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クラッシュモードがレースゲームの常識を覆す!
(パッケージより)

BURNOUT2 POINT OF IMPACT
2004 Sammy

 車がギャンギャン行き交っている交差点のドテッパラに超高速で突っ込んでみたいと思ったことはないでしょうか。

 ないですね。
 
 よくアメリカのカーチェイスなどで見かける光景・・・犯人の車が信号無視して交差点に突入!横断中の大型トラックの側面に突っ込んで大破しながら吹っ飛ぶ犯人カー。止まりきれず事故車に次々と突っ込んでくる後続車。鉄屑や火花が飛び交い、阿鼻叫喚の光景が広がる・・・。こんなシチュエーションを極めて忠実に再現できるバカゲーがありました!


・あまりに衝撃的な動画
 某巨大掲示板に動画がアップされていたのを見て思わず即買い。
 全く知らなかったゲームにも関わらず、画面を見た瞬間「買った!」と思えるソフトは久しぶり。それほどインパクトが強い映像でした。

 パトカーが一般車の渦に突っ込んでゆく。激突した瞬間スローになって(←ココ重要)次々と周囲の善良なドライバーを巻き込んで行きます。スローでオンチなサイレンを奏でながら吹っ飛んでくるパトカー(迷惑)。ゆっくりと飛び散る破片、立ち込める噴煙、次々と起こる連鎖事故(しかもスロー)、鳴り響くクラクション。そのリアルさとバカっぽさ。即買い決定には充分過ぎるほど魅力的な動画でした。


・悪質ドライバー万歳!
 あぁ〜もう面白過ぎ!マジこのゲームは大当たりですヨ。最高に面白い。洋ゲーですが、マジで日本のクリエーター頑張れよと思えるほど優れたエンターティメントになってます。
 「ゲームだからこそできる」という妄想の遊戯化。おいおいやり過ぎだろという良識を軽く置き去りにするその太っ腹さ加減はさすがアメェェリカン。

 ゲームは簡単に言えばレースゲー。基本的にはライバルたちと多彩なコースでレースを繰り広げ、勝ち進んで行くものです。

 しかし、ただのレースゲーではないことはもうお分かりですね。

 ぶっちゃけ「クレタク」や「スリルドライブ」みたいなバカレース(いい意味)を「リッジ」みたいな正統派に無理矢理載せてみた感じ。

 公道でいかに悪質なドライブをするかがキモというトンデモシステムがこのゲームの特徴。
 スピード違反はもとより、(善良な一般車に対して)必要以上の幅寄せ、対向車線爆走などいかに世間に迷惑をかけられるかが重要な要素となっているのです。
 悪質なドライブをすればするほど「ブーストゲージ」が溜まって行き、溜まりきれば所謂「一定時間ターボ」が使えるわけですね。

画面も処理も美しいハイレベルなレースゲー。



・スピードと事故の快感
 スリリング(迷惑)なドライビングテクニックによって溜まるゲージが満タンになれば、さぁお待ちかねのターボ全開!
 視界が歪み、高速で過ぎ行く景色、BGMのボリュームも上がってプレイヤーの心臓もドッキドキの超ハイテンション状態!道が混んでようが対向車線だろうが信号が赤だろうが猛スピードでブッ飛ばすんだっ!

 クラクションの嵐をものともせず、赤信号の交差点をギリギリすり抜け、2台の対向車の間を走り抜ける。まるでジェットコースターのような快感!高ぶる鼓動、強張る体、緊張と快感が紙一重でせめぎ合う。次の瞬間、不意に路地から出てくる車!ハッとしてハンドルを切るがもう遅い!

 ドッシャャァァ〜〜ン

 ・・・放心。冗談抜きのエクスタシー。快感ッス・・・。

 ぶつかる直前の「あっヤバい!」と血の気が引く感覚と、事故った瞬間の「あ〜ぁ、やっちゃった・・・」と放心する感覚が恐らく本物の事故にかなり近いんじゃないでしょうか。極限のリアルと程よいウソ。まさにゲームならではの快感です。
 事故っても、表現がリアルで長い割には立ち上がりがスムーズで、ライバルカーとの差もそれ程開かない所がいいですね。



・事故のコダワリ
 なにしろ事故の演出がリアル過ぎて逆に笑える。制作陣はコレがやりたくてこのシリーズを作ってるとしか思えません。遠目に見たらまるで本物の事故。
 制作陣の技術と根性の結晶とも言えるこのゲームの事故シーンは絶対に必見。飛び散る破片や湧き上がる噴煙もさることながら、とにかくがリアル。「やっちゃった感」の正体は70%以上がこの音じゃないでしょうか。

派手に周りを巻きこんでしまえ!


