アレックスキッド ザ・ロストスターズ 1986 SEGA |
・ アレックスキッド・サーガ
80年代ゲーマーにとって、セガの看板キャラクターといえばオパオパとアレックスキッドということで異論はなかろうかと思います。栄光のキャラクター「アレックスキッド(以下アレク)」は、セガマークVにおける「スーパーマリオ」の対抗馬として世に生まれたことは誰もが知るところ。その後「BMXトライアル」をしたり、今回紹介するAC版にも登場したりと名作目白押し。しかし、セガの16ビットマシン「メガドライブ」に乗り込んだ際に、いかんともしがたい不細工な描かれ方をしてしまい、フェードアウトしていった悲劇のヒーローです。
・ アーケードに登場
このアーケード版「アレックスキッド ロストスターズ」が登場した時は、恐らくアレクが最もノッていた時期なんでしょう。家庭用(マークV)では考えられない美しいグラフィックにHiro師匠のBGM、そしてカワイイ女の子のパートナーまで引き連れての登場に、当時のファンは陶酔したものです。ゲーム中のアレクやインストカードのイラストも可愛く描かれていて、なぜこのデザインを維持しなかったのか悔やまれてなりません。
操作はレバー(左右)とジャンプという、古き良き80年代の純粋なジャンプアクションゲームです(ステージ4のみ泳ぎあり)。基本的にレバーさばきとジャンプを駆使(時間制限のショットあり)し、アスレチカルな地形や絶妙な動きをしてくる敵をかわしながら進み、ステージの最後にある「ミラクルボール」をゲットしてクリア(全7ステージ構成)。
とにかくアーケード版ということで、セガ独特のパステル調グラフィックが美しく、かつ2重スクロールを活用した立体的なステージには感動したものです。
ミラクルボールは各面最後のオブジェクトにある | オパオパからミラクルボールをゲット! |
・凶悪!
このゲーム、かわいらしい見た目とは裏腹に、超凶悪な難易度で有名ですね。基本的にジャンプを駆使して進んで行きますが、敵キャラのめちゃくちゃイヤらしい動きに呆然とすること必至。中盤以降になると、どうせぇーっちゅうんじゃという場面が目白押しですよ。
さらにこのゲーム、7つのステージを2周しなくちゃ真のクリアになりません(当然難易度上昇)。女の子も飛びつきそうな雰囲気を持ちながら、なぜにこんなサディスティックな要求をされるのか全く謎。一体何人の人がクリアしたのやら。「オレはノーコンでクリアできるぜぇー!」というツワモノがいらっしゃいましたら是非ご一報を。
アレックスキッド ザ・ロストスターズ for SEGA MarkV 1988 SEGA |
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マークVに登場!地味なタイトル画面に涙! |
・トンボ帰り
アーケードに進出したアレクが、ふるさとマークVに帰ってきたー!2メガの大容量、そしてFM音源対応!なんともゴージャスなお土産を引っさげての里帰りに、ファンのボルテージはMAX状態!この作品が家で遊べるのはマークVだけだ!
・グラフィックや動き
頑張ってる。一応。全体的に似てます。マップや敵キャラの配置などにアレンジが加えられており、若干削られたキャラもいるものの、ほとんどのギミックはキチンと再現されているし、アーケードの雰囲気をちゃんと持ってきてます。
でもやはりハードの差は非情。とくにマークVがその役目を静かに終えようという時期の作品だけに限界が見え隠れ。
AC版は前述したようにパステル調の美しいグラフィックや立体的なスクロールによる奥行きの表現が秀逸でしたが、どちらも再現できませんでした(まぁこの頃の移植モノは皆そうですがね)。色使いはご覧の通りベッタリと濃く、ファンタジーっぽさが激減。
2重スクロールは当然なく、AC版で言う手前の背景のスクロールスピードが全体のスクロールスピードとなっているので、速くて慌ただしい感じになってます。
さらにオリジナルのAC版は大きなキャラが生き生き動いていましたが、当然マークVではツライ処理。キャラの動きはどこか重くなり、チラツキも結構激しいです。仕方ないんですけどね。
画面比較1。パステルカラーの再現がツラかったですね。こう見るとAC版はホントキレイ。 AC版の1面では背景が「掛けられたイラスト」というところが良かったんですがマークV版では単なる背景に |
・変更点
マークVに移植されるに当たって、やむなくなのかなんなのか変更された点がいくつか見られます。
まずは2人同時プレイのカット。それに伴い、2Pキャラのステラ嬢がいなくなりました。何よりこの点を嘆いたファンが多かったといいます。
AC版では残機制+タイム制でしたが、マークV版は完全タイム制になっており、激突死などの場合もタイムの減少で処理されます。全部で20メモリあり、5秒に1メモリ減って行くようです。これがなくなるとゲームオーバー(TIME UP)。敵などに当たってミスしても2メモリしか減らない(その場復活)上、タイム増アイテムも結構気がきいたタイミングで出るため、激突死の恐怖はかなり緩和されました。
ちなみに落下死してもタイムは減りません。そのかわり結構な距離戻されます。AC版では落ちた所の先から復活したので、その辺の感覚は変わっていると言えるでしょう。
恐竜もちゃんと出現!でも口パクはナシ。 | ミラクルボール取得画面は別画面に移行するように |
ショットアイテムは時間制ではなく、弾数制になりました。AC版よりも戦略に組み込めると考えていいでしょう(そんなオーバーな事ではないですが)。単発だったショットは2連射できるようになり、AC版にあったショット2(貫通弾)はなくなったようです。
以上の点と、敵キャラの動きが少しおとなしくなっているという点で、AC版に比べてかなり難易度が下がったと言えます。っていうか、実際かなり簡単になってます。ノーコンクリアも全然難しくないです。
ただ、コンティニューは実行すると面の初めからということになりました。金さえあればその場でどんどん復活できたAC版とは違うトコです。
あと、マークV版独自の仕様として、地蔵やピエロなど各面に固有の隠れキャラがいます。ボーナスアイテムのようですが、あまり意味を感じません。
画面比較2。この水中ステージ、AC版は地上から海中へ進みましたが、マークV版では水中のみに変更。 こうして比べると表示関係が結構違います。点数表示などもなく、AC版中央下の進行度ゲージもカットに。 |
・もろもろ
FM音源対応のBGMは、まぁ可もなく不可もなくといった所。元々が覚えやすく印象的な曲だったので、AC版ほどの音質でないにしろ良く出来ていると感じさせてくれます。
あ、あと、AC版では初めてアレクの肉声が聴けましたが(「アーッ!」だけですが)、一応マークVでも聴けます!ガラガラ声になっちゃったのはご愛嬌。ちなみに「アイム ザ ミラクルボォォル!」というのもちゃんと喋りますよ。ガラガラ声ですが。
↑(「ファイン ザ ミラクルボール」ですね。IZUさんフォローありがとうございます(^^;)
アレクのアーケード進出記念作「ロストスターズ」。岩をも砕く「ジャン拳」を封印し、名物のジャンケン勝負もナシ、じゃんけん大王も天空魔城も一切関係なく、失われた星座を女の子と共に探すというちょっと上品な作品に生まれ変わりました。うっかり家庭用に帰ってきてしまったばかりに悲運に見舞われたと考えるのは考えすぎ?
アレックスキッド ザ・ロストスターズ
対応機種 セガマークV
セガ 1988年3月10日発売 5500円