言えないけど、やはりこんなことばかりだとイメージがどん底に失墜ですよ。

　ホントにモノとしてはいいと思うんですけどねＰＳＰ。あの液晶と、美しいグラフィックには絶対ビビるし。でもそれだけなんですよね・・・。結局「ゲーム」として楽しませようという感じがしないのが痛い。世界最高の技術が投入されているわけですが、結局何の為のマシンなんだろ・・・。遊ぶ際ストレスを感じない工夫、耐久力のある本体など「ゲーム機という遊び道具」として重要なファクターが足りない。任天堂はそういうとこ一番大切にしてるのに。

　で、前々から欲しい欲しいと思っていたＧＢＡの「Ｒｉｖｉｅｒａ　～約束の地リヴィエラ～」を入手！一部から人気が沸騰し、今や品薄状態なんて話を聞いていたので、わざわざアキバでＧＥＴ。しかし帰ってきてみると近所のショップでもズラッと並んでました。状況を見て再販したんでしょう。

　しかしなんと言ってもグラフィックが美しい！さらにサウンドもいい音出してるし、ボイスも豊富。このソフトをプレイしていると、ＧＢＡの性能が数倍アップしたような錯覚さえ覚えます。ここまで出来るんだなぁ。

　メガドラ時代なんかは結構あったじゃないですか、ハードの性能を１５０％くらいまで引き伸ばしちゃうメーカー。まさにそれを地で行く出来栄え。
　ソフトの容量が１２８Ｍ（ビット）と大容量で余すとこなく活用しまくってます。美しすぎる背景のパターンはさすがに多くはないようですが（それでも充分な量ではある）、キャラクターのカットインは味方を始め敵にまで用意されている凝りよう。

　キャラクターイラストは可愛くて、単なる萌えというよりも「巧い人が描いた」という雰囲気満点で美しい（絵描きさんは女性の方です。巧い！）。しかもパターンが豊富。会話シーンは楽しいし、ステータス画面や必殺技のカットインも固有グラフィックで楽しませてくれます。うーん贅沢。背景の描きこみもＧＯＯＤ。木々に差し込む木漏れ日や、暗い城に差し込む月明かり・・・。センスあるなぁ。まだ画面を見たことがない人は公式ＨＰを覗いてみましょう。これがＧＢＡのグラフィックか！？と思うこと必至です。

　グラフィックに関しては、単に絵が巧いとか、美しい色彩ととセンスで魅せてるとか以外に、画面の配置バランスも絶妙だと思います。文字の大きさ、ウィンドウの配置など、画面の小ささや解像度の低さを感じさせない巧い見せ方を心得ているような感じです。つくづく職人だ。

　肝心のゲームの方ですが、手軽にまとまっててなかなか面白いです。
　通常のＲＰＧとは違って１画面１画面を「絵本をめくるように（公式サイトより）」探索しながら進むタイプで、敵も決まった場所に配置されています。ただ、戦闘はいつでもどこでも「練習バトル」ができるので、レベル上げは好きなだけ出来ます。
　ただ、武器（や補助アイテム）を極めることでキャラクターのパラメーターがアップする方式なので、所持しているアイテム類を極めきっちゃうと新たな種類の武器を入手するまでキャラが一切成長しません。そういう意味での自由度は低く、ある程度進行を促される作りですが、気軽にサクサク進んで行けるので携帯ゲーム機には合ってますね。

　ハードの特性や、ユーザーを楽しませる技法、見た目で惹きつけるセンスと技術。それら全てを真剣に考えた良作だと思います。決して１００点満点ではないかもしれませんが、傑作だと思います。もともとワンダースワンの作品だったものですが、キチンと手抜き一切なしの良質リメイクになっているようです。

　何より２Ｄでしっかり魅せた事に拍手。「２Ｄで頑張ってる」という姿勢だけで、ＨＥＤのような古参ゲーマーはしっかり安心させていただきました。頑張れ２Ｄ職人！

　開発元の「ＳＴＩＮＧ」のサイトでは次期作品の予告が出ていますね。
　キャラのドット絵が一体公開されているだけですが、あの絵の様子だとＧＢＡかＮＤＳでしょうね。２Ｄ職人の技がまだまだ楽しめるのかと思うとワクワクしてしまいます。