 自分が事故を起こした時、後ろからライバルカーが止まりきれずに突っ込んできたりすると思わずニヤリ。先行するライバルカーが派手に事故った横をギリギリすり抜けてゆく快感。事故のリアルさがあらゆる面で快感を引き出しています。なんて偉大なゲームなんだろう。

 それと公道が舞台というレースゲーは過去にもありましたが、このゲームの場合その公道の風景と言うか光景が妙にリアルで生々しい所がミソ。周りの車が信号待ちしてたりキチンと一時停止してたり、そんな善良な一般車溢れる平和な街が数台の暴走車によって地獄に塗り替えられるわけです。対向車線暴走中、一般車が慌ててクラクション鳴らしたり避けようとしたりするのがカワイイ。背徳が快感に変わる・・・危ない危ない。



・大事故を起こせ!
 さらにこのゲーム、メインのグランプリモードだけでなく色々なモードで楽しませてくれます。
 事故の表現がリアルなのをいいことに作られた「クラッシュ」モードは最高!このゲームの隠れたメインと言えます。ワザと大事故を起こして被害総額を争うと言うとんでもねぇモードです。

 交差点や高速道路、T字路の合流地点など様々なシチュエーションが用意されています。
 各ステージとも絶妙に配置された一般車に対し、どんな角度でどの車に突っ込めば派手な連鎖事故を起こせるか?パズルゲームの要素も若干味わえるモード。
 とは言えここは何も考えず突っ込みまくるのが吉。良識なんてくそくらえ!一般車がギャンギャン行き交う交差点に思いっきり突っ込んでド派手な事故を巻き起こせ!

 事故った瞬間からスローがかかり、次々に起こる連鎖事故をじっくりと見せてくれます(冒頭の動画はこのモードのもの)。そのあまりの滑稽さに大爆笑間違いなし!予想外のトンデモ事故を起こした時は友達と腹が引きつるほど大笑いしました。
 事故が収まるとバタバタとヘリコプターで上空から被害の確認をするのも笑える。
 
 ちなみに各ステージにはそれぞれキャッチコピーが付いてます。
 一部抜粋。

 ○海岸沿いの交差点で大惨事を巻き起こせ!
 ○空の玄関口、出来るだけ多くのバスを巻き込め!
 ○慌しく車が行き交うハイウェイを騒乱に巻き込め!
 ○狂気の山道でやりたい放題!
 ○瞬時の判断で大惨事を引き起こせ!

 瞬時の判断でってアンタ・・・。
 このモードは是非とも一度体験して欲しい麻薬モードです。
 とにかく派手で、芸術的で、見てて笑える大事故を目指しましょう(リプレイセーブできないのはイタイな〜)。

少しは止まりなさいよ!(でも止まろうとはしてる) 悪徳パトカー、舞う(事故原因)。



・丁寧な作りと高い技術力
 このゲーム、とにかくグラフィックが非常に美しい。PS2でここまで!と思えること必至。「アウトラン2」も出せるのでは?と思う場面もチラホラ。ポリゴン描写がしっかりしてて、遠くの方までキッチリ描かれるので、アドリブプレイがほとんど苦にならない。
 ただし舞台が公道なので進むべきコースの先がわかりずらくて戸惑うことはあります。でもそれは逆にスリルに繋がってるし、大まかなルートは自車やライバルカーのウィンカーで察知できるのが結構便利。
 一人プレイは完全60フレームで処理オチもほぼないし、とても軽快にストレスなく遊べます。不満な点といえば、オートセーブが頻繁でウザったいことくらいでしょうか。


 レースゲームとは言え、反射神経とアドリブがモノを言うバランスはまるでアクションゲームのような面白さ。近年のレースゲームにありがちな操作のシビアさはなく、とてもライトに楽しめます。

 注目のクラッシュモードはプレイの幅が広く、何度やってもほとんど同じ展開にならないところが面白い。点数狙いはもちろん、爆笑クラッシュや芸術的なクラッシュなど様々なアプローチを受け入れる懐の広さがあります。テクニックと偶然性のバランスがうまく取れたこの「クラッシュモード」のプログラムは斬新さを感じると同時に「ゲームの面白さ」を思い出させてくれます。



 洋ゲーはあまりやらないんですが、それにしてもこのゲームに関しては完全に知りませんでした。こんな素晴らしいゲームを見逃していたなんて、何やってたんでしょうか。

 このゲームを日本で発売したサミーに乾杯!
 まだ未経験の人、このレビューで少しでも「面白いかも」と思った人は買って損は全くないと断言しますヨ!
 今後「BarnOut3」も出るらしいので、こちらにも期待大ですネ(国内ではどうなるか知りませんが)。

プレイステーション2
サミー
2004年4月1日発売 6090円

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